中国語学習者のブログ

これって中国語でどう言うの?様々な中国語表現を紹介します。読者の皆さんと一緒に勉強しましょう。

歇后語 中国語のかけことば

2009年09月05日 | 中国語

今日は、中国語のかけことばである、「歇后語」xie1hou4yu3について紹介する。
先ず、歇后語とはどういうことばだろうか?

歇后語是一種短小、風趣、形象的語句。它由前后両部分組成:前一部分起“引子”作用,像迷語,后一部分起“后襯”的作用,像迷底,十分自然貼切。在一定的語言環境中,通常説出前半截,“歇”去后半截,就可以領会和猜想出它的本意,所以就称為歇后語。
[訳]歇后語は一種の短い、ユーモラスな、イメージのはっきりした語句である。これは前後ふたつの部分で構成される。前半は「まくら(前置き)」の作用をし、「迷語」(なぞなぞ)のようであり、後半は「下敷き」の作用をし、「迷底」(なぞなぞの答え)のようであり、たいへん自然でぴったりくる。一定の言語環境では、通常は前半部分を言い、後半部分は言わずにやめる。(歇:休息する、やめる)それにより本来言いたい意味を理解したり推察したりすることができる。したがって、「歇后語」というのである。

歇后語にはふたつの種類がある。

1. ロジック推理式。言いたいことは、前半の比喩から推理した結果。

● 猪八戒照鏡子——里外不是人
猪八戒が鏡を見る→鏡の中に映っているのも、その外に実際にいるのも、豚の猪八戒で、人間ではない→里外不是人
  里外不是人 内輪の人にもよその人にも憎まれる、或いはとがめられること。板挟みになって苦しむこと。

● 水仙不開花——装蒜
花の開いていない水仙→ニンニクを装うとは、どういうことだろうか?民間に伝わる話がある。

装蒜”的由来相伝清朝乾隆皇帝一年春天到南方某地巡査,看到地里一片青蒜長得緑油油,斉整整,便順口称賛了一番,翌年冬去又去巡查,可惜這一季節青蒜尚未長出。為了討好皇帝,当地官吏差人把許多水仙移植到一起,遠遠望去其叶子酷似青蒜,乾隆看后果然賛不絶口,這位官吏也因此得以升迁。打這以后,人們就把弄虚作假或不懂装懂嘲諷為“装蒜”了 。
[訳]「装蒜」の由来は、言い伝えでは、清朝の乾隆皇帝がある年の春に南方の某地を巡幸し、地面一面にニンニクの茎や葉が青くつやつやと、整然と伸び揃っているのを見て、思わず賞賛をした。翌年の冬、また巡幸したが、残念ながらその季節にはニンニクは育っていなかった。皇帝の機嫌を取るため、当地の役人は人を遣わしたくさんの水仙を移植して、遠くから見ると葉がニンニクのように見えるようにした。乾隆はこれを見てしきりに誉め称え、この役人もこのことにより昇進することができた。このことがあってから、人々はいんちきで人をだましたり知りもしないのに知ったかぶりをすることをあざけり、「装蒜」と言うようになった。
  弄虚作假 nong4xu1zuo4jia3 いんちきをして人をだます
  不懂装懂 bu4dong3zhuang1dong 知ったかぶりをする
  嘲諷 chao2feng3 あざける。風刺する
  装蒜:知らぬ顔をする。しらばくれる。すました顔をする 

● 唖巴吃黄蓮──有苦自己知(或“有苦説不出”)
唖(おし)が漢方薬の苦い黄蓮(オウレン)を食べる→苦いことを自分ではわかっているが、相手に伝えられない、説明できない→有苦自己知、有苦説不出

2. 諧音xie2yin1(漢字の発音が同じか近い)。
前半の比喩からの推理の内容に、諧音の要素を入れる。

● 外甥wai4sheng1打灯籠——照旧(舅)
甥が灯籠に火を入れる→叔父(舅舅jiu4jiu)を照らす→照舅→照旧(これまでどおり。相変わらず)
舅と旧は同じ発音(jiu4)

● 孔夫子搬家——尽是輸(書)
孔子が引越をする→荷物は本ばかり(尽是書)→尽是輸(負けてばかり)
書と輸は同じ発音(shu1)

● 火焼旗杆——長嘆(炭)
旗竿を燃やす→木を燃やすと炭になるが、竿は長いので長い炭(長炭)になる→長嘆(長いため息をつく)
炭と嘆は同じ発音(tan4)

● 糞坑fen4keng1関刀──文(聞)也不能,武(舞)也不能。
肥だめで刀をしまう→臭いので匂いもかげない(聞)し、狭いので体を翻して舞うようにして(舞)青龍刀を背中の鞘に収めることができない(聞也不能,舞也不能)→学問(文)も武術(武)も両方ダメ(文也不能,武也不能)
聞と文(wen2)、舞と武(wu3)は同じ発音

● 十五個吊桶打水——七上八下
十五のつるべで水を汲む→縄の先の桶は十五もあるので上に行ったり下に行ったりする(七つは上に行き、八つは下に行く)→七上八下
  七上八下 心が乱れるさま。心を決めかねるさま

● 和尚打傘——無法無天(無髪無天)
坊さんが傘をさす→髪の毛が無く、お日さまも出ていない(無髪無天)→法fa3と髪fa4は発音がよく似ている→無法無天
  無法無天 法も神も眼中に置かない。無法の限りを尽くす。大胆不敵に悪事を働く

● 腊月天气——動手動脚(凍手凍脚)
師走の天気→寒くて手も足も凍える(凍手凍脚)→凍と動は同じ発音(dong4)→動手動脚(あれこれ気を使って世話を焼く)

● 父親向儿子磕ke1頭——豈有此理(豈有此礼)
父親が息子にぬかずく(額を地につけて礼拝する)→どこにそのような礼儀作法があるのか(豈有此礼)→礼と理は発音が同じ(li3)→豈有此理
  豈有此理 そんな道理があるものか。もってのほか

● 公共厠所扔石頭——引起公憤(引起公糞)
公衆便所(汲み取り便所)に石を投げる→糞が飛び散る(引起公糞)→糞と憤は発音が同じ(fen4)→引起公憤
  引起公憤 大衆の怒りを買う

● 外婆死了儿子——無救(無舅)
外祖母が息子を亡くす→叔父(舅)がいなくなる(無舅)→無救(救いがない)
舅と救は発音が同じ(jiu4)

● 老公拍扇——凄凉(妻凉)
ご主人が団扇で煽ぐ→妻が涼しい(妻凉)→凄凉:もの寂しい
妻と凄は発音が同じ(qi1)

 秀才的空棺材出葬----------目中無人(木中無人)
  * 「空棺材埋葬」という言い方もあり、秀才は語呂合わせ。秀才が棺材に出会うと官(棺guan1)も財(才cai2)も得られる、という笑い話があることから、棺材との語呂合わせで前に秀才がついたと思われる。
 ・ 秀才:科挙での生員(科挙の最初の試験に合格し、県の学校で学習できる書生で、郷試の受験ができる者)の俗称
空の棺桶を埋葬する→木の中には誰もいない(木中無人)→目中無人
  目中無人 眼中に人なし。尊大で傲慢なさま
木と目は発音が同じ(mu4)

● 王八中解元----------規矩(亀挙)
間抜け(王八)が科挙の試験に首席で合格する→王八=亀のこと。亀が挙人(科挙の合格者)になる(亀挙)→規矩(礼儀正しい)
  解元 jiw4yuan2 科挙の郷試の首席合格者の称
亀挙 gui1ju3 規矩 gui1ju は発音がよく似ている

● 花生--------------非吵不可(非炒不可)
ピーナツ(花生)は炒めないといけない(炒めないと食べられない)=非炒不可→非吵不可(けんかをせざるを得ない)
炒と吵は発音が同じ(chao3)

● 皮匠不帯錐子--------真行(針行)
皮職人が錐を忘れた→(錐無しで)針だけ進む(針行)→真行(すばらしい)
針と真は発音が同じ(zhen1)

● 何家姑娘嫁給鄭家----正合適(鄭何氏)
何家の娘が鄭家に嫁入りした→娘の新しい姓は、鄭何氏→正合適(ぴったりだ)
「鄭何氏」も「正合適」もzheng4he2shi4と、同じ発音。
 ※ 中国大陸では夫婦別姓が一般的になったが、香港や台湾では、女性が夫の姓を自分の元の姓の前につける習慣が残っている。例えば、元の香港の政務長官、アンソン・チャン氏、中国語名・陳方安生は、結婚前の名前は方安生。陳棣栄氏と結婚して、夫の陳姓を方の前につけている。

● 和尚的房子----------妙(廟)
坊さんの家→廟→妙(すばらしい)
廟も妙も同じ発音(miao4)

● 河辺洗黄蓮----------何苦(河苦)
川辺で漢方薬になる黄蓮(オウレン)を洗う→川の水が苦くなる(河苦)→何苦(そうまでしなくてもいいじゃないか)
河苦も何苦も同じ発音(he2ku3)

● 做夢変蝴蝶----------想入非非(想入飛飛)
夢で蝶に変身する→空に向かって飛んで行きたい(想入飛飛)→想入非非
  想入非非 妄想をたくましくする。空想する
「飛飛」と「非非」は発音が同じ(fei1fei1)

● 猴子学走路----------假惺惺(假猩猩)
猿が歩き方を真似る→偽物の猩猩(オランウータン)(假猩猩)→假惺惺
  假惺惺 いかにもわざとらしい(惺惺:利口である)
猩猩と惺惺は発音が同じ(xing1xing1)

● 精装茅台------------好久(好酒)
きれいな化粧箱に入った茅台酒→上等な酒(好酒)→好久(長い間。長い時間)
酒と久は発音が同じ(jiu3)

● 蜘蛛拉網------------自私(自絲)
蜘蛛が自分の巣の網を引っ張る→自分が履いた糸である(自絲)→自私(利己的である)
絲と私は同じ発音(si1)

● 瞎子背瞎子----------忙上加忙(盲上加盲)
めくらがめくらを背負う→めくらの上にめくらを加える(盲上加盲)→忙上加忙(忙しいうえにも忙しい。たいへん忙しい)
盲と忙は同じ発音(mang2)

● 西瓜地裏散步--------左右逢源(左右逢園)
スイカ畑の中を散歩する→左にも右にも丸いものに出逢う(左右逢園)→左右逢源
  左右逢源 万事順調である。やることなすこと、すべてに成功する
園と源は同じ発音である(yuan2)

● 脱了旧鞋換新鞋------改邪帰正(改鞋帰正)
古い靴を脱いで新しい靴に履き替える→靴を改めて服装を正す(改鞋帰正)→改邪帰正
  改邪帰正 悪事から足を洗って正道に立ち返る
鞋と邪は発音が同じ(xie2)

● 麻布袋草布袋--------一代不如一代(一袋不如一袋)
麻の袋と藁(ワラ)の袋→だんだん袋の質が悪くなる(一袋不如一袋)→一代不如一代(先代より収入が減って、暮らし向きがだんだん悪くなる)
袋と代は同じ発音(dai4)

● 碗底的豆子----------歴歴在目(粒粒在目)
茶碗の底の豆→一粒一粒が眼に入る(粒粒在目)→歴歴在目
  歴歴在目 情景がありありと目に浮かぶ
粒粒と歴歴は同じ発音(li4li4)

● 売布不帯尺----------存心不良(存心不量)
を売るのに巻尺を忘れる→わざと測らない(存心不量)→存心不良
  存心不良 悪い下心を持っている
量と良は同じ発音(liang2)

● 窮木匠開張----------只有一句(只有一鋸)
貧乏な大工が店を開く→ノコギリ一本しかない(只有一鋸)→只有一句(一言だけ)
鋸と句は同じ発音

● 磚窯裏失火----------謡言(窯煙)
れんがを焼く窯が火事になる→窯が煙たい(窯煙)→謡言(デマ。流言)
窯煙(yao2yan1)と謡言(yao2yan2)は発音が似ている

● 灯盞zhan3無油------------費心(費芯)
ランプに油が無い→芯を無駄に燃やす(費芯)→費心(気をつかう)
芯と心は同じ発音(xin1)

● 鐘馗kui2嫁妹------------鬼混(鬼婚)
鐘馗(しょうき)が妹を嫁にやる→(鐘馗は亡霊なので)亡霊の婚姻(鬼婚)→鬼混
  鬼混 その日暮らしをする
婚hun1と混hun4は発音が似ている
 ※《鐘馗嫁妹》は民間伝説として流布している。鐘馗には同郷の友人で杜平という者がおり、慈善活動や施しをするのを好み、鐘馗も彼の資金援助のおかげで都に科挙の試験を受けに行くことができた。ところが鐘馗は顔が醜かったので、奸臣に皇帝へ讒言をする者がおり、最後の殿試で首席合格の状元の資格を取り消され、そのため怒りに燃え自殺してしまった。いっしょに試験を受けに都に来ていた杜平は、鐘馗を手厚く葬った。さて、亡霊となった鐘馗は、杜平への恩義に報いるため、大みそかの日に故郷の家に戻り、自分の妹を杜平に嫁がせた。
この歇后語の前段は、この伝説が根底にある。時の皇帝は唐の玄宗であるが、鐘馗は亡霊になってから、土地を静める守り神となった。「賜福鎮宅聖君」と呼ばれ、今日でも崇拝されている。

● 糞船過江------------装死(装屎shi3)
糞尿の汲取り船が川を通過する→糞尿を積む(装屎)→装死(死んだふりをする)
屎shi3と死si4は発音が似ている

● 黏nian2窩窩摻chan1黄蓮--------一年一年的苦(一黏一黏的苦)
ねばっこい窩窩(トウモロコシの粉を蒸かした蒸パン)に漢方薬の黄蓮(オウレン)を混ぜる→混ぜる度に苦くなる(一黏一黏的苦)→一年一年的苦(生活が年々苦しくなる)

● 薬舗裏開抽屜--------找玩(找丸)
薬屋で漢方薬を入れた引出しを開ける→丸薬をさがす(找丸)→ 找玩(遊びをさがす)
丸と玩は同じ発音(wan2)

● 癩蛤蟆跳水井--------不懂((口業)(口冬))
ガマガエルが井戸に飛び込む→ドブン(水に物が落ちる音。(口業)(口冬)pu1dong1)→不懂(わからない)
(口業)(口冬)pu1dong1と不懂bu4dong3は発音が似ている。

● 唱戯的騎馬----------不行(歩行)
舞台の芝居で馬に乗る→(実際は馬に見立てたものをつかんで)歩く(歩行)→不行(ダメ)
歩と不は同じ発音(bu4)

● 炒咸菜不放醤油------有言在先(有塩在先)
漬物を炒めて醤油を入れない→(漬物には)先に塩が入っている(有塩在先)→有言在先
  有言在先 あらかじめ言っておく
塩と言は同じ発音(yan2)

● 从河南到湖南--------難上加難(南上加南)
河南省から湖南省へ行く→南へ南へと行く(南上加南)→難上加難(困難に困難が重なる。益々難しくなる)
南と難は同じ発音(nan2)

● 打灯籠搬石頭--------照辧(照搬)
提灯に明かりをつけて石を運ぶ→明かりを照らして運ぶ(照搬)→照辧(通常通り業務を行っている)
搬ban1と辧ban4は発音が似ている

如何だったろうか?頭の体操といて、なかなかおもしろいが、これを会話で使おうと思うと、歴史や民間説話、習慣などの理解が必要である。