北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」12月号(2011)

2012-02-13 | 未来

ありていに言えばさびしい森でした風をいくつもいくつも裂いて

数式をほどくゆびさき ゆいいつのvalueしずかに立ち上がらせて

窮屈なところを抜けてきたらしいすこしほつれている秋の袖

薬莢の散らばる庭を思わせる部屋をひとつの王国となし

持ち重りするあかるさをひからせてセーラー服を今朝も着崩す

どれくらい寒いかと問う どれくらい寒いのだろうおまえの底は

水を編みわずかな息をわけあってさかなのように暮らす(ほころぶ)

なつかしくなりたい 朝の薄紙に墨を吸わせては綴じながら

風下に咲く大叔母の簪をかろうじてこの世からながめる

差し入れた指のわずかなたくらみに流れをかえる水であるらし


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。