つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

コマ劇場が幕を下ろす

2008年05月30日 | 芸能
               今年で幕を下ろす演歌の殿堂「新宿コマ劇場」

新宿コマ劇場は、1956年12月28日に東京都新宿区歌舞伎町一丁目に開場し、阪急電鉄グループの株式会社コマ・スタジアムが運営している劇場である。

この劇場では、『演歌の殿堂』と異名を取り、美空ひばり、村田英雄、北島三郎、小林幸子、氷川きよし、松平健などといった大物演歌歌手の特別公演が行われている。
演歌歌手、或いは演歌歌手志望で芸能界に入った者にとっては、ベテラン・若手問わず、いつかはこの観客席を満員にしてコンサートを行いたいという憧れの舞台であり、長期的な目標として広言している者は、その知名度の如何に問わず数多い。

また、開場以来ミュージカル公演力を入れており、『アニーよ銃を取れ』『努力しないで出世する方法』『南太平洋』『ピーターパン』など新宿コマ劇場を日本初演の地に選ぶミュージカル作品も多い。
毎年大晦日には、テレビ東京系列で放送されている『年忘れにっぽんの歌』の生中継が行われている。

しかし、築51年が経ち、建物自体の老朽化が進み、また入場客数の減少に歯止めがかからず、業績が低迷している事から、2008年12月末の『年忘れにっぽんの歌』の生放送をもって閉館する事が発表された。

新宿コマ劇場には、よく行った。
記憶に残るのは、40年ほど前の新国劇50周年記念公演「宴」である。
島田正吾、辰巳柳太郎両座長のもと、新国劇団員も最も多く隆盛を誇っていた頃。
新国劇の財産演目をダイジェストで披露してくれた。
「国定忠治」、「瞼の母」、「ビルマの竪琴」、「王将」等々10演目程の一番いいところの公演であった。
一番前の席で、高校の先輩・緒形拳さんをしっかりと観ていた。

北島三郎公演にもよく行ったものだ。
美空ひばり亡き後、日本の演歌界を代表する歌手である。
また、年末に開催される「輝け!演歌の新星」も毎年楽しみであった。
これから演歌の道で活躍していこうという新人歌手達の晴れ舞台。
「初めてコマ劇場に出演しました。大きいステージなのですね」と言って感激をしていた美人歌手の林あさ美のスピーチが印象に残る。

終戦後、新宿に歌舞伎座を建設すると進められたが、結局コマ劇場となった。
街の名前だけが歌舞伎町として残った。
そのコマ劇場自体が幕を下ろすこととなった。
昭和の灯がまた一つ消えていく。

(5月30日記 池内和彦)

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