つれづれなるままに

日々の思いついたことやエッセイを綴る

エミール・ゾラの肖像画

2010年07月26日 | 文化
               エドゥアール・マネ作品「エミール・ゾラの肖像画」

三菱一号館美術館で公開された「マネとモダン・パリ」展。
入口でガイド機を借用して会場内に入る。
番号札の添付してあるところの作品の前で、ガイド機の番号をスタートさせると音声でガイドをしてくれる。

セーヌ県知事オスマン男爵、サラマンカの学生たち、マネとスペイン、扇を持つ女、エみーラ・ゾラ、ローラ・ド・ヴァランス、街の歌い手、死せる闘牛士、黒い帽子のマルタン夫人、ラトゥイユ親父の店、ブラン氏の肖像、自画像、髪を整える女など秀作が並ぶ。

エミール・ゾラの肖像画は、マネとの友情が生涯続くことになる小説家兼批評家の≪エミール・ゾラ≫の肖像で、エミール・ゾラが冊子「エヴェヌマン」の中でマネを強く擁護した分析的論文に対し、マネがゾラへの感謝と賞賛の証として描いた作品である。
ゾラの前の机上には様々な書物や小冊子が置かれており、その中に画家の署名代わりともなっている≪MANET≫の文字が記されたマネに関する冊子が確認できる。
また壁にはエミール・ゾラが強く擁護したマネの代表作『オランピア』の版画や、当時マネが強く関心を寄せていた日本趣味的要素として二代目歌川国明による多色刷浮世絵木版画『大鳴門灘右ヱ門』が飾られ、いずれもゾラへと視線を向けているほか、ゾラの背後には江戸時代を代表する絵師尾形光琳を始めとした琳派を思わせる屏風絵が描かれている。
エミール・ゾラの肖像として作品に名称を付けながらも、マネのゾラに対する興味より、マネが持つ自身の興味(スペイン絵画や日本趣味)を中心に画面を構成させている点から、一般的にゾラの肖像画というよりも、己の関心を描いた静物画的人物画の側面が強い作品であると解釈されている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする