今年6月末時点の国の借金は860兆円になっています。民主は自民が抱えた負の遺産を今後どのように対処するのだろうか。「国家戦略局」を立ち上げるそうだが、この難題に頬かむりしたままというわけにいかないはずです。
ここ3年の一般会計予算、借入金、借金の返済は、次の通りです。
H19 82兆9088億円: 公債金(借入金)25兆4320億円 国債費20兆9988億円
H20 83兆613億円 : 公債金(借入金)25兆3480億円 国債費20兆1632億円
H21 88兆5480億円: 公債金(借入金)33兆2940億円 国債費20兆2437億円
これでおわかりのように国の総予算のうち、3割以上が借金で賄われています。国債費は借金の元利返済金です。借金を借金で返済しているのが実態です。ちなみに国債費のうち、7兆円~9兆円が利払い金です。
サラ金から借金をして、その借金と金利の返済のために、また借金をかさねていることと同じです。
借金して借金を返済するようになれば、個人ならば自己破産、企業ならば倒産です。事実上この国の財政は破綻しています。
景気が回復すれば、この借金を返済できる見込みがあると思いますか。
景気が良くなれば、今のような超低金利というわけにいかない。景気がよかった1980年代から1990年代初期の金利は公定歩合で、3~6%です。
財務省のHPの中に、「利払い費の推移」というグラフがあります。国の借金額が現在の「半分以下」の時代(1995年以前)でさえ、高金利をを反映して利払いだけで10兆円を超えています。
そのグラフの下部に、「金利1%上昇による国債費の後年度影響」という小欄があります。金利1%上昇で「21年度:1.5兆円、22年度:2.7兆円、23年度:3.8兆円」となっています、借金は雪だるま式に増えることを財務省自体が示唆しています。
景気が回復して、金利が3~6%になったら、利払いだけで数十兆円になります。景気をよくしようとしても、景気がよくなればなるほど国債費の(元利返済)の方が、景気回復のペースを上回って大きくなっていきます。現在の国の借金は、国と地方合わせて1000兆円を超えています。現在のGDP(名目)は、約500兆円です。
金利>成長率が一般的ですが、単純化して金利=成長率として考慮しても、また財政均衡(税収と支出が等しくなる)したとしても、国債費は公債金で賄う限り、国の借金は半永久的に増え続けていきます。
自民党は、均衡財政とか、財政規律とかいかにも、尤もらしく「当たり前」のことを言ってきました。
昨日(9月6日)、TV朝日サンデープロジェクトに出演していた自民党の石破氏は、番組出演の終わりのところで「いずれ国民に(消費税アップ)をお願いしなければならない」と言っていました。いまだに消費税アップにこだわっています。民主党の鳩山代表も、民主政権の4年間はやらないと言っています、将来は消費税アップに含みをもたせた発言をしています。
消費税をアップして均衡財政にしたところで、この肥大化した借金の膨張は食い止めることはできません。
自民党も財務省も、後の世代に大きな負の遺産を残してはならないと言ってきました。いくら立派なことを言っても、この借金を借金という範疇で認識するかぎり、この遺産は後の世代に残らざるをえないのです。最早、そんなきれいごとを言っている場合じゃないのです。詐話師の言うようなレベルの話はやめて現実を直視するべきです。どこかで、けりをつけなければならないのです。
次回はこの続きです。