東京電力は、事故を起こした福島原発の周辺9市町村に、見舞金2000万円を振り込んだという。だが、避難指示地域にある浪江町は見舞金2000万円の支払い申し出を拒否した。浪江町の人口は20861人、一人当たり958.7円になる。見舞金とは言え、ちょっとバカにしていないか?
海外メディアは、大地震が起きても大きな混乱を見せない日本人を「ミラクルだ」と賞賛した。しかし手放しで喜べない。彼らは同時に、政府に対してモノ言わぬ日本人を冷ややかな目で見ている。その通りだと思う。自慢じゃないけれど、筆者はこれまで、政治家や官僚、識者(ジャーナリストら)をさんざん批判してきた。
菅首相は先月21日、緊急災害対策本部の会合で、復興支援について「大きな意味での復興に向けての歩みの準備をしないといけない。夢を持った復興の計画を考えていきたい」と述べた。
夢を持った復興計画?バカなことを言うんじゃないよ、いま緊急に必要なことは、口先だけの「夢を持った復興計画」ではなく、当面の生活資金としてせめて1世帯当たり20万円程度を緊急支給することである(実際に配るのは各自治体に任せればいい、予算措置はあとでつくればいいではないか)。菅さんよ、夢を食って生きてるわけにいかんぜよ、もっと具体的に語りなさい。そうすれば、被災者も安心するし、菅首相への信頼感も出てくるはずだ。
だが、大地震発生から25日が経過したが、菅政権は復興のための緊急予算を発表どころか、具体的な取り組みの姿勢さえみられない。
新聞報道に出ているのは、
大震災の復興対策に盛り込む補正予算編成について、平成23年度予算案に計上されている政策経費のうち、民主党の目玉政策である子ども手当などの財源を充当する方向で調整を始めた。野党側は子ども手当などを「バラマキ予算」と批判しているため、これらの経費を復興財源に回すことで、予算案への野党の賛成を得られやすいとの判断もある。岡田幹事長は記者会見で「補正予算を組むにあたって、全部を国債発行で賄うのはいかがなものか。優先順位の低いものを(必要な)財源に回すのは当然、一般論としてある」と述べ、23年度予算案に盛り込まれた子ども手当関連費を減額補正し、震災復興費を捻出する可能性を示唆した。
これでは本予算を削って、削った分を充当するだけのことである。身も蓋もない話ではないか、これが「夢を持った復興計画」にどう結びつくのか訳がわからん。それでなくとも、23年度予算そのものが、緊縮予算である。表向きは92兆4千億円余りの大型予算にみえても、このうち21兆5千億円は国債の返済と金利部分であり、実際は70兆円余りであり、22年度予算と殆ど同じ(若干少ない)である。植草氏によれば、史上最強の緊縮予算=デフレ予算であるとこきおろしています(4月2日ブログ)。
4月2日、東京新聞には、日銀の国債引き受け案浮上、『復興財源へ「禁じ手」閣僚ら火消し躍起』と題した記事が出ています。東日本大震災の復興財源を確保するため、与党内で日銀が国債を直接引き受ける案が浮上している。だが、これに対する過剰な批判が相次いでおきている。与謝野経済財政担当相も嫌悪感を示し「政府と日銀は信認を失う」と持論を述べたと言う。また野田財務相も「政府が検討している事実はない」と国債の日銀引き受けをきっぱりと否定した。
「日銀が国債を引き受ける問題」についての批判派の言い分をまとめると以下の通りである。
① 国債の暴落(金利の上昇)
② 円の信認の低下
③ インフレ・・・ハイパーインフレ
④ 日銀引き受けは、異例の対応がいつの間にか恒常的な政策になる。
①日銀の国債引き受けが暴落とは過剰反応である(実在しない幽霊を恐れるが如しである)。
②円の信認の低下については、円はこれまで信頼があり過ぎて(笑)さんざんアメリカの政策に利用されてきた(甘い汁を吸われた)。現在の長期不況を続けることにこそ、日本崩落の危険があることを知るべきである。
③長期不況を脱するためには、むしろインフレは歓迎すべきことである。但し日本人がこの15年余りの間に失った所得をまず元に戻すべきである(それについて本ブログでは詳しく既述しているのでここでは述べない)。ジンバブエじゃあるまいしハイパー・インフレは起こりません(日本の場合、ハイパー・インフレは起こり得ないことを、筆者の南米での実体験に基いて過去に詳述しています)。
④については、為政者の心がけの問題である。そのようなことにまで今心配している余裕はないはずだ。
実は、財務省が最も心配しているのは、金利の上昇であろう。国と地方の借金は1千兆円を越える、金利が上昇すれば借金は雪だるま式に増える厄介な存在である。財務官僚としては、デフレ状態が永遠に続いてもらいたいと思っているに違いない(笑)。
日銀は市場から国債を購入して、金融機関へ巨額の金を流していることについては何度も述べました(火事場泥棒に資金提供する日銀)。金融機関はリスクを恐れて安心確実なヘッジファンド(ハゲタカ)に流して短期間に超円高を演出した。ハゲタカどもが買った「円」を売りにかけているのだろう、ここのところ急速な円安(本日は85円~)である。これもこのまま円安基調が続くとも思えない。ついでながら、本日「金:ゴールド」は、現在史上最高値を更新、1オンス1455ドルを超えた。
参考:
国の借金をチャラにする方法:その2(2009-05-07)
http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/d/20090507
国の借金をチャラにする方法:その1(2009-05-07)
http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/77dd78952f4fbbfa52431cff78f7733e