猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

北朝鮮のテポドン発射実験に関する報道記事スクラップ―各国のスタンスを一瞥

2006-06-24 01:47:49 | 朝鮮半島
 北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」の発射実験準備に関連した、各国の動きなどについての各種報道記事を、ピックアップして並べておくので御参考にどうぞ。一応箇条書きでも、まとめておきますが、正直言って目新しい動きはありません。個人的には、日米のミサイル防衛の進捗具合に興味があります。また「ミサイルが発射されれば日米同盟が強化され韓国は孤立する」という、韓国の中央日報の分析記事も目を引きました。

【北朝鮮】
・韓国のマスコミ取材に対して、国連大使が「米国がミサイル発射の動きを憂慮するのなら、米朝交渉を通じ問題解決を図るべき

【日米】
・発射すれば、国連安保理で対北非難決議採択を目指す
・海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の迎撃実験をハワイ沖で行い、模擬中距離弾道ミサイルから分離した弾頭を撃ち落とすテストに成功したと発表

【日本】
・発射すれば、単独でも経済制裁を実施
・弾頭や破片が日本の国土に落ちるなどの最悪の事態を想定して対応を準備

【米国】
・米朝直接協議は拒否
・政府は先制攻撃には否定的(ペリー元国防長官は先制攻撃論)
・ミサイル防衛システムでの迎撃を選択肢として検討しているとの報道あり

【中国】
・北の自制を求めつつも、安保理での制裁には慎重姿勢

【韓国】
・新規の対北支援は困難になるとの見解を示す一方で、「南北関係の全面的な中断は避ける方がよい」とも



(参考記事1)
[発射憂慮なら米朝交渉を 北朝鮮の国連次席大使]
 【ソウル21日共同】北朝鮮の韓成烈国連次席大使は米東部時間の20日、韓国の聯合ニュースの電話取材に、米国がミサイル発射の動きを憂慮するのなら、米朝交渉を通じ問題解決を図るべきだとの考えを明らかにした。
 北朝鮮当局者がミサイル発射の動きに関連し、米国に対話を呼び掛けたのは初めて。
 韓次席大使は「ミサイル試験発射を米国が憂慮していることは知っている。それなら交渉を通じて問題を解決しようというのがわれわれの立場だ」と述べた。
 また、北朝鮮が米クリントン政権時代の1999年9月に合意した長距離弾道ミサイルの発射一時停止の措置は「米国との対話が進んでいる間だけ適用される」と述べ、現時点で拘束力がないと強調。北朝鮮にはミサイル開発や試験、輸出の権利があると話した。
(共同通信) - 6月21日10時53分更新

(参考記事2)
[日米が対北非難決議採択で協議開始 テポドン発射問題]
 【ニューヨーク=長戸雅子】北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」が発射された場合に備え、日米両国は21日、国連安全保障理事会の非難決議採択を視野に入れた協議を開始した。北朝鮮が1998年に「テポドン1号」を発射した際、中国が難色を示したことで、安保理は法的拘束力のない報道向け声明しか発表できなかった経緯があるためで、今回の非難決議採択の動きは、国際社会が強いメッセージを発することにより、北朝鮮に自制を求めることが狙いだ。
 非難決議に関して、ボルトン米国連大使は21日、98年当時の経緯を踏まえて、「(発射された場合)より強い対応になるのは疑う余地がない。こうした対応をとることへの広範な支持がある」と述べ、今後の調整に自信を示すとともに、北朝鮮に強いメッセージを送る準備が進んでいることを明らかにした。
 また、ボルトン大使は、北朝鮮の韓成烈国連次席大使が韓国メディアの取材に対し、米国との直接対話を要求する姿勢を示したことについて「ミサイルを発射するという脅しによって対話を始めることは普通はない。対話を生み出すやり方ではない」と述べて、北朝鮮側が提示した[2]国間協議を拒否する姿勢を明確にした。
 米国務省のエレリ副報道官も記者会見で「(北朝鮮が米国との対話を望むなら)6カ国協議の枠組みで行うべきだ」として、直接対話をする考えがないことを改めて表明している。
 安保理での議論が始まった場合、中国がどのような対応を示すかが再び焦点になるが、中国は今回、ミサイル発射を自制するよう北朝鮮への働きかけを強めている。仮に、北朝鮮がこれを無視して発射を強行すれば、中国も日米に近い態度を示してくる可能性は否定できないだろう。
(産経新聞 06/22 11:35)

(参考記事3)
[米、弾頭迎撃実験に成功 海自イージス艦が初参加]
 【ワシントン22日共同】米国防総省ミサイル防衛局は22日、8月に米海軍横須賀基地(神奈川県)へ配備予定のイージス巡洋艦シャイローが参加し、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の迎撃実験をハワイ沖で行い、模擬中距離弾道ミサイルから分離した弾頭を撃ち落とすテストに成功したと発表した。
 日本から海上自衛隊のイージス護衛艦として初めて「きりしま」が迎撃実験に参加、標的となる弾道ミサイルをレーダーで捕捉、追尾する実験を行った。米側は北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を準備しているとされる問題とは無関係としている。
(共同通信) - 6月23日11時19分更新

(参考記事4)
[撃てばすぐに制裁検討 安倍氏、テポドン2号で]
 安倍晋三官房長官は21日、保守系の自民党新人議員でつくる「伝統と創造の会」で講演し、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射実験準備を進めているとされる問題に関し「撃てばすぐに経済制裁が(検討の)テーブルに乗る」と述べ、北朝鮮を重ねてけん制した。
 改正外為法などによる経済制裁を念頭に「(圧力の)手段をこちらが持つことで相手の態度を変えさせる」と強調した。
(共同通信) - 6月21日20時44分更新

(参考記事5)
[最悪想定し対応準備=北朝鮮ミサイルで漆間警察庁長官]
 警察庁の漆間巌長官は22日の会見で、北朝鮮が発射準備中とされる新型長距離弾道ミサイルについて「国内外の関係当局と情報交換をしている。発射された場合の最悪の事態を想定し、対応策を作っている」と述べた。
 漆間長官は「弾頭や破片が日本の国土に落ちることはあり得る」と指摘。その上で「落ちたかどうかの調査や救出活動、NBC(核・生物・化学兵器)の反応が出るかや回収作業などすべてを想定し、機動隊をどう使うかなどの計画を練っている」と語った。 
(時事通信) - 6月22日17時0分更新

(参考記事6)
[北朝鮮との直接交渉に応じる考えはない=米政府高官]
 [ウィーン 21日 ロイター] 米政府高官は21日、北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射準備をめぐり、北朝鮮との直接交渉に応じる考えがないことを明らかにした。
 同高官は、ブッシュ大統領と欧州連合(EU)首脳との会合の際「米国の立場がよく知られているように、(北朝鮮による)二国間協議を開催したいという要望はよく知られている」としたうえで、米政府は依然として、北朝鮮との対話は6カ国協議を通じて行なわれるべきと考えている、と語った。
(ロイター) - 6月22日10時57分更新

(参考記事7)
[米大統領補佐官、北朝鮮ミサイル基地攻撃の可能性否定]
 【ウィーン=石黒穣】ハドリー米大統領補佐官は22日、ブダペストでペリー元米国防長官らが北朝鮮のミサイル発射前の「先制攻撃」を提言したことについて、「外交(的解決)が正解であり、追求しているところだ」と述べ、現時点で北朝鮮のミサイル発射基地を攻撃する可能性を否定した。
 また、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した場合、米本土に配備してある地上発射型迎撃ミサイルでの迎撃に踏み切るかどうかについては、「長距離ミサイル迎撃システムの作戦能力は限定的だ」と述べ、慎重に対応する考えを強調した。
 訪問先のブダペストで記者団の質問に答えた。
(読売新聞) - 6月23日3時9分更新

(参考記事8)
[対テポドン、米が「実戦モード」に…米紙が報道]
 【ワシントン=五十嵐文】20日付の米紙ワシントン・タイムズなど複数のメディアは、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した場合、ブッシュ政権はミサイル防衛システムでの迎撃を選択肢として検討している、と報じた。
 この2週間以内に、アラスカ州などに配備している地上発射型迎撃ミサイルを「試験モード」から「実戦モード」に切り替えたという。
 地上発射型迎撃ミサイルは、高高度を飛行中のミサイルを迎撃するミサイルで、アラスカ州フォートグリーリー基地に9基、カリフォルニア州バンデンバーグ基地に2基の計11基が配備されている。
 また、日本海には2隻のイージス艦が警戒航行中で、北朝鮮による発射を探知し次第、迎撃可能な体制が整うという。
(読売新聞) - 6月21日13時52分更新

(参考記事9)
[中国の国連大使「発射すべきでない」北に自制求める]
 【ニューヨーク=白川義和】中国の王光亜国連大使は19日、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を進めていることについて、「発射すべきではない」と北朝鮮に自制を求めた。国連本部で記者団に語った。
 王大使はただ、「北東アジアの政治状況を複雑化させるような行動は、現場であれ、国連安全保障理事会であれ、取られるべきではない」とも述べ、ミサイルが発射された場合でも、安保理による制裁には反対する姿勢を示唆した。
 一方、米国のボルトン国連大使は同日、日本の大島賢三国連大使ら関係国の大使と会談し、安保理の対応について調整を始めた。ボルトン大使は記者団に「日米間には幅広い合意がある」と述べ、ミサイル発射時は日本と連携し、安保理を通じて北朝鮮への圧力強化を図る方針を強調した。
(読売新聞) - 6月20日12時29分更新

(参考記事10)
<テポドン2号>発射なら新規の対北支援は困難 韓国統一相
 【ソウル中島哲夫】韓国の李ジョンソク統一相は21日、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射実験に踏み切った場合、新規の対北支援は困難になるとの見解を最大野党ハンナラ党に伝えた。聨合ニュースが報じた。
 李統一相は同党幹部への説明で、ミサイル発射となれば「現在(既に)進行中の開城工業団地事業のような場合はともかく、追加支援は困難ではないか。米や肥料を(無償で)供与することはできないだろう」などと語ったという。
 李統一相は、ミサイルが発射されても「南北関係の全面的な中断は避ける方がよい」とも述べたという。
(毎日新聞) - 6月21日18時23分更新

(参考記事11)
[北ミサイル脅威で米日同盟が強化…韓国は孤立か]
北朝鮮のミサイル危機が韓半島安保構図にも少なからず影響を及ぼす見通しだ。 北朝鮮が射程距離6700キロ以上の「テポドン2号」ミサイルを米国に向けて発射した場合、6カ国協議、朝日平壌(ピョンヤン)宣言、6.15南北(韓国・北朝鮮)共同宣言など韓半島安保を担保とする3大緩衝装置がすべて破られる公算が大きい。 この過程で、北朝鮮との距離を狭めてきた韓国政府が孤立する可能性もある。
◆6カ国協議崩れる=02年以降に浮上した第2次核危機にもかかわらず、朝米関係が正面衝突を避けることができたのは、6カ国協議という緩衝装置があったからだ。 しかし北朝鮮が米国の方向へテポドンを発射した場合、状況は180度変わる。 事実上、6カ国協議の構図は崩壊し、朝米関係は最悪へと向かう恐れがある。 ライス米国務長官も19日、「ミサイル発射=6カ国協議破棄」という警告を明らかにした。 この場合、米国は北朝鮮を国連安全保障理事会に付託するほか、韓国や日本と連携して北朝鮮制裁を推進するはずだ。 従来の金融制裁、人権カードで平壌への圧力を強める可能性も高まる。
◆米日同盟は強化=日本は、北朝鮮がミサイルを発射した場合、朝日平壌宣言(02年)が破棄されたと判断し、直ちに北朝鮮制裁に動く方針だ。 特に、日本は安保理制裁とは別に万景峰(マンギョンボン)号の入港禁止、北朝鮮への送金中断などの措置も検討している。 また北朝鮮のミサイルカードは日本の軍事大国化に名分を与える可能性もある。 産経新聞は20日、北朝鮮のミサイル発射脅威を契機に、日本は米国のミサイル迎撃用パトリオット(PAC-3)ミサイルを年内に日本に配置するなど、ミサイル防衛(MD)協力を操り上げる案を検討中と報じた。
◆韓国は孤立か=韓米日3カ国のうち韓国の立場が最もあいまいだ。 韓国政府は19日、北朝鮮が発射の準備を進めているのはミサイルでなく「衛星発射体」という主張をした。 人工衛星用のロケット発射なら北朝鮮を制裁する名分が弱まる。 しかしこうした見解はワシントンでは容易に受け入れらない。 実際、米政府関係者はミサイルか人工衛星かに関係なく、米国に脅威を与えるのは同じだという立場を明らかにした。 専門家の間では、韓国が北朝鮮ミサイル問題への対処を誤った場合、北東アジアで孤立する可能性もあるという憂慮の声も出てきている。
崔源起(チェ・ウォンギ)記者
(2006.06.21 14:05:37 中央日報)


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4 コメント

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ペリー元国防長官の投稿は批判が圧倒的 (tsubamerailstar)
2006-06-24 09:44:27
WaPoへの投稿は結構メリケンでも波紋を呼んでいるようですが、↓の社説あたりが正鵠を射ているのかもしれません。ペリー氏とカーター氏は先制攻撃がもたらす被害やエスカレーションといった負の側面についての十分な論考を行っておらず、94年に強硬論の立場に立っていたならば今日の状況はなかったと批判していますね。

どちらかというと、当時の宥和政策への取り繕い的な意味合いで寄稿したのかもしれませんが、かえって返り血を浴びた格好のようで。(汗)



<Tough talk on Korea, too late>

http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-schoenfeld23jun23,0,5235202.story?coll=la-news-comment-opinions

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tsubamerailstarさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-06-24 12:18:49
ペリーの投稿は唐突でしたね。



>どちらかというと、当時の宥和政策への取り繕い的な意味合いで寄稿したのかもしれませんが



なるほど、ひょっとするとそれはあるかも知れない。ご紹介の記事ではまさに「やぶ蛇」の形ですね。ただ、94年当時も武力行使のオプションは一応検討されてたわけで、「こんどこそ」と思ったのかもしれませんが、ペリーの論はやはり巧か拙かといえば拙ですよ。
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Unknown (kaizin)
2006-06-27 11:26:45
テポドン2が脅威だと本気で思っているのは、アメリカだけなんじゃないですか?

日本の立場で考えると、北鮮の通常ミサイル200基超がオキナワ及び西日本の日本海沿岸部に照準を合わせてセットされているという噂が実しやかに出てくることの方が脅威です。。。

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kaizinさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-06-28 07:27:54
>テポドン2が脅威だと本気で思っているのは、アメリカだけなんじゃないですか?



ある意味ではそうともいえます。ああいう長射程の弾道ミサイルを日本に向けて撃ち込むというのは無駄な使い方ですから。

しかし、テポドン2だかテポドンXだか分かりませんが、そういう話が出ることは、脅威ということもさることながら、ミサイル防衛を進めるよい口実になります。そして、そのターゲットは中国です。MDの実効性は議論のあるところだとしても…。
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