猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

自衛隊のイラク派遣延長について

2005-12-03 00:19:19 | 安全保障・自衛隊
 11月28日のエントリー『Friend in need is friend indeed-必要な時の友こそ真の友』の続報である。その記事の中で「陸自の派遣を延長してイラクの治安維持組織の構築を援助すべきだ」と、無理は承知の上で主張した。やはり、海外での武力行使は禁じられているという憲法解釈にしばられたまま自衛隊を派遣しているので、どうしても制約が大きくなってしまう。しかし、憲法9条第1項で禁じられている「武力の行使」はあくまでも「国際紛争を解決する手段としては放棄する」と明記されている。つまり、イラクにイラク人による政府ができた以上は、国際紛争ではないので、イラクにおいて武器の使用をともなう治安維持活動を自衛隊が行うことは、現行憲法下でも何ら問題のない行為である。この点は、今回は見送るのもやむを得ないとして、憲法改正以前に解釈変更は必要である。
 さて、そういう諸々の事情を勘案した結果、次のような方針に決まったようである。イラクへの自衛隊派遣自体は1年延長することとし、陸自は来年春頃を目途に撤退するものの、引き続き空自が駐留してクウェートを拠点として輸送活動を行い、米軍の支援を続けるものとする。おそらく、輸送先の拡大も行われるであろう。日米同盟の強化に資するというのがイラク派遣の最大の目標である以上は、現実的には次善の策として、これでよしとするべきなのだろう。また、イラクにとっても、空自の駐留延長による輸送活動の延長も、間接的な支援には違いない。ただし、「顔が見えない」感じは否めないと思う。


(参考記事1)
<イラク自衛隊>額賀長官が派遣延長方針を明言
 額賀福志郎防衛庁長官は2日午前の記者会見で、14日に期限切れとなる自衛隊のイラク派遣について「イラク移行政府が強く自衛隊の活動を望んでいる。引き続き行動していくことを前提に協議している」と述べ、延長方針を明言した。政府は現行の基本計画の活動内容や派遣規模を維持したまま、派遣期間のみ1年間延長する方向で与党と協議を進めているが、派遣延長を前提にしていることを正式に認めたのは額賀長官が初めて。
 当初、派遣延長を盛り込んだ基本計画の閣議決定は9日の予定だったが、党首会談などの日程調整で8日に変更された。【古本陽荘】
(毎日新聞) - 12月2日12時16分更新

(参考記事2)
[陸自撤収後も空自残留=対米配慮で輸送先拡大も-政府検討]
 政府は2日、自衛隊のイラク派遣に関し、来年前半に陸上自衛隊が撤収した場合でも、クウェートを拠点とする航空自衛隊の輸送活動は続ける方向で検討に入った。自衛隊の活動継続を求めている米国に配慮した措置で、輸送先の拡大も検討する方針だ。 
(時事通信) - 12月2日23時1分更新


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4 コメント

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TB先が見つかってうれしいです (舎 亜歴)
2005-12-03 12:39:17
こちらからTBできる記事が見つかってうれしいです。今や「人気のブログランキング」は中韓朝や「小泉劇場」のゴシップ記事ばかりなのを苦々しく思っていました。



しかし安全保障の問題でいつまでも憲法に縛られるのは奇異です。先の自民党案でさえ、9条を残そうとしているのは苛立つ限り。その一方で、憲法にはどうでもよいような「アジアと大和民族の歴史」などを盛り込もうと大真面目なのは理解に苦しみます。こうしたことは教育現場や個々人の思想良心の問題です。



そもそも司法に安全保障の判断を委ねる余地などなくしたいものです。



ところで自民党中央政治大学院とはどのような組織ですか?そちらと関わられているなら、猫研究員さんは今は東京に居るのでは?プロフィールは福岡県となっていますが?



私はその組織に多いに興味をひきつけられます。機会があれば、会合などにも参加してみたいのですが。
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舎 亜歴さまへ (猫研究員。(高峰康修))
2005-12-03 17:39:51
「TB先が見つかってうれしいです 」と評価していただき、光栄です。

まず、中央政治大学院ですが、党則上の組織であるにもかかわらず、ご期待のような組織とはかけ離れているのではないかと危惧いたします。基本的に自民党の政策を広報するためのものです。市民講座みたいな…。研究員の活動というのも、全く自主的活動にまかされていて、課される義務はといえば年に一度の小論文だけなんです。”インターネット・キャンパス”なものだから東京在住でなくても務まるわけです。麗々しい肩書きがお恥ずかしい限りです。舎 亜歴さんのレベルの高いブログを拝見しておりますと、安倍官房長官が構想しているシンクタンクが出来たときに、そちらに関わることを目指されたほうが満足いくのではないかという印象を受けます。中央政治大学院自体、出来たばかりの組織なので模索している状態なのかもしれませんが…。



さて、憲法についてですが、全く同感であります。特に、



>その一方で、憲法にはどうでもよいような「アジアと大和民族の歴史」などを盛り込もうと大真面目なのは理解に苦しみます。



この部分ですね。「歴史と伝統」を盛り込みたい人々が多すぎます。しかも、それが保守主義者のあるべき姿だと思い込んでいる節がある。憲法の中に歴史と伝統があるのではなく、歴史と伝統の中に憲法があるのであって、思考回路が本末転倒に思えます。

9条に関しては、1項をそのまま残すのならば新設の「自衛軍条項」と整合性が取れるように、その解釈を改めておくべきでしょう。私は、軍の規定は現行9条の規定を踏襲するべきではなく、いわゆる統治機構の諸章の一つとして設けるのが理にかなっていると考えています。ケロッグ・ブリアン条約の趣旨は書きたければ前文にでも書けばよいことです。
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民間はいつ? (チビた)
2005-12-05 00:44:00
はじめまして。

民間人による復興支援活動ができるようなるのには

あとどのくらいの期間が必要だと思われますか?
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チビたさまへ (猫研究員。(高峰康修))
2005-12-05 15:58:04
はじめまして。

大変難しい質問ですね。民間の復興支援活動が、どのぐらいの危険に晒されても構わないと考えるか、その程度に依存するんだろうと思います。

理論的には、陸上自衛隊が撤退すると予想される来春は一つの目安です。もっと安全を期したいというのであれば、1年またはそれ以上ということになります。しかし、来年1月に予定されている総選挙を見てみないと何とも断定的なことはいえないように思います。
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