イラク復興支援ための自衛隊派遣といえば、なんといってもサマワ駐留の陸自が有名だが、実は空自もイラク特措法に基づいて輸送業務についている。現在のところの主な任務は、クウェートにあるアリ・アル・サーレム空軍基地を拠点に、陸上自衛隊や多国籍軍の人員・物資を陸自が活動するサマワ近郊のタリルとバスラに輸送するというものである。
しかし、陸自の撤退が現実的な政治日程に上がってきているので、空自の陸自支援という任務は見直しを迫られることになるだろう。例えば、すでに米国は陸自撤退後も空自は残留してバグダッドなどへの物資輸送にあたるよう要請している。さらに国連が、バグダッドへの国連の人員・物資輸送を非公式に要請してきている。国連は、2003年8月のバグダッド国連現地本部での爆弾テロ事件後、イラクでの活動を大幅に縮小し、約660人の国連イラク支援団(UNAMI)で、復興支援にあたっている。しかし、イラクの新政府発足による治安の回復を見込んで、現地事務所の機能回復と現地での活動拡大を図る方針のようである。また、空自の任務拡大とは直接関係ないが、駐日イラク大使が陸自の撤退問題に関して、自衛隊の撤収は段階的にお願いしたいと講演で述べている。陸自の撤退と引き換えに空自の任務を拡大することはイラクにとっても望ましいことであろう。イラクに必要とされている自衛隊をできる限り残しておくことが、新生イラクの親日感情を高め、ひいては中東での日本のプレゼンスを損なわないことになる。
米国に加えて国連が要請してきているということは、日米同盟の強化の観点に加えて国際貢献の大義名分をより鮮明にするものだ。もちろん、イラクへの配慮もある。従って、小泉首相がアナン国連事務総長との会談で、検討を表明したのは当然のことである。空自の人員及び物資輸送拡大業務は是非とも迅速に拡大すべきである。
(参考記事1)
[イラク空自が国連の人員・物資輸送、政府検討]
政府が、イラク復興支援特別措置法に基づく航空自衛隊の輸送業務について、新たにクウェートから首都・バグダッドへの国連の人員・物資輸送を検討していることが、15日明らかになった。
イラクでの活動拡大を目指す国連からの非公式の要請を踏まえたものだ。国連のアナン事務総長は17日に予定されている小泉首相との会談で輸送面での協力を要請する見通しで、要請があれば首相も前向きに検討する姿勢を表明する。
国連は、2003年8月のバグダッド国連現地本部での爆弾テロ事件後、イラクでの活動を大幅に縮小し、約660人の国連イラク支援団(UNAMI)を作り、復興支援にあたっている。イラク新政府発足に合わせ、現地事務所の機能回復と現地での活動拡大を図る方針で、国連職員の移動や物資輸送のため、輸送機の提供を日本など複数国に非公式に要請している。
空自は現在、C130輸送機3機、隊員約200人の態勢で、クウェートのアリ・アル・サーレム空軍基地を拠点に、陸上自衛隊や多国籍軍の人員・物資を陸自が活動するサマワ近郊のタリルとバスラに輸送している。陸自撤収後はタリルへの空輸の需要が激減するため、米政府は空自の輸送先をバグダッドなどに拡大し、活動を継続するよう日本に求めていた。日本側には自衛隊の制服組を中心にバグダッド輸送について、安全面で懸念を示す向きが多かったが、〈1〉バグダッド国際空港周辺はテロ警戒が極めて厳重で、安全性に問題ないことが確認できた〈2〉国連に対する輸送協力は、国民の理解も得やすい――との判断から、実施の方向で検討することにした。
(2006年5月16日3時1分 読売新聞)
(参考記事2)
<小泉首相>アナン氏と会談 イラク国連輸送に応じる考え
小泉純一郎首相は17日、来日中のアナン国連事務総長と首相官邸で会談した。アナン氏がイラクで活動する国連の人員・物資の空輸協力を要請したのに対し、首相は「積極的に検討して前向きに対応したい」と述べ、航空自衛隊のC130輸送機による輸送に応じる考えを表明した。現在、空自輸送部隊がクウェート―イラク南部間で多国籍軍物資などの輸送業務に当たっており、今後は国連物資を輸送するため、活動範囲をバグダッドに広げることを検討する。
政府はイラク南部サマワの陸上自衛隊部隊を6月以降に撤退させる方向で米国などとの調整を進める一方、陸自撤退後も空自の派遣を継続することで、イラクの多国籍軍に自衛隊を残したい考え。米側からもバグダッドへの物資輸送を期待されているが、これまでは攻撃を受ける危険があるとしてバグダッド空港への乗り入れを避けてきた。
国連イラク支援団(UNAMI)は03年8月に国連バグダッド事務所が爆破されたテロ事件以降、規模を縮小。組閣作業が進められているイラク正式政府の発足後、本格的な人道支援を再開する方針で、国連加盟国に協力を要請している。アナン氏は首相との会談で「イラクが分裂国家になっては困る。国際社会として安定化を支援することは重要だ」と強調した。【山下修毅】
(毎日新聞) - 5月17日21時2分更新
(参考記事3)
[駐日イラク大使「自衛隊の撤収は段階的に」]
ガーニム・アルジュマイリ駐日イラク大使は16日、都内で講演し、イラク南部サマワで活動する陸上自衛隊の撤収問題について、「サマワはイラク国内では安全な地域で、イラク治安部隊に権限が委譲される可能性があるが、(自衛隊撤収の)プロセスは段階的にしてほしい」と述べた。
(2006年5月16日18時43分 読売新聞)
☆ぜひとも、をクリックして、ランキングに投票して応援してくださいm(__)m
しかし、陸自の撤退が現実的な政治日程に上がってきているので、空自の陸自支援という任務は見直しを迫られることになるだろう。例えば、すでに米国は陸自撤退後も空自は残留してバグダッドなどへの物資輸送にあたるよう要請している。さらに国連が、バグダッドへの国連の人員・物資輸送を非公式に要請してきている。国連は、2003年8月のバグダッド国連現地本部での爆弾テロ事件後、イラクでの活動を大幅に縮小し、約660人の国連イラク支援団(UNAMI)で、復興支援にあたっている。しかし、イラクの新政府発足による治安の回復を見込んで、現地事務所の機能回復と現地での活動拡大を図る方針のようである。また、空自の任務拡大とは直接関係ないが、駐日イラク大使が陸自の撤退問題に関して、自衛隊の撤収は段階的にお願いしたいと講演で述べている。陸自の撤退と引き換えに空自の任務を拡大することはイラクにとっても望ましいことであろう。イラクに必要とされている自衛隊をできる限り残しておくことが、新生イラクの親日感情を高め、ひいては中東での日本のプレゼンスを損なわないことになる。
米国に加えて国連が要請してきているということは、日米同盟の強化の観点に加えて国際貢献の大義名分をより鮮明にするものだ。もちろん、イラクへの配慮もある。従って、小泉首相がアナン国連事務総長との会談で、検討を表明したのは当然のことである。空自の人員及び物資輸送拡大業務は是非とも迅速に拡大すべきである。
(参考記事1)
[イラク空自が国連の人員・物資輸送、政府検討]
政府が、イラク復興支援特別措置法に基づく航空自衛隊の輸送業務について、新たにクウェートから首都・バグダッドへの国連の人員・物資輸送を検討していることが、15日明らかになった。
イラクでの活動拡大を目指す国連からの非公式の要請を踏まえたものだ。国連のアナン事務総長は17日に予定されている小泉首相との会談で輸送面での協力を要請する見通しで、要請があれば首相も前向きに検討する姿勢を表明する。
国連は、2003年8月のバグダッド国連現地本部での爆弾テロ事件後、イラクでの活動を大幅に縮小し、約660人の国連イラク支援団(UNAMI)を作り、復興支援にあたっている。イラク新政府発足に合わせ、現地事務所の機能回復と現地での活動拡大を図る方針で、国連職員の移動や物資輸送のため、輸送機の提供を日本など複数国に非公式に要請している。
空自は現在、C130輸送機3機、隊員約200人の態勢で、クウェートのアリ・アル・サーレム空軍基地を拠点に、陸上自衛隊や多国籍軍の人員・物資を陸自が活動するサマワ近郊のタリルとバスラに輸送している。陸自撤収後はタリルへの空輸の需要が激減するため、米政府は空自の輸送先をバグダッドなどに拡大し、活動を継続するよう日本に求めていた。日本側には自衛隊の制服組を中心にバグダッド輸送について、安全面で懸念を示す向きが多かったが、〈1〉バグダッド国際空港周辺はテロ警戒が極めて厳重で、安全性に問題ないことが確認できた〈2〉国連に対する輸送協力は、国民の理解も得やすい――との判断から、実施の方向で検討することにした。
(2006年5月16日3時1分 読売新聞)
(参考記事2)
<小泉首相>アナン氏と会談 イラク国連輸送に応じる考え
小泉純一郎首相は17日、来日中のアナン国連事務総長と首相官邸で会談した。アナン氏がイラクで活動する国連の人員・物資の空輸協力を要請したのに対し、首相は「積極的に検討して前向きに対応したい」と述べ、航空自衛隊のC130輸送機による輸送に応じる考えを表明した。現在、空自輸送部隊がクウェート―イラク南部間で多国籍軍物資などの輸送業務に当たっており、今後は国連物資を輸送するため、活動範囲をバグダッドに広げることを検討する。
政府はイラク南部サマワの陸上自衛隊部隊を6月以降に撤退させる方向で米国などとの調整を進める一方、陸自撤退後も空自の派遣を継続することで、イラクの多国籍軍に自衛隊を残したい考え。米側からもバグダッドへの物資輸送を期待されているが、これまでは攻撃を受ける危険があるとしてバグダッド空港への乗り入れを避けてきた。
国連イラク支援団(UNAMI)は03年8月に国連バグダッド事務所が爆破されたテロ事件以降、規模を縮小。組閣作業が進められているイラク正式政府の発足後、本格的な人道支援を再開する方針で、国連加盟国に協力を要請している。アナン氏は首相との会談で「イラクが分裂国家になっては困る。国際社会として安定化を支援することは重要だ」と強調した。【山下修毅】
(毎日新聞) - 5月17日21時2分更新
(参考記事3)
[駐日イラク大使「自衛隊の撤収は段階的に」]
ガーニム・アルジュマイリ駐日イラク大使は16日、都内で講演し、イラク南部サマワで活動する陸上自衛隊の撤収問題について、「サマワはイラク国内では安全な地域で、イラク治安部隊に権限が委譲される可能性があるが、(自衛隊撤収の)プロセスは段階的にしてほしい」と述べた。
(2006年5月16日18時43分 読売新聞)
☆ぜひとも、をクリックして、ランキングに投票して応援してくださいm(__)m
ところで、夕べNHKでアナンさんのインタビューがありましたが、アナンさんは韓国の言い分にも一理あると思っているようですね。
アナンが韓国の主張にも理解を示したと言うのは、竹島の件ですかね。国連事務総長が深入りすべきことではないと思いました。