猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

排出CO2、地中に埋設・Jパワーや石播など、豪で初の事業化

2006-05-04 20:46:59 | 環境・防災・エネルギー
 温室効果ガスの放出による地球温暖化問題に関して、二酸化炭素を液化した上で地中に埋蔵処理する技術なるものがある。日本ではこれまであまり大々的には取り上げられて来なかった技術だが、アメリカなどでは大いに注目されていたようで、有名な外交専門誌『フォーリンアフェアーズ』などでもよくお目にかかる。何とも原始的というか乱暴な発想の技術に思えるが、「温暖化問題を契機にした新たな技術開発」という持論にかなっている。
 このたび、Jパワー(電源開発)、石川島播磨重工業と経済産業省は、石炭火力発電所が排出する二酸化炭素(CO2)を液化して地中に埋蔵処理する日本の技術を世界で初めて豪州で事業化することになったと報じられている。液化処理施設はオーストラリアのクインズランド州にある火力発電所に設けられ、2007年着工、09年稼動開始の予定である。年間2万―3万トンを処理など微々たるものとしかいいようがなく、日本の温暖化ガス排出権の獲得への寄与も酷な言い方をすればほとんどゼロに近い。
 それでも、この事業化を推進する意義はあると思う。それは、オーストラリアとの経済的および政治的連携強化に繋げるためである。昨今、中国とオーストラリアの経済的な急接近が指摘されている。こういう技術的な連携は、日本でなければできないことである。温暖化防止の観点からは、石炭はとかく悪役とされがちな資源だが、オーストラリアは石炭の大産出国であり、発電もこれに大きく頼っている。したがって温暖化防止の国際的枠組みへの参加に消極的にならざるを得ないのだが、二酸化炭素埋蔵処理技術により石炭をも有効利用できるとなれば、温暖化防止の国際的枠組みへの参加を検討することができるようになり、オーストラリアの国際社会におけるイメージ向上にも役立つというものである。それを我が国が官民をあげて支援するとなれば、ひいては日豪の政治的な繋がりも深まるはずである。



(参考記事)
[排出CO2、地中に埋設・Jパワーや石播など、豪で初の事業化]
 Jパワー(電源開発)、石川島播磨重工業と経済産業省は、石炭火力発電所が排出する二酸化炭素(CO2)を液化して地中に埋蔵処理する日本の技術を世界で初めて豪州で事業化する。総事業費は約140億円で、日豪の官民のほか、米欧企業も参加する。今後、世界各地で展開し、環境問題から敬遠されがちな石炭資源の有効活用を促す。日本の温暖化ガス排出権の獲得にもつなげる計画だ。
 液化処理施設は豪州東北部のクインズランド州にある火力発電所に設ける。2007年に着工、09年に運転を始める。当面は発電所が排出するCO2の5分の1程度に当たる年間2万―3万トンを処理する。
(日経新聞 5月4日 07:00更新)


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2 コメント

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地中に埋設 (PJ)
2006-05-05 09:05:57
火山とか温泉とか地震とか怖い気がしますけど・・・。

圧力掛けて液体になってるのなら、容器が壊れたら地中から大気中にいっぺんに放出されたりしないんでしょうか?

何か混ぜて液体にしてるんでしょうか?

いいことなんでしょうけど・・・、

どちらにしても地中に埋設って薄気味悪いです。
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Unknown (猫研究員。=高峰康修)
2006-05-05 14:36:54
>PJさん

容器に入れるわけじゃなくて、高圧で液化してから直接地中に封入するんですよ。米国での実例では地下1400メートルに封入して地上に漏れ出てこないという結果が報告されています。

もっと面白いのが、油田に高圧液化二酸化炭素を封じ込めると、圧力が高まることで原油の採掘量が増えたりもします。二酸化炭素を地中に埋めて、化石燃料をより多く掘り出すというのも変な話ではありますが…。
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