猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

スーダン、ダルフール紛争で一部和平合意

2006-05-07 22:23:12 | その他各地域情勢
 最近、NATOやアメリカが介入強化を表明して、にわかに和平交渉がクローズアップされてきたダルフール紛争について。そもそも、ダルフール紛争というのは、スーダン西部ダルフール地方で2003年2月以降、アラブ系の政府軍や民兵と黒人系の反政府勢力との紛争が激化した内戦状態である。民兵による黒人系住民の村の無差別襲撃や病気により18万人以上が死亡し、約200万人が国内避難民になったと、国連の報告にある。一旦、政府と反政府勢力2派は04年4月に停戦合意したものの紛争は継続している。
 それが、この5日に、スーダン政府と反政府組織「スーダン解放軍(SLA)」が和平協定に調印した。もっとも、協定に調印していない残りの2派の動き次第ということでもあり、これで完全解決というには程遠い話である。資金不足で各国からの拠出金が、今年は必要額の32%しか集まっていないという理由で、国連の世界食糧計画(WFP)が今月1日から、紛争の続くスーダンで西部ダルフール地方の国内避難民などに対する食糧配給を半減する措置に踏み切っている。深刻化している人道状況へのさらなる大きな打撃となる可能性がある。我が国のダルフール紛争への対応は『小泉総理、アフリカに関する「政策演説」』で触れたとおり、スーダンへ紛争解決に向けて1870万ドル拠出するというものである。
 ダルフール関連で「これは!」と思ったのは、カンボジアによるPKOの派遣である。国際社会への恩返しという意図なのだが、「カンボジア国内にはまだ推定数百万の地雷が残り、世界でもっとも地雷の脅威が深刻な国の一つに挙げられている。他国の地雷処理より自国を優先すべきだという考え方もあるかもしれない。しかし、むしろそうした状況にもかかわらず国際社会に恩返しをしようというカンボジアの心意気をここはくみ取るべきなのだろう」という産経新聞の記事に賛成したいと思う。こういうカンボジアの行動を見せ付けられると、日本は、国連安保理の常任理事国入りを目指すのならば、もっと積極的に関与するのが当然であると改めて痛感させられる。


 
(参考記事1)
[ダルフールで食糧配給半減 WFP、栄養不良深刻化も]
 【ジュネーブ7日共同】国連の世界食糧計画(WFP)が今月1日から、紛争の続くスーダンで西部ダルフール地方の国内避難民などに対する食糧配給を半減する措置に踏み切り、避難民の栄養不良が深刻化する恐れが強まっている。資金不足で、各国からの拠出金が今年は必要額の32%しか集まっていないためだ。
 「世界最大の人道危機」とされるダルフール紛争では、スーダン政府と反政府勢力3派のうちの1派が5日、和平協定に調印したが、残る2派は和平案を拒否しており、和平の行方は依然流動的。モリスWFP事務局長は、国際社会に一刻も早い資金拠出を呼び掛けている。
(共同通信) - 5月7日15時54分更新

(参考記事2)
[スーダン政府と反政府組織が和平協定に調印]
 [アブジャ 5日 ロイター] スーダン西部のダルフール地方の紛争で、同国政府と反政府組織「スーダン解放軍(SLA)」が5日、和平協定に調印し、3年間に及ぶ対立に終止符を打った。
 これまでの紛争では数十万人が死亡し、約200万人が避難を余儀なくされていた。
 国際的な圧力が高まる中、両者は数日間に及ぶ交渉を実施し、ナイジェリアの首都アブジャで協定調印に至った。
(ロイター) - 5月6日16時51分更新

(参考記事3)
<スーダン>政府と反政府3派のうち最大勢力、和平協定調印
 スーダン西部ダルフール地方の紛争でスーダン政府と反政府勢力3派のうち最大勢力のスーダン解放軍(SLA)が5日、ナイジェリアの首都アブジャで和平協定に調印した。紛争終結への大きな前進だが、協定に調印していない残りの2派が散発的な戦闘を続ける可能性があり治安の完全な回復には時間がかかるとみられている。
(毎日新聞) - 5月6日11時1分更新

(参考記事4)
[カンボジア、スーダンにPKO派遣 平和の定着象徴]
支援する側…国際社会へ恩返し
 長い内戦が続くアフリカのスーダンに、国連の平和維持軍の一員としてカンボジアが先月、地雷処理部隊を派遣した。国連史上、最大規模の平和維持活動(PKO)の舞台にカンボジアがなって十年あまり。支援される側からする側への立場の逆転はこの国での平和の定着を象徴している。
 四月十二日にプノンペンで開かれた派遣式典にフン・セン首相は「派遣部隊に敬意を表して」自らも珍しく軍服に身を包んで出席した。国連軍の象徴であるブルーベレー姿の派遣部隊を閲兵した首相は「カンボジアの歴史に新たなページを記した」と初のPKO参加の意義を強調した。
 実は、カンボジアが海外に兵を出すのは今回が初めてではない。シソワット王治下の二十世紀初頭、宗主国フランスの軍の一翼を担い、第一次大戦の欧州戦線にカンボジア人部隊も投入された。首相は「フランス植民地の旗の下、アルジェリアにまで遠征した」とその故事に触れ、今回は国連の下での純然たる人道目的の派兵だと、その違いを力説した。
 スーダンに今回派遣されたのは百三十五人で、南部の白ナイル沿いの町、マラカルを拠点に地雷処理活動に従事する。カンボジア政府によると、ほかに千人あまりの地雷処理要員を将来の国連の要請に備えて用意しているという。
 スーダンではイスラム教徒とキリスト教徒の対立を背景に南部で内戦が二十年以上続いた。昨年一月に紛争当事者が包括和平で合意したのを受けてPKOのために国連スーダン派遣団(UNMIS)が進駐した。カンボジア部隊はその一員として活動する。
 今から十年あまり前のカンボジアはまさに今のスーダンと同じような状況だった。ポル・ポト政権による恐怖支配をはさんで、二十年以上にわたる内戦が続いていた。紛争四派による和平合意を受けて平和実現の任を託されたのが、明石康・元国連事務次長を長とする国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)である。
 一九九二年三月からの一年半の活動期間中にUNTACが投じた人員は軍人・文官計二万二千人、総経費は約十九億ドルにのぼる。停戦監視から紛争各派の武装解除、約四十万人もの難民の送還、地雷や不発弾の処理、総選挙の実施にまで及ぶ国連史上最大のPKOだった。
 総選挙は九三年に無事行われ、シアヌーク国王が復位して新生カンボジア王国が誕生した。その後、連立政権の内輪もめやフン・セン首相の強権体質への反発など決して平坦(へいたん)な道のりではなかったが、戦火は収まり、平和は定着した。派遣式典での演説でフン・セン首相が初のPKO参加を決断した理由の一つにあげたのも「国内の平和」だった。
 ブルーベレー姿のカンボジア兵を見て、思いだしたのはUNTACの中核として駐留していたインドネシア部隊である。よれよれの軍服を着て士気も低いカンボジア兵に比べて、制服、装備、規律のどれをとっても格段の差があった。あのカンボジアの兵士たちが今度は自らブルーベレーをかぶって外国に赴くとは隔世の感がある。
 国民もPKO参加を支持しているようだ。野党、サム・レンシー党のメン・リタ書記長代行は派兵を歓迎すると言っている。ふだんは政府に批判的なあるジャーナリストも「国連の一員としてカンボジアが参加できることをとても誇りに思う」と語る。
 カンボジア国内にはまだ推定数百万の地雷が残り、世界でもっとも地雷の脅威が深刻な国の一つに挙げられている。他国の地雷処理より自国を優先すべきだという考え方もあるかもしれない。しかし、むしろそうした状況にもかかわらず国際社会に恩返しをしようというカンボジアの心意気をここはくみ取るべきなのだろう。(在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真)
(産経新聞) - 5月3日2時51分更新


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4 コメント

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常任理事国 (PJ)
2006-05-08 10:21:54
入りたい入りたいというのは恥ずかしい気がします。

入りたくてお金をばら撒いているみたいに見えてみっともない・・・。

アフリカの記者から『なぜ急にアフリカに来たんですか?』って質問されてましたねぇ(汗)

本当に外務省が言うほどアフリカを支援してたんでしょうか?

日本は陰徳を積む国であって欲しいってのは理想論でしかないんでしょうけど。

アフリカ諸国も結構ずる賢い気が・・・。
PJさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-05-08 15:30:05
常任理事国に入りたいからといって、いくらアフリカ諸国に金をばらまいてみても、常任理事国がイエスと言わなければ無駄に終わります。みっともなく見える行動はとるべきではないでしょうね。そもそも、常任理事国にはなりたいが、軍隊は紛争地域に派遣できないなんて独りよがりが通用するわけがない。これは猛省を促したいですよ。

従来から額で言えば援助していないというわけではないのですが、質というかやり方に問題があったように思います。例えば灌漑施設や発電施設を援助したとして、そのメンテナンス技術などにまで行き届いていなくて結局無駄になったり、そういう話も聞きますし…。また、援助という手段を通して受入国の「よい統治」すなわち、法の支配の概念や経済的な公正さなどといった概念を定着させるといった理念がなければ、実効的なものにはならないのでしょう。結局支配層を潤して終わりということになります。
目標と評価基準を (PJ)
2006-05-09 11:18:58
もっと私たちの目に見えるようにして欲しいと思うんです。

例えば、学校を作るためにODAを渡すんなら施設基準と達成の評価として普及率、教育の普及なら指導者数と参加数の増加割合と識字率とか。こんな簡単な統計でも、見えるようにしてくれれば納得できるし、結果が出れば嬉しいし、日本国民もがその気になって応援できると思うんですよね。
PJさんへ (猫研究員。=高峰康修)
2006-05-09 23:57:01
確かにそれは大きいですね。国民の税を直接国民のためではなくて他国への援助に使うわけですから、関心を特に深く持っている人だけでなくて、一般の方々に分かりやすい指標を開示するのは不可欠なことです。「金を出す者による監視」が援助の質向上のためにも、援助を日本の国益のためにという観点の徹底の面からも重要ですから、よいコメントを頂戴したと感じております。