石橋みちひろのブログ

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参議院行政委員会での今日の質問

2011-05-16 23:23:43 | 活動レポート
今日、参議院行政監視委員会で質問しました。



やはり、25分は短い・・・。本当に、あっという間に終わってしまいました。片道でなく、往復で25分なので、政府側からの答弁が長ければそれだけ質問できる項目が少なくなります。今日は結局、予定をしていた6つの問題のうち、4つしかカバーできませんでした。最初の方で、細川厚生労働大臣が答弁に7分ぐらい使ってしまったのですが、それが非常に痛かった・・・。まあ、大臣にそういうオープンエンドの質問をしてしまったこちらが悪いのですが。

それでも、福島原発作業員の健康・安全管理問題で、いくつか重要な答弁を引き出せました。

1.福島原発作業員の健康・安全管理を厚生労働省の責任してしっかりやらなければならないという細川大臣の決意
2.250ミリシーベルトに被曝上限を引き上げたことで、中・長期的な健康リスクは確実に高まるという点
3.だからこそ、累積被曝線量管理を即時、やらなければならないという点
4.今後の健康管理が大事で、これも厚生労働省としてしっかり対応を進めていくという点



(答弁する細川厚生労働大臣)

しかし、冒頭と最後、この問題について政府を代表しての見解を求めた経済産業省の答弁は、全くがっかりでした。福島原発作業員の健康・安全管理問題は、政府の責任でしっかりやるべし、という質問に対して「東電が一義的にやる、それをしっかり監督してく」と。違うでしょ! また、今後の健康管理と補償をしっかりやっていくために、政府の責任で特別な保障制度の検討を始めるべきだ、という問いかけには、全くまとはずれな回答(わざと?)。

厚生労働省は、それなりにしっかり頑張っているし、今後も取り組みを進めていこうという態度が見えるのですが、経済産業省はダメですね。この点、今後も我々の仲間たちと一緒に、しっかりとした対応を求めていかないといけません。

今日の質問概要は下記の通りです。これは、あくまで概要を知っていただくためのもので、正確なスクリプトではありませんのでご注意を。政府答弁の方はまたあらためて書き加えます。最後におまけで、質問出来なかった2点も付け加えておきます。「そっちの方が重要だったのでは?」という声も聞こえてきそうですが、それは別の場で必ず追求していきますのでご容赦を・・・。

昨日も書きましたが、今回は今日の質疑より、事前の調査や官僚とのやり取りでいろいろなことが分かりました。この点は、あらためてこのブログで報告したいと思います。



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参議院行政監視委員会 2011年5月16日
質問者 参議院議員 石橋みちひろ
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民主党・新緑風会の石橋通宏です。質問の機会をいただいてありがとうございました。

今日私は、福島原発事故収束のために、3月11日の事故発生以来、現場で本当に献身的にがんばって下さっている全ての作業員の皆さんに心から感謝しながら、作業員の皆さんの安全と、命と、健康を守る行政の責任という点に絞って質問させていただきます。


1. 福島第一原発事故の収束と作業員の命と健康の確保を両立すること

まず、政府に確認します。

福島原発の事故を一日も早く収束させることは、もはや東京電力という一民間企業の問題ではなくて、国の責任として、政府が全力で取り組まなければならない問題であることは言うまでもありませんが、その事故収束のためには、今まさにその作業を担ってくれている、またこれから担ってくれる全ての作業員の安全と、命と、健康を守ること、これを同時に政府の責任として確保しなければならないと考えますが、この点について政府の見解と決意をまず確認させて下さい。

(中山経済産業大臣政務官)
今御指摘の点で、責任の問題がありますが、国が収束の道筋をアドバイスし、東電がそれを確実に行うことを我々がしっかり見ていくという意味で、我々の責任、国の責任は大変重いし、しっかりやっていかなければならないと思います。


私は政府がこの作業員の安全、健康問題についてもしっかりと責任を持ってやっていただくことが重要だと考えております。


2. 福島第一原発で作業にあたってくれている作業員の安全・健康確保への決意

その観点から、厚生労働大臣にお聞きします。

厚生労働大臣は、5月7日に、福島第一原発を訪問されました。Jビレッジで防護服を着て、作業員の皆さんたちと同じようにバスで現場に入って、実際に防護服を着ながら免震棟の中や作業場の状況を視察しておられます。非常に過酷な現場で、作業員の方々が一生懸命に頑張っておられる姿を直にご覧になって、改めて、作業員の命と健康と安全を守る行政の責任という観点から何をお感じになりましたか?

(厚生労働大臣)
私は5月7日にJヴィレッジとそれから福島第一原発へ行ってまいりました。
Jヴィレッジから福島原発まで、マイクロバスで行きましたが、その間、人が一人も見えない、いない、牛が放牧をもうされて、主のいない牛が、何というか、漂っているといいますか、そんな風景を見まして、本当に町全体が死の町のような印象をまず受けました。
 そして、完全防護服を着て第一原発の免震棟へ行きましたが、防護服を着てマスクをいたしますと、動作もなかなか鈍くなり、非常に動くのも不自由、何か息をするのも何となくしにくいような、そんな状態で免震棟の中に入りました。そこではたくさんの作業員が働いたり休息をとったりしている状況を拝見をしました。この原発の収束作業、これは大変な作業であるということをまず実感しました。
そこで、私は作業員の皆さん方に、皆さん方の作業を世界中の人たちが注視していること、何とかこの原発収束をしていただくように心からお願いしたいということ、その一方で皆さんの被曝量の管理と健康が私にとって最も関心の高いことであり、皆さんが無事にこの作業を終えられることを心から期待しているというような挨拶もさせていただきました。まずは作業員の皆さんの被曝線量の管理、そして健康管理をしっかりしていただく、また私どもの方としてもそれを指導していくということを強く思った次第でございます。
 また、会社側からも話を聞きました。収束に向けて最大限の努力をしているけれども、なかなか思うようにいかないところもあって国民の皆さんにも御心配掛けているというような話もありましたが、いずれにしても、原発の収束に向けた作業は何としてもやり抜いていただかなければならないと思いますし、そのために健康管理というものは私どもの方としてはしっかりやっていきたいと、指導してまいりたいと、このように考えたところでございます。



作業員が安全に仕事を終えることを「期待する」のではなくて、それを政府の責任として確保しなければいけない状況だと思います。


3. 緊急時の被ばく線量の上限値を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトへ引き上げたことについて

政府は、3月14日に、被ばく線量の上限を250ミリシーベルトに引き上げました。これまでの委員会答弁で厚生労働大臣は「250ミリシーベルト以下では急性期の臨床症状があるという明らかな知見が認められない」から引き上げを認めたと説明されていますね?

しかし、被ばく線量が100ミリシーベルト以下でも健康リスクはあるわけです。被ばくによる白血病の労災認定基準は、年5ミリシーベルト以上ですよね? 100ミリシーベルトを越えれば、健康リスク、発がんリスクが一層高まることについては明らかな知見があるわけです。250ミリシーベルトに引き上げたことで、健康被害のリスクが高まったことは政府としても当然、認識していなければならないことだと思いますが、この点、確認していただけますか。

(細川厚生労働大臣)
石橋委員の言われるとおりで、まさに緊急時であるがゆえに、政府からも要請があり、100から250ミリシーベルトへの引き上げを決めたところでございます。上げるということはそれだけ高い放射能のところで作業をするわけでありますから、作業員にとっては、健康に悪い影響を与える可能性が十分あるということでもございます。
この引き上げに当たっては、私どもはICRP、国際放射線防護委員会、この勧告や文科省の放射線審議会――等の議論もいただいて、その答申から妥当だという意見もいただいているところですが、いずれにしても、この被曝線量が増えるということは中長期的に大変影響がある、リスクがあろうかと思います。
そういう意味では、私どもとしましては作業員の長期的な健康管理をしっかりやっていく、これは緊急作業を離れてからもまさに管理をやっていかなければというふうに思っており、そのために離職後も長期的な被曝線量等を追跡できるデータベースを作り、それに基づき将来的に健康管理をしっかり実施していくことで今進めているところでございます。


今、大臣が答弁していただいたように、明らかにリスクは高まるわけです。だからこそ、高いリスクに晒される作業員の命と、健康と、安全を守るための基準も、通常の緊急時と同じではなくて、未曾有の緊急事態にふさわしい基準に引き上げないといけないんです。


4. 累積被ばく線量管理について

実は、私も、5月6日、大臣が訪問される前日にJビレッジを視察してきました。出来れば第一原発まで行きたかったのですが、許可が下りませんでしたので、Jビレッジで現場視察をしたわけです。そこで、作業員の命と健康を守る上で残念ながらまだまだ多くの問題があることを確認してきました。

一つは、累積の被ばく線量管理の問題です。

未だに、3月11日の事故発生以降に現場で作業にあたった全ての作業員の累積の被ばく線量データが計算出来ていません。特に、事故発生から3月31日までの間、線量計を着けずに作業にあたった作業員や、ベントや水素爆発の時に屋外で作業されていた方々が大勢おられるわけですが、それらの作業員の被ばく線量の正しい計算と累積被ばく線量への算入もきちんと出来ていないと聞いています。どうなってるんでしょうか? 

(厚生労働省答弁)
まず、被曝線量の管理についてご説明します。
東京電力に対して調査を行いましたところ、地震発生当日の3月11日から14日までは作業者全員が線量計を装着していましたが、3月15日から31日までは線量計が不足して線量計を装着していなかった作業員がいました。それらの作業員の被曝線量は、同一作業を行うグループのリーダーが持っていた線量計の線量と同じ数値をグループの全員が受けたものとみなして記録をしています。4月1日以降は作業者全員が線量計を装着している、このことは確認しています。
また、線量管理につきましては、Jヴィレッジで線量計の数値を確認し紙に記録する方と、福島第一原発の免震重要棟で数値がコンピューターに自動記録されて累積の被曝線量が計算される方がございます。
5月2日に確認したところ、Jヴィレッジでの記録については、3月11日から4月18日までは累積の被曝線量の計算がされていました。しかしながら、4月19日以降のJヴィレッジでの被曝線量の記録につきましては、集計のためのコンピューター入力作業が大幅に遅れておりました。このため、厚生労働省は、委員の指摘のように、作業員の被曝線量の管理が行えるよう、東京電力に対して、遅れが生じている作業員の被曝線量のデータ入力を早急に行うように指導したところです。
線量計を装着していなかった方の線量をどうしているかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、同室での作業を行っていたグループのリーダーが持っていた線量計の線量を同じグループの全員が受けたとみなして記録はされておると、このことは確認をしています。しかしながら、このような管理では一人一人の正確な被曝線量を把握していることとはならず、極めて遺憾なことで、東京電力に対して厳しく指導をしたところです。
今後とも、緊急作業従事者の線量管理が協力会社を含めました全員に対して適切に行われますよう、東京電力に対して引き続き指導をしてまいります。


累積被ばく線量管理は、作業員の命を守るための基本中の基本です。2ヶ月たってもまだこれが完全に出来ていないというのは言語道断です。政府の責任として、即刻これを確保していただきたいと思います。


5. 作業員の今後の健康管理について

では時間がありませんので、最後に、作業員の皆さんの将来の健康管理のことについて質問します。

今回、現場で作業に従事した方々は、4月30日までで、第一原発免震棟の記録ベースの暫定数値で5,200人以上、累積被ばく線量が10mSvを超えた作業員は1,100名を越えているということです。Jビレッジベースを含めれば、この数字はもっと大きくなるわけです。

つまり、これまでの総被ばく線量だけで、平成21年度の年間総被ばく線量を超えている、事故収束までを考えると、ひょっとすると1970年代以降、日本の原子力施設での被ばく線量をすべてを累積した線量をも超えてしまうかもしれません。それだけの事態だということを踏まえて、今後のことを考えなければいけないわけです。

ご承知の通り、放射能被ばくによる健康被害には潜在性、晩発性があって、健康被害が起きるのは5年後かも知れないし、30年後かも知れません。だからこそ、今回、事故収束のために現場で作業をしてくれた全ての作業員について、これからも安心して生活していただける健康管理制度を早急に整備する必要があると思います。さきほど、データベースを構築するという話がありましたが、単にデータベースをつくるだけではだめなんです。健康診断や検査、生活を確保できる保障制度をつくらないといけません。この点について厚生労働大臣のお考えをお聞かせ下さい。

(細川厚生労働大臣)
もちろん長期的に健康管理をしていかなければいけないということが重要であるということを認識をしています。
具体的には、緊急作業に従事した労働者の方々の安心と業務に起因する疾病の早期発見のために、被曝線量に応じた定期的な健康診断そして健康相談を実施をしていくこと、これらについて今検討をしているところです。
私も委員が言われるように、お一人お一人の作業員が今の緊急作業を離れた後も、そしてまた、こういう原発の方の仕事を離れて一般の仕事に就いた後も、きちっと現在働いておられる作業員の健康管理は追跡してしっかり行っていくということが大事だと、考えております。



私は、労災保険や原賠法といった既存の制度ではダメだと思うのです。なぜなら、記録が確かでない、業務起因性の証明が困難な方々は必ず問題が起こるからです。今回、問題になるのは協力会社や下請けの弱い立場の作業員です。だからこそ、全ての作業員のために定期的な健康診断や精密検査が無料で提供されるような制度を、政府の責任で創るよう検討していただきたいと思いますが、政府の見解と決意をお伺いして私の質問を終わります。

(中山経済産業大臣政務官)
私も東大で小佐古教授に線量を測ってもらいました。かなり精密にしない本当の値は出てこないすです。私も福島に現地の本部長として5日ほどいました。1マイクロシーベルトぐらいの場所でしたが、5日いてどうかといったら、東京の人の方がむしろ高い結果がでました。その方は内部被曝、何かホウレンソウか何か食べた人だったのかもしれませんね。実はきちんと測定しなければ数値はよく分からないということです。簡単に線量計などで測るより、きちんとしたホール・ボディー・カウンターなどで計測する必要があるのでは思いますね。
小佐古教授に言わせれば、その実態が分かって本質が分かれば対処ができるとのことです。つまり、よく分からないということが一番怖いんですよと。モニタリングにしても何にしてもちゃんとした数字を出して、それに対応することをしっかりやることが一番大事だということで、本当に自分がどれだけの積算があるか分からないでいるということの方が一番問題で、正確に知るからこそ対応ができるという認識でしっかりやっていきたいと思っています。




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時間がなくて質問出来なかった二つの質問
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作業員への安全衛生教育と健康診断の実施について

もう一つは、作業員に対する事前研修や、安全衛生教育、健康診断の問題です。

先週、大阪・西成あいりん地区で求職した60代の男性労働者が、求人内容とは異なる福島第一原発敷地内での作業に従事させられていた問題が明らかになりました。現在、事実関係を調査中ということですが、私が独自に調べたところでは、驚くべき実態が隠されています。これ、しっかり調べて、報告して下さい。

また、土曜日には、現場で作業中の作業員が亡くなられたという大変残念な、あってはならないことが起こりました。

問題は、どうしてこういうことが起こるのかということなんです。結局、多重下請け構造の中で、全く経験の無い人、放射能について全く知識のない人たち、健康状態が確かでない方たちが、いろいろなルートで現場に入って作業している、それを東京電力も、協力企業任せにして一元的な管理が出来ていない、それが実態なのではないでしょうか。

全ての作業員について、雇い入れの時、現場に初めて入ったときに、事前研修や、安全衛生教育、危険性や作業内容の説明、そして健康診断が十分に行われていなければいけないわけですが、大臣、それを現場で確認されましたか?

(厚生労働大臣)

繰り返しますが、通常の作業場所ではないんです。だからこそ、緊急時にふさわしい対応を、東電がやっているはずですとか、指導しますとかではなくて、政府の責任で100%確実にやる、例えば本省の担当者を現場に張り付けることも含めて、即刻、確保するようにしていただきたいと思います。


万が一の事態に備えた対応について

一号機建屋内では、場所によっては1,000、2,000mSvという非常に高い放射線量が計測されています。内部が正確にどういう状況なのか分からないという、大変危険を伴う場所で作業が行われるわけです。

累積の被ばく線量を250ミリシーベルト以下に抑えることに全力を尽くすのは当然です。ただ、突然、水素爆発が発生したように、万が一の事態、予期せぬ事態が起こる可能性はあるわけです。そのような事態を想定した対応が必要なんです。今こそ、造血幹細胞の事前採取・冷凍保存という手法を実施すべき時期に来た、もはや、3月末に安全委員会が「現時点では必要ない」と言った時点とは状況が違っています。大塚耕平・厚生労働副大臣も、先週の衆議院厚労委員会で「新しい事実が明らかになっているので、何が最適化虚心坦懐に研究していきたい」と述べています。政府の責任でやるべきだと思いますが、いかがですか?

(経済産業大臣政務官)

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