Takekida's log

千里の道も一歩から

いじめは不機嫌な教室から発生する

2023-06-24 23:09:09 | Books
 いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識 (PHP新書) 新書 – 荻上 チキ (著)

 簡単になくすことが出来ないのがいじめ。筆者は評論家としての立場から一貫していじめ問題に取り組んできており、この本も単なる経験というよりは具体的な定量データを基にいじめがどういったところで発生し防ぐためにはどのようなところに取り組むべきかに向き合った本になっています。自分も立場が強い方でなかったこともあり、いろいろと経験がありましたがだんだんと自己肯定感を持てるようになってきたことで乗り越えられてきた面もあるのですがインターネットの普及などもあり、オンラインでのいじめがあるとのことが自分たちの時よりもますます難しくしているのかなと感じました。 
 日本では大学に入るまではクラスというやや狭い組織単位での人間関係の構築が必要であるがゆえにいじめは殆どが教室の中、オンラインであっても対面のものと連動するケースの方が多いそうです。また個人同士のキャラクターというよりはいじめを発生させやすい環境というものがあることが明かにされています。具体的にはストレスの多い環境=拘束が理不尽に厳しい、罰則が厳しい、先生の生徒に対する人権の尊重の無い無礼なふるまい(さすがに体罰はもうほとんどないのでしょうが)といったものが生徒にストレスを与え、「不機嫌な」教室=いじめが発生しやすいという構図になっているようです。対策として
・わかりやすい授業
・多様性に配慮する
・自由度を尊重する
・自尊心を与えていく
・ルールを適切に共有する
・教師がストレッサーにならず取り除く側になる
・信頼が得られるようにコミュニケーションをしっかりとる
といったものが挙げられています。なんだその程度かといった感じかもですが割れ窓理論のように環境のベースというのは相当、人の行動に影響を与えるというのは改めて認識したほうがよさそうです。悪者を探すのでなく嫌がらせを受けた側、嫌がらせをしてしまった側、介入する大人、それぞれの立場に それぞれに支えが必要 だというのは言うまでもありません。各人を強くするという観点ではストレスに対処する方法を考えていくというのも一つの解なのかもしれません。 本書では支援員などの拡充で複数人で担任を担当する提案などもなされてます。なかなかなくすのは難しいものとは思いますがいじめは職場でも起こりうる人間の本質に根差した問題なので少しでも取り組みが広がることに期待したいと思います。
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