Takekida's log

千里の道も一歩から

シンプル族の反乱

2009-10-17 20:58:34 | Books
時折、雨の降る不安定な天気の一日でした。RUN⇒SWIMのみ。

シンプル族の反乱
三浦 展
ベストセラーズ

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「下流社会」で有名になった三浦展さんの本。
高度成長期が終わり、失われた10年、そして近年のリーマンショックを経て消費者の価値観が変わりつつあるようです。「シンプル族」というのは三浦さんの提唱している概念で社会学的には伝統派(保守派)、モダン派に対する「カルチュアルクリエイティブス」と言うのに最も近いとされています。モダン派が人生の成功の階段を登ろうと最先端の流行を追いかけ、効率とスピードを最優先に考えるのに対し、近代的で合理主義過ぎる価値観に疑問を持った人たちで精神面を重視するような傾向があるという。一時期、日本でも盛り上がり、一部の人には定着しつつあるLOHASの本質に近い考えられます。外面的にはシンプルに内面的、生鮮的には豊かにという趣向です。あくまでこういう社会的モデルはきちっと個人に区分をされているわけでなく、人によって3割シンプル6割モダン1割伝統と言う人もいるでしょうし、8割シンプル1割モダン1割伝統と言う人もいるかと思います。
シンプル族の割合が増えているというのは確かなことかと思います。
 自分を含め周りを見てもクルマやブランド品に固執する人は少数派になってきているのを肌で感じるし、ユニクロや無印の台頭は明らか。 今まで上へ上へと言う目線で消費者を取り込もうとしてきた企業は大きな転換点に来つつあるようです。
シンプル族の生活原理として…
1.物をあまり消費しない、貯めない   (在庫になっているものは死んでいると感じる)
2.手仕事を重んじる            (既製品を買うだけでなく自分で改良する、地場産品を消費する)
3.基本的な生活を愛する         (衣食住を大切にして電化製品に依存しすぎない、手入れをする)
志向性として
1.エコ志向  環境重視で物の共有を積極的に利用
2.ナチュラル志向
3.レトロ・和志向
4.オムニボア志向        雑食志向、様々な文化を楽しむ
5.ソーシャルキャピタル志向  知人、親族などの人間関係を重要にする

と言うのがあります。
ユニクロや無印の台頭は言わずと知れたことですがもはや贅沢に対する価値と言うのは薄れてきており、所得上層にもそれが波及しつつあるようです。
これらのブランドの台頭する理由として単なる安い、単純だけでなく
・商品にストーリー性がある(なぜその値段になっているのかが納得できる)
・生活を提案するのでなく生活の素材を提供している
・手触りなど触感に訴えるものがある 
と言うようなことが挙げられています。

この本を読んでみて自分の価値観もかなりシンプル族に近いと感じました。
経済的には節約志向というのには企業にとってはプラスにはならないのですが逆にその志向を捉えることが出来れば確固とした地位を築けるものかと思います。
それ相応のものにはそれなりの値段を出す、当然のことですが今まで高級ブランドや企業が作り出してきた上流志向の中には物に対する価値と値段が見合っていなかったものが多々あったように感じます。シンプル派の台頭は消費者の価値観がやっと正常に戻り、目が肥えてきた結果なのではないかと個人的には感じています。
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