幸福維新の志士となれ <幸福の科学>

国難打破から、いざ、未来創造へ

Pray for JAPAN

 

武士道教育に力入れる~李登輝元台湾総統インタビュー

2011年01月03日 | 教育問題
国民は二の次になった日本の政治家
武士道教育に力入れる~李登輝元台湾総統インタビュー


2011.01.02(Sun)  JBpress

マット安川 坂本龍馬の「船中八策」をはじめ、戦後の歪んだ歴史教育ではあまり重視されない「日本の知」が、李閣下の口からはあふれんばかりに飛び出してきました。

 閣下は今でも日本政界と交流を保ち、たびたび訪日されています。

 台湾の発展に尽くし、アジアにおける微妙な立場を信念と戦略をもって乗り越えてきた経験からか、日本のことが日本人以上によく見えている、そう感じるインタビューでした。


■台湾で新渡戸稲造の「武士道」を教える

李登輝 李登輝学校では、思想哲学から科学技術などを研究し、心の改革などを推進しています。とりわけ日本の内閣府が専門重視に赴く中で、私は教養教育、リベラルアーツの重要性を認識し、台湾の歴史、道徳、家庭教育の実践などに力を入れています。

 そこで私は新渡戸稲造の『武士道』を解題し(『「武士道」解題』)、公(おおやけ)と私(わたくし)の問題を李登輝学校の教えとして台湾でも深く展開しております。

 私の思う指導者の条件というものは何かというと、結局ここですよね、「公と私」。そして誰もやらないことを自分でやる、と同時に、信仰を持ちなさい、自分は権力だとそういうことを考えてはいけない。

 そして人民を可愛がりなさい、人民に対して嘘をついてはいけない、誠(まこと)をもって人民に相対する態度が必要です。

 このように考えたときに、最近の日本の指導者はどうですか。私に言わせると内閣総理大臣、本当に人民のこと、国のこと、将来のことを考えながらやっていこうとする人は、あまりなかったなあ。

国を変えようとするときに官僚は必ず反対する

 公選によらず根回しで決めていく。官僚政治が主体になってね。官僚はものすごく頭が良くて、いろんな法律を作りますがね、国を変えようとするときには反対ばかりしている。

 私が台北市長になったときに、こういう話がありますよ。

 台北市の農村では農民が絶えず家を修築したいと言っている。だいたいあそこらへんの農家は100年くらいの歴史があるんです。そんな古い家には窓もない、便所もない、風呂場もない。

 若い子は絶対住まない、みんな山を下りて都市に住んでいます。そうすると農村では誰も働かないのよ、年を取ったじいさんばあさんばっかりで。これが私のふるさと、私の生まれた場所です。もう潰れかかっている。

ああいうようなところは家を建て替えてあげなくちゃならないんだが、私がそれをやると言ったら建築管理處は、いままでの所有主全員の捺印が必要だと言うんです。

官僚を通さず進めた結果、台北は綺麗な町に

 考えてみてください、100年の歴史の中でいったい、どれだけの持ち主が関わっているか。不可能ですよ、絶対。ほとんど死んでしまって残っているのはいまの人だけなんだから。

 こういう官僚の作った法律をどうすべきか。私がやったのは、建築管理處には一切関係させず、協同組合に話して協同組合のそれぞれの区域の農家に申請書を出させました。

 そして35種類の新しい設計図をあげて、どんな改築をしたいか選ばせた。だから建築家に設計を依頼する費用がかからない。そして申請書は建築管理處ではなく台北市の建設局に持ってこさせました。

 建設局では書類を受け付けたら整理して市長の私のところへ持ってくる。そして私が直接許可証を出すわけです。

 1200戸の許可を出しましてね、それは結局、建築管理の規則を破っているわけです。間違っているというなら訴えたらいいじゃないかと言いましたが、結局彼らは何もできず、台北市の近郊はいま、ものすごくきれいな家が出来上がっていますよ。

アイデアは日本の大学教授の論文

 これは私の考えだけじゃなくて、日本のNIRA(総合研究開発機構)の雑誌にある大学教授が書いた論文があって、「農村の将来の発展の方向は観光事業と結びつける必要がある。観光事業と結びつけるには農家の改善をやらなくてはならない」というところをヒントにね、誰もやらないから私がやりましたよ。

 いま私、その近くに住んでおりますがね、家の前を通りかかるといつも呼んでくれてね、いらっしゃい、お茶をどうぞどうぞ、とね。そういう関係ができているんだよ、そこの農民とは。

 同じようなことは繰り返しあるんですよ、台湾に。法律でできないいろんなことをやったのは、蒋(経国)総統のとき。日本では池田(勇人)内閣時代に『農村は変わる』を書いた並木(正吉)さんという人がいました。

 あれはだいたい日本の農村の労働力が減って老人人口が上がり始めた頃でしょ。日本にはこういういい例がたくさんあるんだが、それを総合的にやっていく指導者がいない。困るのはこれなんだ。

日本全体の問題がここの、指導者がいないということに懸かっているというのは、例えばアメリカが何か言えば「Yes, Yes」と言いなりでしょ。日本人としてアメリカに対して好意的に深く話し合う人がいないんだよ、怖くて怖くてアメリカに言い切らないんだよ。

第1は憲法の修正、第2は教育基本法の修正

 日本はアメリカに対して思い切って話をすべきなんだ。これだけアメリカの国債を買ってアメリカの経済を助けてきたんだから、日米同盟のあるべき姿を検討しましょうと言うべきなんです。

 そのときいちばん大事なのは、憲法修正をやることです。第2には教育基本法の修正。憲法修正と同時に、これからの日本をどうすべきかということを教育から変えていかなくてはならない。

 戦後、アメリカは軍事力が世界一大きいし政治力もあるからアメリカの主導で連合国で国際連合をつくり、次にブレトンウッズ協定でGATT(関税および貿易に関する一般協定)を作った、いまのWTO(世界貿易機関)です。それにIMF(国際通貨基金)。

 ところがこの4つの組織はうまく運行していません。アメリカの一部分の金持ちや資産家とか投機屋、ことにウォールストリートの連中がでたらめをやっている。

 グリーンスパンが最近初めて、昔の政策は間違っていたと言ったように、これは明らかに間違っている。こんな問題が起きるのはIMFが機能していないからですよ。

 いまオバマが金融機関に対して規制を強化しているでしょ。この連中に制限を加えたり法律を作って規制したりしないと、本当のお金じゃないお金が世界を回って途上国のお金を吸い回るんです。

(続く)
※全文はこちらから

【日本よ】石原慎太郎 世界史のうねりの中で

2011年01月03日 | 国際情勢
2011.1.3 産経新聞

 さて、今年はいかなる年になるのだろうか。

 世界の中で、相対的にこの日本が衰運に傾いているのは否めないが、己の将来を占うために、私たちはあくまで世界の動きの中での自分を捉えなくてはなるまい。

 今年から近い未来にかけての世界の動き、いやすでに始まっている近い過去からの世界の大きな動きには顕著なものがいくつかある。そしてそれはこれからの世界の、その中での日本の命運を左右するだろうことは否めない。

 その一つは各地に氾濫してみられる地球の温暖化現象、それともう一つはイスラム世界の反乱だ。

 温暖化については、それを認めまいとする反論もいろいろあるが、勃発するさまざまな現象がこの進行を刻一刻感知させている。ある専門家たちがことの否定の論拠として挙げる、氷河期から間氷期を経て次の氷河期への宇宙的サイクルに則していえば現実に目にしている温暖化現象をその過程での過渡的なものとして安心するには、次の氷河期の到来までには後千年余りの時間があって、とても納得出来るものではない。

 繰り返して記すが、今になればなるほど私は三十年ほど前に東京で聞いた、ブラックホールの発見者、天才的な宇宙物理学者ホーキングの講演を思いおこさずにはいられない。彼は講演の後に許された質問に答えて、「この宇宙には、地球並みの文明をそなえた惑星は二百万はあろう」といい、さらに、ならばなぜ我々は実際にその星からの宇宙人を実際に目にすることがないのかという問いには、「地球並みの文明を持った星は自然の循環が狂ってきて、宇宙時間からすると瞬間的に自滅してしまうから、他の惑星まで出かける暇は有り得ない」と答えた。そこで私が挙手し、「宇宙時間で瞬間的というのは、この地球時間で何年ほどか」と質したら彼は即座に「百年」と答えたものだった。

 それからすでに三十年の月日が過ぎた今、この地球は地球規模の異常気象に晒されている。毎年行われる世界の最高首脳たちによるサミット会議でもこの問題は論じられてはいるが、人類が本気でこの問題に立ち向かう気配は一向に感じられない。会議の度この問題に関する各国の姿勢は毎年、半歩前進したと。四年かかってわずか二歩前進では、この深刻かつ危険な問題が解決の端緒にすらつくことはおよそ不可能だろう。

 一方の、白人世界対イスラム教圏の有色人種の対立は、文明の進化がもたらした当然の帰結に違いない。数カ月かかって渡っていた太平洋をジェット機でわずか十時間で渡れる現代、地球が時間的空間的に狭小なものとなった結果、貧富の差を超えて人間たちの行き来はさかんになり、貧しい者たちの新しい欲望をはぐくむ情報は無制限に流入していき、移民の問題に拍車がかかる。
                   ◇

 世界における貧富の格差はすべて先進国、特に西欧国家の責任とはいいきれないが、しかしその格差への羨みや怨嗟を満たそうとする願望は、巨大なエネルギーとなって世界を混乱させていきつつある。

 特にキリスト、ユダヤ、イスラム教という一神教の持つ、自らあがめる神を唯一絶対化する独善性は協調をもたらすには極めて難しく、一方が一方を抑圧支配してきた歴史の怨念による報復のエネルギーは容易に統御できるものではない。

 世界に存在する三つの一神教の激しい対立は、いわば歴史の報復であって、他の世界に及ぼす余波はあまりに大きい。

 結論からいえば、イスラム教圏からの報復にキリスト教圏は決して勝てることはあるまい。アルカーイダ討伐の名目で今アフガンで行われているアメリカとNATO連合軍は決して勝利することはあるまいし、アメリカが適当な理由をかまえてイラクから撤退した後、イラクは元の木阿弥となり新しい混乱が訪れるだろう。

 私は三十代の始め頃ある新聞社に頼まれベトナム戦争のクリスマストルースを取材にいき、ついでに最前線の対ゲリラ戦闘に同行して、この戦争にアメリカは絶対に勝利出来まいと確信していたが、結果は予感の通りとなった。

 こうした歴史の大きな波が押し寄せている年に、私たちはその中でこの身をどう対処させるかを真剣に考えぬ訳にはいくまい。白人社会がイスラムの歴史的報復を受けている最中、世界史の中に再び主役として登場しようとしている中国が、非宗教国家とはいえそれにどう荷担するのか。その狭間で日本はいかなる勢力に肩を入れ国家として利益を追求するのか。

 ヨーロッパの混乱とアメリカの衰退という現実の中で、時間的空間的に狭小となったこの世界では、その渦巻きに日本もまた容易に巻きこまれるのだ。現に、昨年来の円高がそれを如実に証している。

 毛沢東はその優れて明快な方法論『矛盾論』の中で、目の前の厄介な現実を克服するためには、そのさらに背景に在る大きな動き、彼はそれを主要矛盾と呼んだが、それを確かに捉えないと、いわばその矛盾に従属して派生している現実に対処出来ぬと説いているが、私たちは歴史に激しい変化をもたらしかねぬ、その主要な巨きなうねりにあまり敏感とはいい切れまい。

 私は長年外洋でのヨットレースを手掛けてきたが、急に変化する気象の中で波は突然激しく変化し船を弄ぶ。大きなうねりの中で別の高い波が立上がり、凶悪な三角波を造って船を襲い損ないもする。

 国家の遭難を防ぐためにも、我々はまず歴史の大きなうねりに目を凝らし自らの指針を模索しなくてはなるまいに。