保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

秋の保津川下り、朝の風景に感じること・・・

2007-11-26 18:50:18 | 船頭の目・・・雑感・雑記
秋の保津川下りの朝は早いです。

紅葉が美しく色づく頃になると、昼間の混雑を避けるために
大勢の観光客が朝早くから亀岡の乗船所にお越しなるからです。

私達保津川の船頭は濃い朝霧がたち込める中、大きな橋を徒歩
で渡りながら対岸にある船の係留地まで向かいます。

放射冷却で冷え切った気温は6℃くらい。竿を川の中に
付ける手が水の冷たさで悴んで自由を奪われます。

深い霧の中、船はお客さんの待つ船着場へ順次、用意されて行きます。
保津川下りの船着場は一番船から六番船までつなぐことが出来、
秋の朝はそこから一斉にお客さんが乗り込まれます。
一度に6艘とも出航することも多く、順々に船を下げて来る訳です。

そうしている間に霧の隙間から一筋の日光が差込み
スポットライトの様につないでいる船と川面を照らします。

朝日に照らされた川面は、眩い光で温泉の湯の様に
白く沸き立ち、瀬を白銀に輝かすのです。
霧の薄暗さや気温の寒さも一気に吹き飛ばす風景。
一日のエネルギーを運ぶ日光を体いっぱいに浴びると
「今日も一日、頑張ろう!」と元気が沸いくるから不思議です。

深い朝霧を晴らした眩しい朝日を浴び、保津川下りの船が
次々と出航して行きます。今日はもちろん、これからの
保津川下りの未来をも照らしているかの様に・・・

自然が演出する‘光’の風景を目の当たりすると、昔の人々が
太陽のことを‘お天道さま’といって崇めて手を合わした
気持ちが何となくわかる様な気がします。

たとえ時代が変わり科学技術が進歩しても、自然の偉大さ
に感動する、人間の本質というものは変わらないものだ
と教えられる保津川の朝風景なのです。