保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

アジサイが教えてくれた「光と影」そして「自分の居場所」

2009-06-29 23:56:29 | 船頭の目・・・雑感・雑記
「絵画を描くときに一番難しいのは‘影’の部分なのです。でも影が上手く描けた
ときほど‘光’の部分が一層、輝くのです」
と以前、ある画家さんに聞いたことがあります。

「鮮やかな絵を描きたければ‘影’を大事にしろ」ということ。

今日、我が家の庭にアジサイがきれいな花を咲かせました。

じめじめとして、なんとなくユウウツな気分になる梅雨。そんな気分を
吹き飛ばしてくれる花がアジサイでしょう。

アジサイは晴れの日よりも、雨の日がいい。

そして燦燦と太陽の光が降り注ぐ場所よりも、少し日陰のほうが美しいのです。

アジサイにとっては日陰こそ一番居心地がよくて、美しく咲き誇れる場所なの
ですね。


対して人は「陽のあたる場所」を求めるもの。

でも、陽のあたる場所が輝くのは「影の部分」があるからこそ。
人は影がみせる美しさに気がつかず「光の場所」へ行こうとする。

光ある場所には必ず影がある。影に支えられてこそ「光」は輝きを増すこと
にも気付かない。

自然界が教えてくれる「光と影」との関係、そして「支えあい生きる」という
真理に気付き、「生かされている」という‘感謝する心’を涵養したい。

「木が美しい花を咲かせるのは‘根’がしっかりしているから。‘根’はけして
 表には見えない。人も陰徳こそが大事」とある宗教家の先生に聞いたことを
思い出しました。

自然の世界は、それぞれの居場所でそれぞれの「輝き」を放ち、共生しています。

アジサイは太陽が燦燦と照りつける場所では輝きを弱め、最後には萎れて枯れてしまいます。

(晴れ間に撮ったアジサイ)

人にも自分に適した場所でこそ輝ける。
それは自分が一番「居心地がいい~」と思う所が、実は一番輝ける場所。

その真理をアジサイが教えてくれている様に感じました。





映画「剱岳 点の記」を観てきました。

2009-06-27 21:51:46 | 映画・芸能界
標高3000級の山々が連なる立山連峰の中で一際、高くそびえる山「剱岳」

明治40年、日本地図作成上、最後の空白地点であった「この山」の
測量を果たし、完成させるためだけに前人未踏の頂に挑んだ男達がいた。

ただ名誉の為でなく、利益の為でもない、仕事に誇りを持ち
命を賭けた男たちの真実の記録を映画化したのが「剱岳 点の記」です。

「誰か行かねば、道はできない」

「何をするかではなく、何のためにするのかが大事」

意気に感じる人生を歩む、ヒントとなる言葉と教訓が満載の映画でした。

そしてそれは‘過去’の記録でもあり‘現在’の記録でもあります!

雄大で過酷な自然の中で、特撮CGを一切使わず、空撮はもちろん
機材、役者輸送にもヘリコプターを使用しない徹底した撮影は
延べ200日以上、体感温度も氷点下40℃というまさに100年前の
測量士たちが経験した同じ状況下で、まさに命がけで行われたのです。
そのリアリズムに徹した映像には本物だけが映し出せる自然美があり
その熱きストーリとともに観る者の心を揺さぶる‘力’がありました。

「これは撮影ではない!‘行’だ!」と話す木村大作監督。

黒沢明監督のもとで腕を磨き、日本映画を撮り続けた伝説のカメラマンでも
ある木村監督には「世界のクロザワ」が追い求めたリアリズムの精神が
しっかりと生き続けていることを強く感じました。

「活動家の技法」による伝統的な映像美とその執念の心は、
科学技術全盛の現在の映画界に一石を投じた貴重な映画でした。

そして日が当たらない場所でも黙々と懸命に生きる先人の姿は、私たち日本人が
忘れていた‘精神’でもあることを教えてくれます。

これからの日本映画を支えていく若い映像人たちにも是非、観てほしい一作です。


上映されているシネコンには、平日にもかかわらず、普段、映画館に足を運ばない
といわれる世代の方で、朝から終日、超満員の大盛況でした。


「剱岳~点の記~」。


今年度、最高の傑作に違いない!

衝撃!M・ジャクソンさん死亡報道=呼吸停止で病院へ-米通信

2009-06-26 08:44:52 | 船頭の目・・・雑感・雑記
今日、早朝から衝撃のニュースがアメリカから飛び込んできました。

【ロサンゼルス25日時事】米紙ロサンゼルス・タイムズや芸能ニュースサイトTMZは25日、
米歌手マイケル・ジャクソンさんが同日、死亡したと報じた。
死因は明らかになっていないが、心臓まひとの情報もある。
ジャクソンさんはこの日、自宅で呼吸停止状態で発見され、
ロサンゼルスの病院に運び込まれていた。
同紙によると、救急隊員が自宅に到着した際、息をしていなかった。
隊員らは、蘇生(そせい)措置を施したが、ロサンゼルス市当局や司法筋は
死亡を確認した。〔時事通信〕

これは本当のことでしょうか!

マイケルが1991年にアルバムの中で発表した
「HEAL THE WORLD」(ヒール・ザ・ワールド)が
私の頭の中にひたすら流れています。

争いの絶えない世界。その犠牲になる弱き者たち。
人の尊厳は冷たい銃の前に踏みにじられていく。

♪世界を治療しよう より良い場所にしよう
 僕と君と そしてすべての人類のために
 人生を注意深く見つめれば
 死んでいく人々がいることがわかる
 より良い場所にしよう 
 僕と君のために・・・  ♪

♪ 僕らは空高く翔き 永遠の魂を手に入れよう
  僕の心の中では君達みんなが兄弟なんだ
  恐れのない世界を築き 共に幸せの涙を流そう 
  世界の国々が剣を 鍬に持ち換える様子を思い描こう ♪

http://www.youtube.com/watch?v=2ocrEEFNb_s&translated=1

マイケルが理想とし、夢見た世界が訪れる日を望み、
彼が歌に託した心を我が心としたいと思います。

ひとは殺し合うことの愚かさに早く気が付かねばなりません。
神から与えてもらったこの‘いのち’と地球を大切にすることが
生まれてきたことの意味。

マイケル・ジャクソン・・・その‘魂’よ、永遠なれ!



今年は「空梅雨??」 それとも「梅雨の晴れ間??」

2009-06-25 23:25:23 | 船頭
日本列島は只今、梅雨真っ盛り~

今年も青空が見えない鬱陶しい毎日が続くのかと思いきや、
どうしたことか?連日かんかん照りの保津川上空。

「今年は空梅雨なのでしょうか?それとも梅雨の晴れ間なのか?」

梅雨独特の蒸し暑さに加え、日中には真夏を思わす様な厳しい日差しが
容赦なく川面を照らします。

「一雨欲しいな~」と願いも虚しく日が暮れる、そんな毎日です。

雨続きで水量オーバーによる「川止め」が続くのも困りものですが、
もう少し降ってもらわないと夏期の川水量が少し心配です。

体調についても、この時期の京都の観光業は閑散期といわれ来客数も少なく、
それに伴い当然、船のお仕事もヒマになることから、十分体力は温存できる
季節ではあるのですが、この気候と仕事が空くことで、どうも体がだるく
体調も崩しがちに。
毎日、仕事をして体を動かしている方が、生活のリズムが安定し
体調にはいいのかも知れないですね。


私の短い(?)船頭経験では、このような型の梅雨は梅雨後半期に降雨量が
上がるケースが多いのですが、13年前の時にような空梅雨による「大渇水」
という例外もあります。油断できません。


夏の保津川下りの醍醐味といえば、やはり渓谷を渡る風と豪快な水しぶきを
浴びて‘涼’を体感することでしょう。

そのためにも、梅雨後半の適度な雨に期待したいところです。

毎週金曜日放送の「メイド刑事」に原田龍二さんが出演されます。

2009-06-24 23:05:31 | 原田龍二さん
今月26日(金)からテレビ朝日系で放送される「メイド刑事」に
「押忍!男組」同志の原田龍二さんがレギュラー出演されます。

元暴走族の少女で主人公の若槻葵(福田沙紀)が、原田龍二さん扮する
京都府警本部長・海堂俊昭と出会うことで改心し、特命刑事任務を
遂行するべく海堂宅でメイドとなり、京都で起こる様々な事件、特に
警察が捜査に踏み込めない悪の中枢へ潜入し事件を解決していく
痛快ストーリーです。

この作品は同名の漫画が原作なので、武器がクイックルワイパーだったり
少しトンデモ・ストーリーも盛り込まれていますが、以前、ヨーヨーを武器に
一斉を風靡した「スケバン刑事」を彷彿させるストーリー展開だと聞き、
懐かしく感じ、オンエアを楽しみにしていました。

また、26日の第一話には「押忍!男組」から加藤寛治さんも
国広富之さん演ずる悪徳府会議員のボディーガードをするヤクザ役で
出演されています。
今の東映京都でヤクザの幹部役がこれほどはまる人はない!

龍二さんと加藤さんの共演も見所だと個人的には思っています。

これから金曜日の夜が待ち遠しくなってきそうです。

撮影は京都で順調に進んでいる模様です。


☆「メイド刑事」~悪の汚れお掃除させていただきます!~
  テレビ朝日系 毎週金曜日
  放送時間:関東地方は23時15分~ 関西は午前0時24分~
       東海地方は午前0時22分~。
  
  出演:福田沙紀、原田龍二、的場浩二、品川徹、中山恵、大島蓉子、かでなれおん
  

残るのはキズかキズナか?…「愛の修羅バラ!」に 椹木浩二さんが出演!

2009-06-18 09:41:32 | 船頭
6月21日(日曜日)に読売テレビ放送の「愛の修羅バラ!」に
保津川遊船の船頭・椹木(さわらぎ)浩二さん夫妻が出演されます。

この番組は上沼恵美子さんと高田純次さんの司会ですすめられるトークバラエティ。
毎回、芸能人夫婦と一般参加夫婦の計2組をゲストに迎え、それぞれの夫婦の
結婚生活の"修羅場"を告白してもらい、司会の上沼恵美子や高田純次、その他
パネリストたちの意見をもとに、スタジオ観覧者たちが夫と妻のどちらが悪いのか
をジャッジする番組です。

この判定で勝利した側には“独り旅”がプレゼントされるというちょっとオイシイ番組。

21日は、元フォーリーブスのおりも政夫と奥様と一緒に一般夫婦ゲストとして
、椹木浩二さん夫婦が出演されます。
番組タイトルは『調子ノリの船頭夫とストレスだらけの妻』らしいですが?
はたしてどのようなオモシロ話が紹介されるか、楽しみです。

ちなみに私はっちん家は保津川遊船入社当時、約2年間、
椹木ファミリーと同じマンションのお隣さんでした。
奥さんはとても美しくて明るい方です。
「ストレス…?」まぁ、バラエティ独特の仕掛けが成された
楽しい番組つくりにはなっていると思います。
最後に息子さんでこれまた船頭の椹木伸太君も登場する場面があるとか。

そしてもちろん、保津川下りの舟シーンも放送されるそうなので、
是非、ご覧になって下さい。

☆「愛の修羅バラ!」読売テレビ系列

放送日:6月21日 日曜日
放送時間:午前11:40~午後0:35

司会:上沼恵美子 高田純次
パネリスト:丸山隆平(関ジャニ∞)本村健太郎 千鳥

(中京テレビでは21日の午前11:50 - 午後0:45


保津川最大級の「綱はじき」があった「烏帽子岩」

2009-06-17 15:14:58 | シリーズ・保津川を下ろう!
保津峡の入口といわれる「宮下の瀬(みやのした)からしばらく流れていくと、
左岸側に三角の形をした大きな岩が見えてきます。

この岩を私たちは「烏帽子岩(えぼしいわ)と呼んでいます。

「烏帽子」とは平安時代の貴人が礼服着装の際に被った帽子ことで、鎌倉時代以降
武家の「元服の儀式」で新成人の証として男子が着用していました。

岩の形がとんがった三角形で、この「烏帽子」に似ていることから
その様に呼ばれるようになったといわれています。

また、この烏帽子岩は、保津川の水運を語る上でとても重要な岩のひとつでもあります。

保津川の川舟は昭和23年頃まで、下った舟を終点の嵐山から出発点の保津の浜まで(約16km間)を麻の縄を使用し、
下り終えた船頭がもう一度、川岸を曳っぱり帰っていきました。
途中、大きな岩や石の横を通過する際には、曳き綱が引っ掛からないように
「綱はじき」とよばれる竹つくりの工作物が岩に沿う様に施されていたのでした。

その「綱はじき」のなかでも、最も大きな工作が施されていたのがこの「烏帽子岩」で、
一尺もある長い竹を使用しなと岩まで届かなかったともいわれています。

これは今年の1月、木造船を使用し60年ぶりに「保津川の曳き舟」を再現した時の写真です。
岩の裏に施されているのが「綱はじき」です。
この綱はじきは、川側に面する岩に‘しなり’をつけた竹が仕掛けてあり、
曳くごとに綱が上へ滑るように工夫がなされ、岩の頂上を綱が越える様に
作ってあります。
しかし、当時は曳き手となる船頭が走る「綱道」がもっと高い所に
作られていたことがわかり、写真で再現されている川側へのしなりはなく、
形状が少し異なったものであったと思われますが・・・

曳き舟にはひとり船頭が残り乗船しながら、綱の絡みやたるみを竿で直す役目をします。
舟の舳先に上り、竿で綱を叩いたり、弾かしたりしながら曳き手の船頭たちを助けます。

曳き手は先頭を走る「先綱」から約40数mの間隔をとり「中綱」「後綱」の
順番で一列に並び「舟を曳き、走った」といわれています。

このように舟に乗り竿を操る船頭と綱を曳き陸を走る船頭たちが、息と力を
合わせて協力しながら上流へ帰っていくのが保津川の曳き舟でした。

そして、曳き綱と曳き手が一直線上の角度を確保し、抵抗感なくスムーズに
曳き上げる為に施された工作物がこの烏帽子岩にみられたような「綱はじき」
だったのです。

保津川ではこの「烏帽子岩」をはじめ合計12ヶ所の「綱はじき」があったと
記録に残っております。


曳き舟作業が姿を消した今では、烏帽子岩は「おじゃる丸が被っている帽子」や
「神社の神主さんの帽子」のような岩として観光客に解説されるだけの岩に
なりました。

千年の都・京都を支えた保津川水運の歴史を語る上で欠かすことが出来ない
重要な岩であった「烏帽子岩」も、一つの大きな仕事・役割を終え、静かに
保津川の流れと観光船の運行を見守りながら、今もこの川岸に佇んでいるのです。



京都の「大宮交通公園」に「船士魂」船頭が現る!

2009-06-16 09:07:14 | シリーズ・京都を歩く
昨日、先週末から行っていた海洋学習の代休となる小学5年の娘と
京都市北区玄琢にある「大宮交通公園」へお出かけしてきました。

仕事が午前中に終わった私。時間を節約する為、仕事服のままの登場です。

「大宮交通公園」は子供達が楽しみながら道路・交通ルールを学ぶために整備された市が運営する緑地公園です。
公園内を一つの‘まち’に見たてて、道路整備や信号機や横断歩道などを設置し
ミニチュア的な市街地整備されています。また、郊外地見たてた区域には緑いっぱいの公園となっていて散策したり、
お弁当などを持ってきたのんびりするのには最高のスペースでもあります。

土・日の休日には園路をゴーカート(子供のみ)で走行することができ、実践的な
交通マナーも学べるので、家族連れで遊びにいくのには最適な施設です。

この公園は昭和44年に整備された施設で、実は私も子供の頃、よくここに連れてきて貰い、ゴーカートを乗り回していた記憶があります。

残念ながら、この日はゴーカートの運行日(木・土・日のみ)でなく
「今日は10回以上、ゴーカート乗る!」と行く前から気合が入っていた子供は
運休と聞いてかなりががっかりしていましたが、自然がいっぱいで遊具もある
公園なので、すぐにあちらこちらで転がり、遊んでくれたので一安心。


園内には昔、京都市内を走っていた市電やチンチン電車、蒸気機関車も展示されたいます。
市電は私も子供の頃、いつも利用していた懐かしい車両です。

また、市電とチンチン電車の車両内はミニ図書館になっていて、車内外で読書にいそしむこともできます。
並んでいる本は子供の頃に読んだ記憶のある‘児童名作集’からドラえもんの漫画まで幅広いです。

漫画大好きな我が娘は「ドラえもん」や「コロコロコミック」を熟読。
日が暮れるまで読書タイム(?)となってしまいましたが・・・


ゴーカートコースとなるハイウエイの横には豊臣秀吉が造った「御土居」があります。
秀吉は京都の町並みを改造する為「御土居」と呼ばれる土盛の城壁で洛中と洛外の
線引きをして市街地と街外とを明確にした、その史跡です。
ここは「玄琢下」と呼ばれる「御土居」が残っています。

平日は近所のお子様連れで散策する主婦の方も多く見られましたが、本当にのんびりできて、
今の季節、お弁当をもって訪れるのには最高の癒しスポットと感じました。

しかし、地下足袋に作業ズボン、『船士魂』の文字が染められたTシャツは
周囲で、かなり浮いていたことは間違いないかも・・・


「京都市交通公園」

所在地:京都市北区大宮西脇台町                      
入園料:無料   
駐車場: 無料(15台)
但しゴーカートは一回:2人乗り250円、1人乗り150円

開園時間 :9:00~16:30       
休園日 :火曜日 12/29~1/3
備考 :園内、食堂等無し、自動販売機はあり                           




NHK・BS2「ザ・ベストテレビ」で「映像’08家族の再生」が紹介されました。

2009-06-15 19:32:53 | 素晴らしき仲間たち~
昨日、NHK・BS2が放映した「ザ・ベストテレビ“全部”見せますグランプリ作品」に
友人でMBS毎日放送の報道記者である米田佳史さん制作のドキュメンタリー
「“映像’08・家族の再生・ある児童養護施設の試み”」が紹介され、全編再放送されました。

この「ザ・ベストテレビ」という番組は民放各局の区別なく、ドキュメンタリー作品で「賞」をとった
良質で見応えのある作品を紹介する為に始めた試みで、深夜のローカル枠でしか
流されることない番組に「光」を当てる狙いがあるようです。

米田さんが制作した「家族の再生」は平成20年度の日本民間放送連盟賞・
テレビ教養番組最優秀賞をとった作品ということで紹介されました。

米田さん自身も制作者としてスタジオ出演されたのですが、ゲストコメンテータ
として出演していた井筒和幸氏や室井佑月氏と想定外の激論バトルとなるなど、
スタジオ内でもかなりの反響を呼んだようです。

この「家族の再生・・・」というドキュメントは、様々な理由から幼くして
児童養護施設に預けられた子供たちの姿を追うことで「家族・家庭とは何か?」
を問い掛ける問題作。

テレビカメラを向けられた子供たちは、気丈に振る舞うも、確かに‘親の愛’を
強く求めている心情が画面からも痛いほど伝わり、流れ出した涙をとめることが出来ませんでした。

「お母さん、俺のこと忘れたんかな?・・・」

我が子を預けてから一度も訪ねて来ない母へ、ポツリと投げかけた幼い子供の言葉が胸を締め付けます。
この子は毎晩、母の夢をみているに違いない。
温かい胸に抱かれて眠った、安らかなあの日の夜のことを思い出して…

「お母さんを恨んでいるか?」とストレートに問う記者にその子は、
「恨んでない!」 ときっぱりと言いきるのです。

「それはなぜ?」と再び問う記者に、

「…お母さんだから…」と答える子。

この言葉に、全ての気持ちが言い表されていると感じました。

幼いとはいえこの子は、母が自分を捨てたことを知っている。なのに…

我々、親と呼ばれる者は、この子の言葉に込められた親への思いを
しっかり胸に刻まなければならないと思いました。

将来、この子供達が多く‘愛情’に恵まれることを祈らずにはいられませんでした。

あくまでも私見ですが、米田さんの作品は、映像作品であるにもかかわらず、
なにか、文章表現にある「行間を読ませる」奥行きの広さを感じるのです。
だからこそ、観る人それぞれに様々な思いを抱かせ「考えさせる」作用を
及ぼすものが多いといつも感じています。

まわりくどくなく、シンプルですが、問題の本質をしっかり浮かびあがらせ、
深刻さや苦難に中でも、最後に‘希望’という人のやさしさを忘れない、
そんな感性を表現できるテレビ制作者だと感じています。

この7月にはまた、新作が放送される予定です。

映像を使い、こんどはどの様な問題提起をしてくれるか、今から楽しみにしています。

はっちんセンセイ、東輝中学生の職場体験学習・奮闘記

2009-06-14 21:25:28 | 保津川下り案内
今月の10日から12日までの3日間、地元の亀岡市立東輝中学校の2年生10名が保津川遊船に職場体験学習に来られていました。

以前、このブログでも紹介しましたが、近年、中学校では実際に地元事業所の
協力のもと、学生に職場業務を体験する授業をキャリキュラムに入れています。

その体験の中で「働くこと」の大変さと「仕事」の喜びを体感し、その意味を
学生自身が考える機会を与え、その中で地域の大人とのコミュニケーションにより
今後、社会人として必要になる礼儀やマナーを学ぶことを狙いとしてます。

私はっちんは先日の講演会に引き続き、遊船に来られた学生さんの職場体験学習
指導する担当教官に任命されました。

普段、空手の指導なのでこの世代の子供たちと接する機会が多く、スムーズにコミュニケーションを
図れるだろうというのが担当教官に任命された理由のようです。

初日は職場体験する生徒さんの面接官のお仕事です。

社会に出て働く為の第一関門となる「面接」。この独特の緊張感の中で
自分のことをどれだけ正確に伝えることができるか?
この「面接経験に勝る『職場体験』はない」と判断した私と面接官役の山田達也理事は「面接だけは本格的にやろう」事前に確認しておきました。

2人づつ個室に呼び、鋭い質問が矢継ぎ早に浴びせられます。中学2年生の彼らにとっては少し難しい面接になりましたが、仕事へ就くということの厳しさを感じることが出来たと思います。

面接ですっかり萎縮した感のある彼ら。翌日からはいよいよ体験学習がスタート。

まずは午前中、保津川下りの「歴史」や「操船方法」「川環境」についてのレクチャー
を受け、午後から実際に操船技術の講習を始めました。

まずは舟が係留してある対岸の湾へ行き、櫂引きや竿を差す実技講習です。
僅か200mほどの距離ですが、初めての者には体力的にかなりきつい!
順番に体験していくのですが、最初から上手くできる者はいませんが、
すぐに諦めたり、力を緩めている者には実技指導役の船頭から‘活’が入ります!
何度かトライしているうちに、みんな「もう手がふらふら・・・」「疲れた・・・」とは口では言っているものの、その汗を流す顔は爽やかに見えました。
経験すればするほどに上手くなっていく楽しさを実感しているようでした。
この感覚って、どの様な仕事でも大事ですよね。

いよいよ3日目最終日はお客さんと一緒に保津川に飛び出しての実践体験。手応え十分です!

途中、流れの緩やかな安全は場所で、櫂引きを中心に体験学習です。
大きな声で「自己紹介」し「精一杯頑張ります、よろしくお願いします!」
と大きな声でしっかりした挨拶もでき、特に生徒リーダである野木君なんかは、
櫂を引きながら名所の説明もして、お客さんから大きな拍手が沸き起こる場面も!
みんな、僅かの時間でよく学んだものです。立派でした。(教官がいいから…笑)

無事に嵐山に到着!みんな「達成感」からか?いい笑顔しているでしょ!

ここからは私はっちんが引率者となり、半日の嵐山散策へ出発です。


腹が減っては戦は出来ぬ…仕事終了後のお楽しみ、嵐山でのランチタイム!
初めて「働いた」後のご飯の美味しさ、味わっているかな?

この笑顔が全てをあらわしていますね~

嵐山の中ノ島公園を散策していると、珍しい亀を連れて散歩している方と遭遇。
「ナミビアヒョウモンリクガメ・・・」だったかな?早速、みんなで取り囲み記念写真です。

その後、大堰川の一ノ堰跡や大井神社、角倉了以関連の史跡などをめぐり。

最後は嵯峨野観光鉄道・嵯峨駅にお邪魔し、トロッコ列車のお見送りと駅舎内の見学をさせていただきました。

隣に併設されている「19世紀ホール」のSLの前でここでも記念写真。
みんな「サッカー」バージョンで「ハイ、ポーズ!」
これは本当に職場体験学習になるのだろうか・・・ちょっと心配・・・

最後は遠足のような雰囲気になったものの、初めて大人たちの中に混じり‘働くという体験をした彼ら10人。

子供にとって、働くことは「厳しいこと」ばかりが強調されがちですが、本当は
先輩から素直に教えを乞い、本人が努力すれば、出来なかったことも、段々と
出来るようになっていく。この体験から働く喜びや楽しさを感じとって貰うことが、今回、私が自らに課したテーマでもありました。
遊船では‘川、自然’という舞台で、自らの体一つで習得する技術の難しさ、
そしてお客さんという‘他者’と接する態度などを少しですが、学んで貰えたかな?と感じています。
ここでの経験が将来、少しでも役に立つことがあれば、つたない講師役でありましたが、本当にうれしく思います。

そして、僅か3日間でありましたが、私自身が‘中学生の教師’という貴重な
職場体験をさせて頂けたことを何より感謝しております。

東輝中学校の関係者の皆さん、そして今回、楽しい時間を共有することができた
職場体験に来てくれた10名の中学生のみんなに厚く御礼申し上げます。


保津川遊船企業組合 船頭 豊田知八