学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

詩のたのしみ

2018-10-25 21:31:45 | 読書感想
私は小説をよく読みます。それは自分が違う世界に入ってゆけるから。『枕草子』で平安時代に行くこともできるし、『坊っちゃん』で明治時代に行けるし、『シャーロック・ホームズ』で19世紀のロンドンに行くことだってできる。でも、同じ文学のジャンルでありながら、これまで「詩」についてはちょっと敬遠気味でした。ただ、ひとり、萩原朔太郎をのぞいては!

私の手元に『詩を読む人のために』という三好達治が書いた本があります。この本は、三好がセレクトした、いわばオムニバス詩集。


「詩を読み詩を愛する者はすでにして詩人であります」


詩というと、どうも高尚で難解なイメージがあったのですが、この言葉で一気に敷居が低くなるような気がします。

このごろ、何気なしにこの本を読んで、気に入った詩人の詩を音読したり暗唱したりして楽しんでいます。なぜ、音読や暗唱するのか。それは音読や暗唱をすると、自分の体のなかに詩がふっと降りてくる感じがするから。私にとって、詩は黙読するものではないのです。

詩集には、私の好きな萩原朔太郎が入ってもいるわけですが、読むといいな、と感じるのは堀口大學の「夕ぐれの時はよい時」、津村信夫、田中冬二あたりです。特に田中冬二は最近のお気に入り。


醤油    日が暮れると田舎の町は真暗だ
さうめん  広重の海に雨
蕎麦    しぶしぶと暗い雨の夜 怪談


こうした、思わずうなってしまうような聯想の発想が好きです。

敬遠気味だった詩も、この本のおかげで大分楽しくなりました。これをきっかけに、もっと色々な詩人の詩を知りたい。毎日が楽しくなりそう!



・三好達治『詩を読む人のために』岩波書店、1991年
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