今日は暖かい、を通り越して、暑い一日でした。あまりの暑さに、袖をまくっての仕事。こないだまで寒いと思っていたら、やはり5月になると気温は変わりますね。
フランスの作家フローベールの『紋切型辞典』を読みました。『紋切型辞典』は小説ではなく、フローベールが作ったアイロニー入りの辞典です。下記に例を挙げてみましょう。
「辞典」・・・嘲笑すべし-無知な人間のために作られたもの。
「肖像画」・・・むずかしいのは、微笑みを表現することだ。
「水車」・・・風景画に彩りを添える。
などと言った調子。そう、つまり『紋切型辞典』とは一般的な辞書のように言葉の意味を書くのではなく、言葉の意味がどんな効果をもたらすかを書いたものです。上記に挙げた3つはまだまだ優しいもの。本のなかには結構過激な言葉もちらほら。読んでいて笑えます。今読んで笑えるということは、フローベールが生きた19世紀フランスと現在、少なからず共通点があるということでしょう。科学は随分発達したが、人間の性格というのは発達しないものなのかもしれない(笑)
アイロニー。これはフランスの伝統的な気質のようで、古くは『ラ・ロシュフコー箴言集』があって、フローベール、ゾラ、モーパッサンなどの自然主義文学が生まれたのもこの国でした。物事の見方、というものが他の国に比べてシビアなのかどうかはよくわかりませんが、国によって特徴が見られるのはなんだか面白いですね。一方のフランス絵画のなかでアイロニー性のあるものが今は頭に思い浮びませんが、物事をシビアに見た結果が光を捉えた印象派の誕生につながると考えれば、そういう部分は絵画のなかにも見られるのかもしれません。
フローベール『紋切型辞典』、くすっと笑いたいときにオススメです(笑)
●フローベール『紋切型辞典』小倉孝誠訳 岩波文庫 2000年
フランスの作家フローベールの『紋切型辞典』を読みました。『紋切型辞典』は小説ではなく、フローベールが作ったアイロニー入りの辞典です。下記に例を挙げてみましょう。
「辞典」・・・嘲笑すべし-無知な人間のために作られたもの。
「肖像画」・・・むずかしいのは、微笑みを表現することだ。
「水車」・・・風景画に彩りを添える。
などと言った調子。そう、つまり『紋切型辞典』とは一般的な辞書のように言葉の意味を書くのではなく、言葉の意味がどんな効果をもたらすかを書いたものです。上記に挙げた3つはまだまだ優しいもの。本のなかには結構過激な言葉もちらほら。読んでいて笑えます。今読んで笑えるということは、フローベールが生きた19世紀フランスと現在、少なからず共通点があるということでしょう。科学は随分発達したが、人間の性格というのは発達しないものなのかもしれない(笑)
アイロニー。これはフランスの伝統的な気質のようで、古くは『ラ・ロシュフコー箴言集』があって、フローベール、ゾラ、モーパッサンなどの自然主義文学が生まれたのもこの国でした。物事の見方、というものが他の国に比べてシビアなのかどうかはよくわかりませんが、国によって特徴が見られるのはなんだか面白いですね。一方のフランス絵画のなかでアイロニー性のあるものが今は頭に思い浮びませんが、物事をシビアに見た結果が光を捉えた印象派の誕生につながると考えれば、そういう部分は絵画のなかにも見られるのかもしれません。
フローベール『紋切型辞典』、くすっと笑いたいときにオススメです(笑)
●フローベール『紋切型辞典』小倉孝誠訳 岩波文庫 2000年