学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

台風前夜

2007-09-06 20:56:03 | Weblog
蒸し暑い日中、それが午後になるにつれて風が強くなり、雨がぽつりぽつりと。いよいよ台風が近づいてきたようです。職員のなかで、私は美術館から一番近い位置に住んで居るので、何かがあったら真っ先に私が駆けつけなければなりません。引き続き台風情報をしっかり掴んでおかねば!

話は大きく変わるのですが、先日、栃木県の宇都宮美術館へ作品の見学に行きました。同美術館は、「北欧モダン デザイン&クラフト」展を開催しています。私は人で混雑している企画展をあとに、常設展から見ていきました。常設展というと、どんなイメージがあるでしょうか。いつも代わり映えしない展示をしている、というイメージが少なからずあると思います。でも、近頃の美術館は、少しでもそんなイメージを払拭しようと、常設展でも楽しめる展示を企画しています。宇都宮美術館も例に洩れず、開館10周年と銘打って、なかなか面白い作品を展示していました。

なかでも私がハッとしたのは「サントリーローヤルのポスター」でした。正確に言えば、そのキャッチフレーズ。ポスターは、砂漠のなかで火を噴いている男性、小さな子供たちがこちら側を見ている写真です。このポスターは、昭和57年にデザインされたもので、左上に「未来にランボーがいるか」というような内容のフレーズがありました。(鉛筆でメモをとっておくべきでした)20世紀は、ゴッホ、セザンヌ、モーパッサンなど、様々な巨星たちがお互い影響をし合っていた。そんな巨星たちが21世紀も出てくるのかといったようなフレーズ。なんだか体中に稲妻が走るような文章だったのです。とてもウイスキーのフレーズとは思えない・・・。

ちなみにお恥ずかしいことに、ランボーを、スタローンの「ランボー」と勘違いしました。しょうがない人間です。先に出てきた火を噴いている男性の写真が目に飛び込んできたので、そっちの「ランボー」かと思ったのです(映画のランボーにもそんなシーンはありませんが:恥)ランボーは、詩人のランボーですね。非常に難解な詩を読む人で、日本ですと中原中也が影響を受けたとか。企画展そっちのけで、常設展に刺激を受けた私なのでした。

常設展に満足している間に、時間は刻々と過ぎて、結局企画展は流して見るしかありませんでした。何をしているのだ、私は。また宇都宮美術館に来ることになりそうです。

それでは、皆様、台風にはお気をつけ下さい。