細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『21ブリッジ』で刑事のダーティな根性を見せたチャドウィックの、冥福を祈る。

2021年04月20日 | Weblog
●4月20日(火)10-40a.m. 二子玉川<109シネマズ・シアター8>
M-012『21ブリッジ』"21 Bridges" (2019) STX Financing films LLC, Huayi Brothers Films, AGBO Films 
監督・ブライアン・カーク 製作主演・チャドウィック・ボーズマン、シエナ・ミラー <シネマスコープ・99分>配給・ショウゲート
ニューヨークは大好きで、1967年が初めてで、そのあとも随分行ったが、ほとんどはマンハッタンを出ない島国根性なのだが、21もの橋があるのは知らなかった。
この作品は一種のタイムリミット作品で、8人もの警官を殺した強盗犯を逮捕するために、夜間の市外への逃亡を食い止め、すべてのマンハッタンからの橋を封鎖する。
まさにネズミ取り作戦なのだが、主演のチャドウィック私服刑事は、この事件を捜査して容疑者たちを追いつめて行く過程で、その裏には警察の関与があることに気がついていた。
あのカーク・ダグラスの主演した秀作「探偵物語」もマンハッタンの分署の話しだったが、この作品は一夜の追跡なので、ほとんどは夜のダークな路地裏が背景だ。
だから、たしかに見ていても、どの辺の路地裏で捜査しているのかは不明だが、薄暗いアパートと、その廊下や裏通りが背景なので、あまりマンハッタンらしくない。
やっと明け方になって、ブルックリン・ブリッジを追跡するパトカーのサイレンとヘッドライトで、そーーだ、これはマンハッタンが舞台なんだ、・・と、嬉しくなる。
とくに薄暮の早朝を、ブロンクスに向かって走るパトカーをヘリコプター撮影で見て、これはあの名作「裸の町」ニューヨークなんだ・・と思うほど夜間撮影ばかり。
それでも、悪党連中を始末していくうちに、この組織犯罪の背景には、どうやら警察内部の関与もありそうだ・・と、ラスト近くで、意外な内部告発に展開していく。
だから、ただのポリス・アクションの、ギャング・コネクションの追跡ではなくて、ラストではまったく想定外な展開になっていく辺りが、製作の狙いらしいのだ。
あのクリント・イーストウッドの「ダーティ・ハリー」のシリーズでも、よく警察内部の麻薬関与が描かれたが、「シャフト」よりも地味な黒人警官映画。
この手のマンハッタン刑事ものでは、あのリチャード・ウィドマーク刑事が壮絶な殉職をした68年の秀作「刑事マディガン」のラストを、ふと思い出して見た。
主演したチャドウィックの、若すぎる病死に、彼の冥福を祈る。

■サードのグラブをかすめたライナーが、ファールグラウンドに転々のツーベース。 ★★★☆☆
●全国で公開中。

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