細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ニュートン・ナイト*自由の旗をかかげた男』は地域自由のための南北戦争秘話。

2016年11月22日 | Weblog

11月16日(水)13-00 渋谷<ショウゲート試写室>

M-147『ニュートン・ナイト*自由の旗をかかげた男』" Free State of Jones " (2016) STX Entertainment / Hunky Brothers Pictures

製作+監督+脚本・ゲイリー・ロス 主演・マシュー・マコノヒー、ググ・ンバータ=ロウ <140分・ビスタサイズ> 配給・キノ・フィルムズ

アメリカでの黒人奴隷解放問題で起きた南北戦争は、もう何度も映画化され、あのスカーレット・オハラも「風と共に去りぬ」で、ダンナまで失った、あの大戦争だ。

もう腐る程、西部劇のテーマとして取り沙汰されて、負け組の南部軍をテーマにした作品も、もうウンザリするほど見て来たが、これはまた、知らなかった南北戦争秘話。

1862年のミシシッピー州ジョーンズ郡では、黒人解放を謳うリンカーン大統領支持の優勢な北軍の大隊が、日に日に南軍を追いつめて、その死闘が激化していた。

いきなり映画はその壮絶な流血残酷銃撃戦を展開して、戦況不利な南軍は多くの死傷者を出していて、かなりリアルな死闘は、これまでにない残虐な戦闘シーンを展開していく。

ところが、マシューが演じているニュートン・ナイト地区の自由解放軍は、本来は南軍の援軍の筈だが、彼は南部の人種偏見思想には反対していて、独自の自由解放軍を指揮していた。

恐らくは南軍の武器等は裏調達していたのだろうが、自分たちの住むジョーンズ地区は、まったく独自の混血ゲリラ軍を組織して、侵略には抵抗し、アメリカの自由解放のために戦った。

まさにあのゲイリー・クーパー主演「友情ある説得」のクエイカー教信者たちの、独立平和思想のためにのみ、自衛のための戦闘をしていたテーマと共通しているのだ。

しかしこちらはまじ、リアル実話で、その<ジョーンズ自由州>という、ごく狭いエリアでは、どちらの軍隊とも関係なく、白人も黒人も同じ思想のもとに自衛戦争に挑んでいたというエピソード。

ま、あちらの人はご存知で、わが<真田丸>騒動と似たような事件だったらしいが、この史実をゲイリー・ロスは「シービスケット」の時のような時代考証で、入念に描いて行く。

マシューも、さすがはオスカー受賞俳優の貫禄で、この自由へのリーダーシップを熱演していて、またも次回のアカデミー主演男優賞狙いの気合いの入れようは鬼気迫った熱演。

恐らくこの史実ドラマは、アメリカ人には意義のある人種差別解放の歴史検証なのだろうが、もう南北戦争を何度も西部劇で見ているオールドファンには、大して新鮮な感動はない。

たしかジョセフ・コットン主演の「西部のニ国旗」という、南北両軍の仲良しウェスターンがあったが、これはそれとはまた別の、独立人種解放戦線のお話として、貴重ではある・・のだが。

 

■左中間への大きなフライをセンターが後逸、ツーベース。 ★★★☆+

●2017年2月4日より、新宿武蔵野館などでロードショー 


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