細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『シークレット・アイズ』の13年ぶりの再捜査も、またも難航する。

2016年03月25日 | Weblog

3月24日(木)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-037『シークレット・アイズ』" Secret in Their Eyes " (2015) IM Global, STX Entertainment / Site Production

監督・ビリー・レイ 主演・キウェテル・イジョフォー、ジュリア・ロバーツ、ニコール・キッドマン <111分> 配給・キノフィルムズ

このミステリーが、アルゼンチン映画でアカデミー外国語受賞「瞳の奥の秘密」のリメイクであることは、かなり以前から報じられていたので、試写に早々に駆けつけた。

わたしの、このブログで調べたら、そのオリジナル作品は、2010年6月7日に東宝試写室で見て、かなり感動していたが、あああ・・・あれからもう6年。

当時の監督だったファン・ホセ・カンパネラが、この作品ではハリウッドで総合プロデューサーをしているのだから、ご本家承認済みの完全リメイクという作品だ。

という次第で、多くの部分で改良加筆されて、またしても人の心に痛く食い込む犯罪ミステリーに改良され、当然のように舞台はロサンゼルス周辺での事件となっている。

2002年に起こった婦女暴行殺人による死体遺棄事件は、当時FBI捜査官だった、キウェテルが担当したが、何と被害者は同じ捜査官ジュリア・ロバーツの娘だった。

当時は<9ー11>のテロ事件の直後だったために、タリバンなどのテロ対策の捜査が優先されていて、この殺人事件の現場がイスラム教のモスクに隣接されていた関係で、捜査に障害が多かった。

多くの殺人容疑者が絞られたが、なかなか事件の本質には当局の怠慢や内部の妨害もあって、とうとう事件は迷宮入りとなり、彼は職を退いてニューヨークで私立探偵をしていた矢先のこと。

13年ぶりにロスの当局に呼び出された彼は、容疑者リストを旧友のジュリアと、新任上司のニコール・キッドマンとともに、あの事件の時代からリストで絞り込んで行く、という難事件再現ドラマ。

過去にも「インソムニア」や「ドラゴン・タトゥーの女」のように、ハリウッド・リメイク・ミステリーには、それなりに予算も増額されて、人気スターの顔ぶれも華やかにはなるが、本質は替えられない。

この作品でも過去の事件との時間を縮めて、やはり<9-11>による障害を大きく脚色しているが、「それでも夜は明ける」のキウェテルの主役起用で、あのポワチエの「夜の大捜査線」の匂いを狙っている。

ただし、あまりキウェテルの風貌に13年という時差が感じられないために、被害者のシングル・マザーを演じたジュリア・ロバーツの老化だけが目立って、かなり悲惨な実状が痛々しい。

そかもニコール上司も、ジュリアの気迫に押され気味で、あの「パディントン」での壮絶な悪役捜査官の気迫は薄れてしまっていたのも、過去の難事件の捜査力を弱めてしまっていた。

たしかにオリジナルよりは、ドジャースタジアムでのメジャーリーグの実戦をドローン撮影したりと新味はあるものの、事件そのものの悪魔性の深い恐ろしさは、オリジナルの領域には、ザンネン。

 

■いい当たりが、かすかにファールになって、結局はフォアボールで出塁。 ★★★☆☆

●6月、TOHOシネマズ・シャンテなどでロードショー 


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