細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ウディ・アレンの夢と犯罪』で倒壊する兄弟のカサンドラ・ドリーム。

2009年11月18日 | Weblog
●11月17日(火)13-00 京橋<映画美学校 第二試写室>
M-123 『ウディ・アレンの夢と犯罪』Cassandra's Dream (2007) wild bunch UK
監督/ウディ・アレン 主演/ユアン・マクレガー ★★★☆☆☆
まるでジェームズ・M・ケインの転落小説のような、ノワール色の下地が薄気味の悪い犯罪映画だ。
ウディとすれば『重罪と軽罪』に近いテイストだが、犯罪の経緯とすれば衝動的で軽はずみである。
仲のいい兄弟だが、ギャンブルのつけから知人からの人殺しを請け負ってしまった。本来であればプロに依頼するような殺人だが、それを素人感覚でやってしまうところが、今回の犯罪軽視への警鐘なのだろうし、人生の落とし穴の日常的な軽さなのだろう。白日の暗転とは、これである。
これは喜劇ではないが、悲劇のくせに、どこか間抜けでドジな安易さが、逆に恐ろしいノワール的な転落への怖さを感じさせるのだ。よくあるプロの犯罪映画とは、まるで違うテイストなのは、ウディならではの話術のテクニックが、さすがに巧い。
犯罪映画とすれば、随分といい加減な動機と行動なのだが、実際の犯罪って案外にこんな展開なのだよ、とウディは茶化しているようで、妙に空恐ろしい気分も残ってしまう。

●明春、恵比寿ガーデンシネマでロードショー

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