細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『マイ・ファニー・レディ』は実にファニーな失笑ドラマ。

2015年12月16日 | Weblog

12月4日(金)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-152『マイ・ファニー・レディ』" She' s Funny That Way " (2014) ATA Production / Lagniappe Films 

監督・ピーター・ボグダノヴィッチ 主演・オーウェン・ウィルソン <93分> 配給・彩プロ

何しろ、「グランド・ブダペスト・ホテル」の監督ウェス・アンダースンと、「フランシス・ハ」の監督が共同でプロデュースした新作コメディ。

しかも監督が「ペイパー・ムーン」「ラスト・ショー」などのピーター・ボグダノヴィッチが久しぶりのメガホンを取ったというマンハッタンが舞台の新作となると、見ずにいられない。

原題が、あのフランク・シナトラが名盤「ナイス・ン・イージー」で唄っていた名曲「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」・・・・となると大変。

主演はウディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」のオーウェン・ウィルソンだし・・・テレビ喜劇「フレンズ」のジェニファー・アニストンが共演なのだ。・・・。

ところがどうだ。名産地の新鮮な食材を豊富に集めて、名だたるシェフが作った定番三ツ星料理が必ずおいしいとは、・・・限らない。

たしかに舞台はブロードウェイで、演出家のオーウェンは、新作ステージの主役に、かつてコールガールで俳優志望の新人を起用することにした。

バーバラ・ストライサンドが奇跡的なデビュをした「ファニー・ガール」は、名曲を歌唱した彼女の才能が圧倒的に素晴らしかった。

このようなラッキー・ガールのサクセス談という発想は、たしかにブロードウェイでは起こりうる奇跡なのだ。

シドニー・ルメットの「女優志願」から、ニール・サイモンの「グッバイ・ガール」やウディ・アレンの「ブロードウェイ・ダニー・ローズ」のような傑作の発想を思い出すのだが・・。

なぜか、さっぱりリズムが乗れないままに、当然のように、この訳ありの新人起用に関しては、周囲のカミサンや、業界の評論家や、そのヤジウマたちが愚痴るのもわかる。

その関係者たちのドタバタな騒動を、ルビッチやワイルダーのように巧妙に描くという狙いは判るのだが、キャスティングと演出がガタガタで、ドタバタもマルクス兄弟よりも惨状となるのだ。

こうしたブロードウェイを舞台にしたコメディというのは、かなりのベテランでないとマトマリがつかないことになり、正に、つまらないパーティに出てしまったような、冷めた料理となった。

むしろ、過去の傑作コメディのことなど、まったく知らないで見た方が、これって・・・面白い、の・・・かも????

 

■変化球に3球三振。 ★★

●12月19日より、ヒューマントラストシネマ有楽町などで正月ロードショー 


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