細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『それでも夜は明ける』あまりにも悪夢な長過ぎる夜にはマイッたな。

2014年01月24日 | Weblog

1月21日(火)10-00 <外苑前> GAGA試写室

M-008『それでも夜は明ける』12 Years a Slave (2013) River Road Entertainment / RegencyEnterprises / plan B

監督・スティーヴ・マックィーン 主演・キウェテル・イジョフォー <134分> 配給・ギャガ ★★★☆☆

原題は『12年間の奴隷』という体験実話で、ことしのゴールデングローブ賞のドラマ部門で作品賞受賞。しかもアカデミー賞でも作品賞ほか9部門でノミネートされている期待作だ。

監督が、あの「ブリット」などの有名スターと同じなのだが、別に何も関係のない40代の英才で黒人だ。地味なキャリアだが、今回アカデミー賞でも監督賞にもノミネートされている。

1841年のこと。アメリカ東部のニューヨーク州サラトガでバイオリニストとしても活躍していた黒人のキウェテルは、パーティで泥酔して気がついたら逮捕されて、奴隷として売られる。

立派な家に住み、子供も二人いる中流階級の男だ。何てバカな話だと、始めは「いい加減にしろよ」と眺めていたが、これは実話であって、そのあと彼は拉致されて、黒人強制労働者へと人生は地獄の転落。

ニューオーリンズに移送された彼は、荒涼たるコットン・フィールドで終日過酷な肉体労働をさせられ、ひどい人種的な迫害を受けて外部との連絡もとれない12年を過ごす。

ゲイリー・クーパーの「サラトガ本戦」でも、当時の黒人への差別蔑視は一般的だったが、自由市民権を持っている市民なのに、ここまで隔離虐待されていた事実はゾッとする。

テレビ映画でも、むかし「ルーツ」とかいう、黒人虐待の歴史が連続ドラマ化されていて、タランティーノの「ジャンゴ・繋がれざる者」も同様に黒人の虐待労働者が脱走したっけ。

問題は、どうして今になって、この大昔の人種偏見の苦労話を敢えてブラッド・ピットが映画化しようとしたのか。そこがアカデミーでも議論される部分だろう。

ブラッド自身も、ラスト近くで2カットのみ出演。それにしてもかなり長い上映時間で、こちらの鑑賞体力も、実に見辛いGAGAの試写室では限界を越える労苦であった。だから、印象は暗くて沈んでしまうのだ。

おそらくオバマ大統領の後押しもあって、この黒人解放のテーマによる制作の労苦は注目されるだろうが、わたしは静観したい気分で、正直、飽きてしまった。

 

■レフト線を転々と破る当たりで、一気にサードまでの走りのお疲れ長打。

●3月のアカデミー賞結果待ちで、7日からTOHOシネマズみゆき座などでロードショー 


コメントを投稿