細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『女と銃と荒野の麺屋』の華麗な中華味つけのノワール・リメイク、珍味。

2011年08月26日 | Weblog

●8月24日(水)13−00 京橋<テアトル試写室>
M−103『女と銃と荒野の麺屋』A Woman, A Gun, and A Noodle Shop (2009) beijing new picture co. ltd 中国
監督/チャン・イーモウ 主演/ヤン・ニー <90分> ★★★☆
もともとは、あのコーエン兄弟の古典ともいえる『ブラッド・シンプル』。
それを万里の長城から西の果て、という荒野にある一軒の古い麺屋を舞台に、カラフルな京劇風に再現。
アイデアは面白いが、もともとはジェームズ・M・ケインのノワール風の愛憎劇だ。
妻がコックと浮気しているので、殺害を警察官に依頼したが、警官は主人の隠し金庫の大金を奪う。
そして滑稽なような、死体埋葬劇がコミック・タッチで繰り返される。
裏切りと陰謀のコミック・ファンタジーだ。
ほぼオリジナル映画ストーリーのままの再映画化だが、テイストはまったく違った。
チャン・イーモウの派手なカラー感覚は、過去のカンフー美学のように華麗だ。
だから初めてこれを見るひとには、それなりに奇抜で面白い。
コーエン兄弟も苦笑しただろう。
しかし、どうもフィルム・ノワールの気分よりも、マカロニ・ウェスターンの気配が強いのが違和感。
おまけに、主要俳優に個性的な魅力が薄いのも、この作品を軽くしてしまっている。
所詮は、アメリカンなハンバーガーを中国料理味にしたような珍味な奇策戯画である。

■叩き付けた強打で、ボールが高くバウンドした間の内野安打。
●9月17日から、渋谷シネマライズでロードショー


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