ハロウィンがやっときた

ハロウィンがやっときた


「おかあちゃん、オレやオレや」

「わて男でっせ」

「お、おとうちゃん、オレやオレや」

「あっ、息子の五郎丸やないか、元気にしてるか」

「そ、そや、オレ、五郎丸や、元気にしてるで、最近よくテレビに出てるやろ
実は、オレ、コーヒーを会社のパソコンにこぼしてしもてな、今すぐ修理代に１００万円いるんや」

「コーヒーをこぼしたんか、エスプレッソか」

「いや、オレやオレや、カフェオレや」

「それはあかんな、キーボード交換やな」

「それで、今日、友達が金受け取りに行くから、そいつに１００万円渡してな
仮装して、『カフェオレ　オア　カプチーノ』って聞くから、
必ず『カフェオレ』って答えてな、そうせんと、オレオレ詐欺にならへんからな」


ハロウィンの夜は季節のはざまの特別な世界だ。
ありえない色々な出来事が起こるのである。
カボチャのランタンの、その光で照らし出された人々は、
不幸な人も幸福な人もみな同じように、暖かそうに見えた。