さらに南へ

「運転手、おまえ、なんでこんなところまで来たんだ」

「お客さまのおっしゃるとおりにするのがわしらの仕事でさ」

「でも、常識ってもんがあるだろうが」

「わし、南半球生まれだから日本の常識はよくわからんのよ」

「僕の言い方が悪かった、それじゃ、暑い所へ行ってくれ
まさか、地球の中心部に行くつもりじゃないだろうな」

「なんで、わしの行動パターンがわかったのだ
実は南極大陸の下は空洞になっていて、そこから地球のコアに行くつもりだった」

「でも、南極よりもっと南って、地球の中心部なのかもしれないね」

「お客さん、しゃれがわかるじゃないか、わっはっは、わっはっは、わっはっは」

笑いながら見る南十字星は北極星のように輝いて見えた