八田とし子は悩んでいた。
「このまま歳をとっていっていいのかしら
きっと寒い日本にいるから顔のシワも増えるのよ
暖かい南の国に行きたい」
仕事中にこっそり旅行サイトを閲覧しながらつぶやいた。
「タイのトランという町も良さそうね
でも、あそこには今、変な高齢日本人が滞在してるらしいし
今の時期は避けたほうが良さそうね
やっぱり、ベトナムのハノイが良さそうね」
はっと気づくと後ろにプロジェクトマネージャーの山田五郎が立っていた
「八田君、タイ旅行もいいけど
タイマーで記事をオフにするプラグインの検証は終わったのかね
クライアントに年内には結果報告しないといけないんだぞ」
「はっ、はい、も、もう昼休みは終わってましたね
すぐ仕事に入ります」
「一つ言っておくがな、冬のハノイはそんなに暖かくないらいいぞ」
「えっ、ハノイは暖かくない」
とし子の人生にまた暗雲が立ち込めた。
生きるとはそういうものだ。
雲の中を歩むようなものだ。
外の桜の樹の最後のひと葉が散るのが見えた。
スマップでもなんでも最後は散っていくものなんだ。
窓をそっと開けてみると冬の風のにおいがした。
「このまま歳をとっていっていいのかしら
きっと寒い日本にいるから顔のシワも増えるのよ
暖かい南の国に行きたい」
仕事中にこっそり旅行サイトを閲覧しながらつぶやいた。
「タイのトランという町も良さそうね
でも、あそこには今、変な高齢日本人が滞在してるらしいし
今の時期は避けたほうが良さそうね
やっぱり、ベトナムのハノイが良さそうね」
はっと気づくと後ろにプロジェクトマネージャーの山田五郎が立っていた
「八田君、タイ旅行もいいけど
タイマーで記事をオフにするプラグインの検証は終わったのかね
クライアントに年内には結果報告しないといけないんだぞ」
「はっ、はい、も、もう昼休みは終わってましたね
すぐ仕事に入ります」
「一つ言っておくがな、冬のハノイはそんなに暖かくないらいいぞ」
「えっ、ハノイは暖かくない」
とし子の人生にまた暗雲が立ち込めた。
生きるとはそういうものだ。
雲の中を歩むようなものだ。
外の桜の樹の最後のひと葉が散るのが見えた。
スマップでもなんでも最後は散っていくものなんだ。
窓をそっと開けてみると冬の風のにおいがした。