
今から10年以上前に京都に仕事に行った際、職場の先輩に連れられ、しこたま飲まされたのが、この店にきた初め。料理のセンスに光るものがあり、ほぼ京都に来るたびにこの店にやってきて、今ではこれを楽しみに京都に来ていると言っても過言ではない。

店の名前は『さくら』で今は観光地化しつつある石塀小路にある。外から見るとそれほど間口はないが、京都らしく、奥行きもあり、いつも予約すると壷庭横の席を用意してくれている。

料理はコースが3種類だが、その真ん中のをお願いして、何が出てくるかを楽しみに。

ビールで乾杯の後、前菜がホタルイカの酢味噌和え、新ごぼうの煮物、鯖寿司、天豆の蜜煮、だし巻き、そしてこの店名物のちりめん山椒をチーズに練り込んだもの、の6品がお盆に乗ってくる。特にホタルイカの酢味噌が絶品、また、鯖寿司も胃が落ち着いてさあ飲むぞという感じになる。

ここで『みぞれざけ』を注文。凝固点以下に冷やした酒に刺激を与えて器に取ると瞬間凍結してシャーベット状になるもの。いつもこれは欠かせない。


吸い物は『若筍と鱈子の椀』、あっさりしている中に筍とワカメがいい仕事してる。造りは『桜鱒と桜鯛』、鯛はサクラの葉に包み、塩昆布で味を整え、春らしい一品。

さらに『よこわの藁焼き』、よこわ(鮪の幼魚)を皮付きのまま藁焼きし、ぽん酢ジュレと鬼おろしを添えたもの。よこわも春の魚で赤身が美味い。次に冷酒を頼むとかなりの飲みっぷりと思ったか、つぎは大将がとっときを紹介すると言われる始末。

更に、揚げ物はフキノトウ、タラの芽、白昆布の揚げたものにサクラ塩を添えたもの。寒いのに春を迎えた気分にさせる。

ここで大将が直々に阿櫻(秋田県横手市)の純米生酒を試飲とサービス。➕10とかなり辛口のはずだが、旨味が強く、香り立つうまい酒、ただだから更に美味い。


蒸し物は『穴子の飯蒸し、ワラビ餅添え』、肉は『筍と牛肉の一口ステーキ』、このくらいの肉は嬉しい、さらに筍は味がよく染みている。飯ものは『桜エビの豆ご飯』、酒も含めて桜をキーワードに大変満喫。


デザートは『ブルーチーズの干し柿添え、苺大福』、特に前者は、ワインにもよく合いそうな旨さ。繊細かつ大胆な京都の春料理を十分堪能、また来たいと思わせるサービスと味である。だけど阿櫻は美味かった。
石塀小路さくら
東山区石塀小路
0755411522