鹿威(ししおどし)
***
深い深い木立の公園で
みんみんゼミが合唱してる
なんていったの?
聞こえないよと
あなたの顔に 耳を寄せたら
あなたは小さく
わたしの頬にキスをした
どこかでコーンと
鹿威の音がした
・・・
***
静けさを演出する音
鹿威(ししおどし)
「しし」とは
けものを一般的にさしていう言葉です
肉のことを「しし」といったことから
主に 肉を食用にした
猪や鹿をさすようです
「鹿」の漢字をあてているのも
そういったことからでしょう
田畑を荒らすけものたちを
追い払うために作られた
添水(そうず) 鳴子(なるこ) 威(おど)し銃など
すべて鹿威(ししおどし)といいます
日本庭園などで聞かれる
水を通した竹筒が石を打つ音
これは本来
添水(そうず)と呼ばれるもので
僧都(そうず)とも書きます
静かな空間に
コン・・・コーン・・と刻むリズムは
心地よい安らぎをかもし出してくれます
こんな優しい音で
けものを追い払ったなんて
心のゆとりを感じます
自然と共存していた人々だからこそ
こんなに自然に溶け合う音を作り出せたのでしょう
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