〈文字の歴史〉
1 世界のおもな文字体系
(1)楔形文字体系
シュメール文字(シュメール文字、アッカド文字、ヒッタイト文字など)→太古エラム文字、古代ペルシャ文字
(2)ヒエログリフ文字体系
太古シュメール文字→エジプト文字→地中海各種ヒエログリフ(象形文字A・B、線状文字A・B)→ヒッタイト・ヒエログリフ文字
(3)アルファベット体系
エジプト文字→シナイ文字→フェニキア文字→①、②、③
① 南アラビア文字→エチオピア文字
② ギリシア文字→スラヴ文字(キリル文字)、ゴート文字、コプト文字、ルーン文字、エトルリア文字(エトルリア文字→ラテン文字(ローマ字))
③ アラム文字→(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)
(A)古代インド文字(ブラーフミー文字、梵字)→チベット文字(チベット文字→パスパ文字)、デーヴァナーガリー文字、タミール文字、ビルマ文字、タイ文字、ラオス文字、カンボジア文字、ジャワ文字
(B)ヘブライ文字
(C)ナバタイ文字→アラビア文字
(D)シリア文字→ソグド文字→ウイグル文字→モンゴル文字→マンチュウ文字(清朝文字)
(E)アヴェスタ・パハラヴィー文字
(F)グルシア文字、アルメニア文字
(3)漢字体系
漢字→日本文字(漢字+仮名文字)、ベトナム文字、西夏文字、女真文字、契丹文字
(4)その他(未解読文字を含む)
朝鮮文字(ハングル)、ロロ文字、モソ文字、インダス文字、マヤ・アステカ文字、イースター島文字など。
2 楔形文字
・初期の楔形文字は絵文字(1つの文字がそれぞれ1つの物を表わす)だった。
・BC2900年ごろ、直線と三角形による記号が出現した。
・葦の茎を三角錐の形に切りおとし、その切り口を粘土に押しつけて文字を刻んだ。
・楔形の文字は、やがて、各文字が文脈によって異なる意味を持つようになった。
・楔形文字は、絵文字から抽象的な記号へと変化していった。
・また、表意文字から表音文字へと変化していった。
・しかし、長い間、表音の楔形文字と表意の楔形文字が同時に使用されていた。
・楔形文字は、アッカド、バビロニア、アッシリア、エラム、ヒッタイト、アケメネス朝ペルシャなどの言語表記に用いられた。
・イギリス人ローリンソンがベヒストゥーン碑文(イラン西部のザグロス山中の岩壁に刻まれたダレイオス1世の即位宣言碑文。古代ペルシャ語、エラム語、アッカド語(バビロニア語)の3か国語で刻まれていた)の古代ペルシャ語の部分を解読した。
・ベヒストゥーン碑文のエラム語の部分はイギリス人ノリスが解読した。
・ローリンソンはアッカド語の112行の文字を解読した。(1851年)
・さらに解読は進み、1905年ついにテュロー・ダンジャンがシュメールの楔形文字で書かれた文章の訳文を発表した。
3 ヒエログリフ(神聖文字、聖刻文字)
・ヒエログリフという言葉は、ギリシア語で「神聖」を意味する「ヒエロス」と、「刻む」を意味する「グリュペイン」からきている。
・古代エジプト人は、トト神がこの文字を発明し人間に授けたと信じていた。
・ヒエログリフは、最初から文字としての体系を持っており、あらゆる分野の事柄を書き表すことができた。
・ヒエログリフは、「神の文字」と呼ぶにふさわしい美しさがある。
・ヒエログリフは原則として右から左へと読むが、左から右へ読むこともあるし下から上へ読むこともある。
・メソポタミアでもエジプトでも、文字の読み書きの能力は特権であり、権力であった。
・5000年前、エジプトの書記(文字の先生)たちは、すでにパピルス、インク、ペンを使って文字を書いていた。
・インクも黒と赤の2種類あり、タイトルや書き出しには赤のインクを使った。
・パピルスはエジプトの国の専売となっており、高価なものだった。
・パピルスは地中海沿岸の諸国へ輸出され、エジプトの貴重な収入源だった。
〈神官文字〉(ヒエラティック)
・ヒエログリフは書くのに不便だったので、草書体の「ヒエラティック」が考え出された。
〈民衆文字〉(デモティック)
・BC650年ごろになると、さらに簡略化された「デモティック」が現れ、日常生活で使われるようになった。
4 ヒエログリフの解読
・フランスのシャンポリオンはヒエログリフに関心を抱き、ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語、アラビア語、シリア語、ペルシア語、サンスクリット語、中国語、コプト語を学んだ。
・シャンポリオンは1822年、ロゼッタストーンの碑文からヒエログリフの解読に成功した。
〈ロゼッタストーン〉
・ロゼッタストーンは1799年エジプト遠征中のナポレオンによって、ナイル河西支流の河口のロゼッタ村で発見された。
・前196年、即位したプトレマイオス5世の戴冠式のためにメンフィスに集まった神官たちが、ギリシア語で起草した法令が刻まれている。
・同一内容の文章が、ヒエログリフでも民衆文字でも書かれている。
5 線形文字
・イギリス人エヴァンズはクレタ島で3種類の線形文字を発見した。
・エヴァンズは2番目に古いものを線文字Aと名づけたが、現在まで未解読。
・さらに新しい文字を線文字Bとした。
・1936年、ロンドンでエヴァンズは「クレタ島の古代文明と文字」と題する講演を行った。その聴衆の中に、14歳の中学生のベントリスがいた。
・1952年ベントリスが線文字Bの解読に成功し、この文字がミケーネ時代のギリシア語を表記したものであることをつきとめた。
1 世界のおもな文字体系
(1)楔形文字体系
シュメール文字(シュメール文字、アッカド文字、ヒッタイト文字など)→太古エラム文字、古代ペルシャ文字
(2)ヒエログリフ文字体系
太古シュメール文字→エジプト文字→地中海各種ヒエログリフ(象形文字A・B、線状文字A・B)→ヒッタイト・ヒエログリフ文字
(3)アルファベット体系
エジプト文字→シナイ文字→フェニキア文字→①、②、③
① 南アラビア文字→エチオピア文字
② ギリシア文字→スラヴ文字(キリル文字)、ゴート文字、コプト文字、ルーン文字、エトルリア文字(エトルリア文字→ラテン文字(ローマ字))
③ アラム文字→(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)
(A)古代インド文字(ブラーフミー文字、梵字)→チベット文字(チベット文字→パスパ文字)、デーヴァナーガリー文字、タミール文字、ビルマ文字、タイ文字、ラオス文字、カンボジア文字、ジャワ文字
(B)ヘブライ文字
(C)ナバタイ文字→アラビア文字
(D)シリア文字→ソグド文字→ウイグル文字→モンゴル文字→マンチュウ文字(清朝文字)
(E)アヴェスタ・パハラヴィー文字
(F)グルシア文字、アルメニア文字
(3)漢字体系
漢字→日本文字(漢字+仮名文字)、ベトナム文字、西夏文字、女真文字、契丹文字
(4)その他(未解読文字を含む)
朝鮮文字(ハングル)、ロロ文字、モソ文字、インダス文字、マヤ・アステカ文字、イースター島文字など。
2 楔形文字
・初期の楔形文字は絵文字(1つの文字がそれぞれ1つの物を表わす)だった。
・BC2900年ごろ、直線と三角形による記号が出現した。
・葦の茎を三角錐の形に切りおとし、その切り口を粘土に押しつけて文字を刻んだ。
・楔形の文字は、やがて、各文字が文脈によって異なる意味を持つようになった。
・楔形文字は、絵文字から抽象的な記号へと変化していった。
・また、表意文字から表音文字へと変化していった。
・しかし、長い間、表音の楔形文字と表意の楔形文字が同時に使用されていた。
・楔形文字は、アッカド、バビロニア、アッシリア、エラム、ヒッタイト、アケメネス朝ペルシャなどの言語表記に用いられた。
・イギリス人ローリンソンがベヒストゥーン碑文(イラン西部のザグロス山中の岩壁に刻まれたダレイオス1世の即位宣言碑文。古代ペルシャ語、エラム語、アッカド語(バビロニア語)の3か国語で刻まれていた)の古代ペルシャ語の部分を解読した。
・ベヒストゥーン碑文のエラム語の部分はイギリス人ノリスが解読した。
・ローリンソンはアッカド語の112行の文字を解読した。(1851年)
・さらに解読は進み、1905年ついにテュロー・ダンジャンがシュメールの楔形文字で書かれた文章の訳文を発表した。
3 ヒエログリフ(神聖文字、聖刻文字)
・ヒエログリフという言葉は、ギリシア語で「神聖」を意味する「ヒエロス」と、「刻む」を意味する「グリュペイン」からきている。
・古代エジプト人は、トト神がこの文字を発明し人間に授けたと信じていた。
・ヒエログリフは、最初から文字としての体系を持っており、あらゆる分野の事柄を書き表すことができた。
・ヒエログリフは、「神の文字」と呼ぶにふさわしい美しさがある。
・ヒエログリフは原則として右から左へと読むが、左から右へ読むこともあるし下から上へ読むこともある。
・メソポタミアでもエジプトでも、文字の読み書きの能力は特権であり、権力であった。
・5000年前、エジプトの書記(文字の先生)たちは、すでにパピルス、インク、ペンを使って文字を書いていた。
・インクも黒と赤の2種類あり、タイトルや書き出しには赤のインクを使った。
・パピルスはエジプトの国の専売となっており、高価なものだった。
・パピルスは地中海沿岸の諸国へ輸出され、エジプトの貴重な収入源だった。
〈神官文字〉(ヒエラティック)
・ヒエログリフは書くのに不便だったので、草書体の「ヒエラティック」が考え出された。
〈民衆文字〉(デモティック)
・BC650年ごろになると、さらに簡略化された「デモティック」が現れ、日常生活で使われるようになった。
4 ヒエログリフの解読
・フランスのシャンポリオンはヒエログリフに関心を抱き、ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語、アラビア語、シリア語、ペルシア語、サンスクリット語、中国語、コプト語を学んだ。
・シャンポリオンは1822年、ロゼッタストーンの碑文からヒエログリフの解読に成功した。
〈ロゼッタストーン〉
・ロゼッタストーンは1799年エジプト遠征中のナポレオンによって、ナイル河西支流の河口のロゼッタ村で発見された。
・前196年、即位したプトレマイオス5世の戴冠式のためにメンフィスに集まった神官たちが、ギリシア語で起草した法令が刻まれている。
・同一内容の文章が、ヒエログリフでも民衆文字でも書かれている。
5 線形文字
・イギリス人エヴァンズはクレタ島で3種類の線形文字を発見した。
・エヴァンズは2番目に古いものを線文字Aと名づけたが、現在まで未解読。
・さらに新しい文字を線文字Bとした。
・1936年、ロンドンでエヴァンズは「クレタ島の古代文明と文字」と題する講演を行った。その聴衆の中に、14歳の中学生のベントリスがいた。
・1952年ベントリスが線文字Bの解読に成功し、この文字がミケーネ時代のギリシア語を表記したものであることをつきとめた。