WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

蜂ケ崎展望台

2021年04月11日 | 今日の一枚(S-T)
◎今日の一枚 493◎
Stanley Cowell Trio
Dancers In Love
 新しくできたという「蜂が崎」展望台に行ってみた。東北地方最大のつり橋、気仙沼湾横断橋を近くで見学するために、大浦地区の防潮堤上に作られた施設で、横断橋を真横の角度から見ることができる。遠くには気仙沼大島大橋も見え、2つの橋が重なった形になる。2つの橋を含む風景の雄大さという点では、安波山からの眺望に一歩譲るが(→こちら)、横断橋をより近くで、海の青さを感じながら眺められるという点では、こちらがいい。今日は天気はもよく、気持ちの良い気候だった。心穏やかな一時だった。
 今日の一枚は、スタンリー・カウエル・トリオの『恋のダンサー』である。1999録音。venus盤である。ラグタイム的な曲想で、気持ちよくスウィングするピアニストだ。venus盤らしい、ベース音を強調した音の強い録音である。スウィングを信条とするこのピアニストには、venusの音が意外とマッチしている気がする。心ウキウキ。何だか楽しい。今日のような心晴れやかな日は、こういうサウンドがいい。

キース・ジャレット

2021年04月11日 | 今日の一枚(K-L)
◎今日の一枚 492◎
Keith Jarrett
Death And Flower
 ずっと心配している。キース・ジャレットのことだ。2018年に脳卒中を2回発症して麻痺状態となり、ピアノ演奏に復帰できる可能性は低いということだ。思えば、90年代に慢性疲労症候群を発症し、それを克服して復帰したばかりだった。けれども、キース・ジャレットの演奏の映像を見て、さもありなんと思ってしまう。精神を、エネルギーを集中し、一音一音を奏でているのだ。血管がはち切れそうだと思う。
 私は、キース・ジャレットが好きだ。アルバムも相当な枚数を所有している。何故好きなのかは、うまく整理がつかない。言語化できないのだ。ただ、ものすごい吸引力で引き付けられる。不可抗力といっていい。
 回復と健康を願いつつも、身勝手なことをいえば、音数は少なくていい、もう一度エクスタシーのピアノを聴かせてほしいと思う。

 今日の一枚は、キース・ジャレットの1974年録音盤、『愛と死の幻想』である。パーソネルは、
キース・ジャレット(p, ss, fl, per) 
デューイ・レッドマン(ts, per) 
チャーリー・ヘイデン(b) 
ポール・モチアン(ds, per) 
ギレルミ・フランコ(per) 
である。通称、《アメリカン・カルテットの作品である。学生時代、気が狂ったように聴いた。もう、40年も前のことだ。アメリカンなのに、深遠な作品だ。しばらくぶりに聴いたが、心がざわめき、思考がぐるぐるかき混ぜられ、想像力の翼が羽ばたくのを感じる。チャーリー・ヘイデンとのデュオ② 「祈り」、凄い。圧倒的にすごい。