ひのっき

あったかくてぐっすりでごはんがおいしくてよかったねうれしいねなんて小さなしあわせ探し雑記

泰三子「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」はお仕事漫画の傑作

2018年07月13日 | どくしょ。
ハコヅメ~交番女子の逆襲~(2) (モーニングコミックス)
泰三子
講談社

泰三子「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」2巻を読みました。
面白かったです。笑い過ぎで腹筋がよじれそうです。
新人女性警官の悲喜こもごものお仕事生活を描く本作品、面白さに更に磨きがかかっています。
大事件がなくたって、忙しい上に忙しい警察官のお仕事。
お巡りさんたちはブツブツいいながらも実直に職務を遂行します。
その「ブツブツ」のセリフ回しが秀逸な本作品。
テンポよくキレの良いツッコミの数々が、地味で真面目なお仕事を捧腹絶倒のコメディに昇華させます。
本巻のイチオシは何といっても取り調べ回。
覚せい剤で逮捕された売人の情婦。厳しい取り調べにも頑なに口を開きません。
そこへ投入されたのが取り調べだけが取り柄の若手刑事。
上層部からの叱責も飄々と受け流し、容疑者との世間話を延々と続けます。
何の情報も得られないまま迎えた拘留最終日、自称取り調べの天才がとった行動とは・・・というお話。
また警察官ならではの合コン事情など、元県警勤務の作者ならではのリアルな情報も満載。
クスゲラ笑いつつ、日夜頑張るお巡りさんたちに頭が下がるお仕事漫画の傑作です。


野田サトル ゴールデンカムイ 9巻

2017年01月06日 | どくしょ。
ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
野田サトル
集英社

野田サトル先生のゴールデンカムイ9巻を読みました。

いやー、面白かったです。

本作品はアイヌ埋蔵金伝説や土方歳三生存説など北海道各地に残る伝説をベースにした冒険活劇で、アイヌ文化の奥深さと力強さ、北海道の自然と食の素晴らしさが堪能できる傑作です。

本巻では馬の腸を味噌で煮る「なんこ鍋」、野生のヤマギシのつみれ鍋「チタタプのオハウ」、オオウバユリのホクホク焼きが紹介されます。そのどれもが野趣味溢れて本当に美味しそう。

今一番熱い冒険野生グルメ漫画でお薦めです。


奥田英朗 イン・ザ・プール

2006年03月25日 | どくしょ。
奥田英朗先生の「イン・ザ・プール」を読みました。
いや、面白かったです。
なんていうのか、ポリシーってのは偉大だなあと思いました。
いつもながら奥田英朗先生の「普通の人がちょっとしたきっかけで神経を詰め詰めに突き詰めスパイラル的に破滅へ向かって転落していく描写」は見事です。しかし本作では、ジャイアンとのび太とスネ夫(以上ドラえもん)とハート様(北斗の拳)を足して5で割ったような精神科医が最強のセーフティーネットとして登場し、墜ちゆく心をおせっかい的にがっちりキャッチ、暑苦しい体当たりでなにげに患者を現実世界へ引き戻してくれます。
うーむ、同じ奥田英朗作品でももしこの伊良部一郎が出てきてくれてれば、「最悪」の河合社長も「邪魔」の及川主婦もなにやら救われてハッピーエンドになったのになあなんて。
なんだか息苦しかったり疲れちゃったりしてる方はもちろん、ただただ面白い読み物をお求めの方にもお奨めの作品です。
イン・ザ・プール
最悪
邪魔

司馬遼太郎 街道をゆく オランダ紀行

2005年12月26日 | どくしょ。
司馬遼太郎先生の「街道をゆく35 オランダ紀行」を読みました。
面白かったです。
いつもながら、司馬先生の旅行記はその記述の見事さにため息が出ます。その土地に対する思い入れと独特の歴史観、それに基づいたエピソードからの展開と解釈、ちょっとした触れ合いからも数世代遡って社会を俯瞰する視点・・・みたいなモノが絶妙に配置されており、読んだだけで自分がオランダに300年ほど住んでいるかのような錯覚に囚われます。
知識というガイドをつければ、旅行ってのはこんなに深くなるんだなあなんて。
歴史観ってものの凄みを改めて思い知らされた読書タイムでした!

岡嶋二人 99%の誘拐

2005年11月29日 | どくしょ。
岡嶋二人先生の「99%の誘拐」を読みました。
なにやらテンポ良く読めました。
罠に嵌められて亡くなった父親の無念を、20年後に成長した息子が意趣返し的に晴らそうと奮闘するという、いわゆる仇討ちモノです。
純粋にミステリーとして読んじゃうと突っ込みどころが満載すぎてあれですが、逆に主人公の犯行計画が穴だらけであるが故に、ジェットコースターな展開に伴うドキハラ度はかなりのものです。
通勤電車なんかでの軽めの読書タイムあたりにいいかもな一冊です。

網野善彦 阿部謹也 中世の再発見 

2005年10月30日 | どくしょ。
網野善彦先生と阿部謹也先生の対談集、「対談 中世の再発見 市・贈与・宴会」を読みました。
いや、面白かったです。
網野先生と阿部先生は、それぞれ日本史学と欧州史学で独自の史観を打ち立てたことで知られる、国内最高峰の歴史学者の一人です。
ユニークな歴史観を持つ両先生が、中世における人々のものの考え方や捉え方、風習や文化、価値観などについて、売買や贈与、宴会やもてなし、市、芸能、徳、公といったテーマを軸に、日本史学と欧州史学の立場からその見解をあれこれ比較文化論的なテイストで語ってくれおり、非常に興味深く読めます。独自の史観で知られる二人だけに、ページをめくるごとにへーそんな考え方もあるんだーなんて目鱗の連続、読み終わった頃にはちょっと視野が広がったようなお徳感に包まれます。
さらにありがたいのが、その読み易さです。対談集だけに全部口語で、しかもテーマに沿った重要なことしか言わないのですいすい脳に落ちていきます。網野先生の著作って史学系の読み物としては相当読みやすい部類なんだけど、それでもちょっと文体が学術調で読みこなすのに体力がいったりするのでこの消化のよさは楽チンに嬉しい限りです。
中世という時代に興味のある方はもちろん、ちょいと角度の違うモノの見方をお求めの方にお奨めの良書です。

宮部みゆき 誰か ----Somebody

2005年10月24日 | どくしょ。
宮部みゆき先生の「誰か ----Somebody」を読みました。
自分の手を汚したことのないナルシストなお金持ちほど迷惑なものはないなあと思いました。
電車男でお金持ちの男が、自分がいかに清らかで素晴らしく実は人知れず苦労(それを苦労と呼んでは世界がもし100人の村のうち99.999(以下略)人にボコ殴りにされそうな)しながらそれでも綺麗で美しいか、ほらほら?僕って偉いでしょ?を主張することに紙面の80%を費やしながら、10%ほどで誰も明かされることを望まない人のプライバシーを暇にあかせて執拗に暴き、残りの10%で自分達以外の人々をなんて毒々しく下卑て醜いんだろうなんてくどくどとおキレイな視点で貶め続ける、なんとも感想を述べるのがつらいぐらいのアレな物語です。
宮部みゆき先生どうしちゃったんだろう・・。
あの奇跡のような活き活きとした筆致で、キラキラ煌くように魅力的なキャラクター達を描き続けてきた先生はどこへ行ってしまったのかしら・・・。あの頃眩しいぐらいに輝いていた宮部みゆき先生の復活を、泣きたいぐらいに切なく願ったりした悲しすぎる読書タイムでした・・・。

ロレンゾ・カルカテラ ストリート・ボーイズ

2005年10月12日 | どくしょ。
ロレンゾ・カルカテラ先生の「ストリート・ボーイズ」を読みました。
面白かったです・・・ていうか、泣きました。
第二次大戦降伏後のイタリア。荒廃し蹂躙され退去命令の出たナポリを守るために武器を取り立ち上がった200名の戦争孤児たち。迫るは徹底破壊命令を受けたドイツ機甲師団。子供達はナチス精鋭部隊に打ち勝ち、自分たちの街を開放することができるか。・・・というそれだけで景色が揺れ滲みそうなプロット。
それ以上のあらすじは何を書いてもネタバレになりそうなので割愛しますが、この作品の秀逸な点は、何よりその人物描写です。平時であれば穏やかに幸せに暮らせたであろう善良な子供たち。その視点は大人にも敵であるナチス軍にも注がれ、その「普通の」人間性が描かれます。それが故に、戦争がなければ気持ちを交わし友達になれたかも知れない人間同士が血みどろになりながら殺戮しあわなければならない切なさと、仲間のために身を呈し笑顔で死んでゆく子供達の悲壮な勇気に胸が締め付けられ涙腺が大解放状態です。
火炎瓶や手榴弾にクレイモアやRPG-7並の破壊力が与えられちゃってる設定が気になってしょうがないようなマニアの方はともあれ、そんなことより物語の本質を読むことのできる特にファーストガンダム世代の方にお奨めの作品です。

柘植久慶 戦場の生存術

2005年09月24日 | どくしょ。
柘植久慶先生の「戦場の生存術」を読みました。
柘植先生は、フランス傭兵部隊、アメリカ特殊部隊で多くの実戦を経験した元職業軍人です。
本書では、武器・装備の選び方から行軍・偵察の方法、戦場での食事と休憩、ブービートラップの仕掛け方・見抜き方、銃撃戦・白兵戦における戦術とテクニック、戦車・航空機への対応、捕虜の扱い方等々、戦場における実戦の技術と実践的なノウハウ、生き残るための心構えを詳細にかつ分かり易く解説しています。
うむう。兵士の立場においては、戦争ってのはイデオロギーとか道徳には全く関係なく、ただただ純粋に「職務」になっちゃうんだなあなんて。
戦場のない生活のありがたさと得難さが、逆説的な迫力を持ってひしひしと実感できます。
平和って何だろうってことを考える上で、視点の一つの角度として目を通してもいいかもな一冊です。

川浦良枝 しばわんこの和のこころ

2005年09月20日 | どくしょ。
川浦良枝先生の「しばわんこの和のこころ」を読みました。
いやー、心が洗われます。
和を極めた柴犬しばわんこが、季節にちなんだ「和の暮らし」の愉しみを紹介してくれる絵物語風絵本です。
とにかくページをめくるごとに、しばわんこのかわいさにきゅーん、和の暮らしの素敵さにきゅーんと、トキメキが止まりません。読み進めるごとに、こんな暮らしっていいよなあなんて、和の生活への憧れが募り、ちょっとその気にさせてくれます。
やっぱり人生の楽しみってのは、「日々の暮らし」なんだなあなんて改めて考えさせられたり。
和に興味のある方はもちろん、日本の暮らしを楽しみたい全ての方にお奨めの一冊です。
しばわんこの和のこころ