緑 島 小 夜 曲

春を愛する人は、心優しい人。

紅楼夢における短歌シリーズ「晴ぶんの歌」

2007年06月19日 01時00分40秒 | 俳句和歌
彩雲や 雨上がりける 月偲ぶ 多情な公子 散りたる君へ
さいうんや あめあがりける つきしのぶ たじょうなこうし ちりたるきみへ

             晴雯・判詞   
 霽月難逢,彩雲易散.心比天高,身爲下賤.風流靈巧招人怨.壽夭多因譭謗生,多情公子空牽念.

 注:1、晴雯は宝玉の侍女で向日葵(僕)の大好きな紅楼人物でもある。短気で何事に対してもはっきりと自分の意見や考えを主張するまっすぐな性格で、何だか僕はこの点が、一番好きなのだ。僕の恋人も晴雯のような女子ならば、うれしく存じる。
   2、以下は判詞を説明する。「霽月」は雨上がりの美しい月で、このような月景色はとても稀だそうだ。後の「彩雲散るは易し」の「彩雲」と共に、晴雯のたとえやイメージになる。
   3、歌末の表現「散りたる君へ」の「散る」とは、ただ冒頭の「彩雲が散った」を指すだけでないのだ。王善保の妻の悪口で王夫人の怒りをかい、邸を追い出されました。病気と失意で死亡した。宝玉がその死を悼んで芙蓉の花の前でお祈りをした。だから、芙蓉の花が晴雯の化身とされるのも疑いがないんだ。すなわち、歌末で「散りたる」を通して、「芙蓉の花が散った」という含みもあると、僕の愚見である。もとろん、紅学研究者らの分析の中で、この芙蓉の花が散るでなく、彼女の化身としてまた黄泉の世界で咲いていたという説もある。


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