緑 島 小 夜 曲

春を愛する人は、心優しい人。

憶江南(1)

2009年10月21日 10時19分15秒 | 風景開眼
 日出江花紅勝火、春来江水緑如藍。能不憶江南?白楽天『憶江南』の一部。江南地区の風景や季節感を生き生きと描き出す秀作だと、薦めである。
 僕は先月11日から21日までの十日間で、南京、杭州、上海を旅していた。

 
 
 
  左:南京の中山陵、中国民主革命の先駆なる孫文先生のお墓なのである。
 右:明孝陵の一部、明代開国皇帝・朱元しょう(王辺に章)と奥さんの馬皇后との合葬(がっそう)墓である。
 南京は六朝の古都なり、西安と同じ、世界でもかなり有名な町なのである。僕は二日間(週末)滞在して、人気のある中山・明孝両陵だけに行った。中山より明孝が勧めである。特に日本の方ならば、ぜひ明孝のほうへ行ってみて、中では顔真卿碑林というのがあり、中日両国書道家の作が多く立ってある。あとは、僕は余裕あまりないから、総統府へ行かなかった。

  

 左:杭州の岳王廟にある岳飛のお墓。その右に立ってあるのは王の長男・岳雲のお墓である。南宋有名な英雄として中国で人気がある。墓の両側及びその下に石の翁仲や獣(馬、羊、虎)が墓を鎮護する。これらは一般的に帝王の陵墓しかないものなので、そこからすれば、岳王の地位がどれほど高いのが分かるであろう。
 右:岳飛を陥れる秦檜、王氏(下)、張俊、万俟卨(上)四人の鉄製像。四人とも罪人だから、同じ姿勢で跪いている。実はこれについて、ある日本人の友から聞いたことがある。中日生死観の問題だったが、我々二人でかなり深く話し合ったものである。一般論にして話すならば、やはり「日本人は死を尊敬する、中国人は死を恐れる」など、また「日本では良し悪しに関わらず、死んだら誰でも神や仏になれるから尊敬すべきだ。中国では輪廻や業などの考え方があってから、今世で悪いことばかりすると、きっと来世には報いがある」というような結論が出てくる。この死生観の問題も中日関係を改善し向上させるに一定の意義があるではないか。