緑 島 小 夜 曲

春を愛する人は、心優しい人。

東京遊学歳時記(2)

2012年01月06日 16時08分30秒 | 歳時季語
    彼岸花花弁の数魂(たま)の数

 9月23日、日本での最初の朝。ちょうど秋の彼岸の3日だった。
 朝早く隣室の呉さんと出かけた。

 お墓参りに出かける人が多かった。黒眼鏡をかけている人もあれば、新聞紙に包まれた花を持つ人もある。みんな真面目な表情で、黙々と墓地へ急いだ。

 道端には彼岸花がよく見える。細長き花弁が魂のように曲がっている。日本では墓地に多く生長しているといわれる。だから死人花ともいうのであろう。

 高尾付近では、霊園がいくつかある。それに、高尾沿線の大光寺の境内にも寺院墓地が設される。

 火のような彼岸花、魂のような彼岸花。秋分の道端にしめやかに咲いている。

東京遊学歳時記(1)

2012年01月04日 13時06分34秒 | 歳時季語


   秋の雨しとしと降りし台場かな


 2011年9月22日、我々一同が東京成田空港に着陸しました。
 拓大のスクールバスが迎えてきました。

 船橋、赤坂、台場、新宿などを通り、八王子の高尾へ進みました。

 途中で雨が降ってきました。東京での最初の雨でした。しとしとと、大雨ではなかった。
 あのスクールバスで、東京の短期研修をいろいろ想像したり、計画したりしました。

 「もののあわれは秋こそまされ」といわれたように、東京の秋の雨がしとしと降ってました。お台場はロケとして名が響いていますが、実際に目にするとはスクールバスがレインボーブリッジで走っている時でした。

 どんよりした空模様を背景に、台場の一切がもやもやした秋の雨に滲みました。遠くの摩天楼のの窓より微かなる灯の光が見えました。

 ああ、秋の雨しとしと降りし台場かな。



夕日と西川

2011年08月27日 16時37分44秒 | 時事雑感
 

 故郷の県域開発につれて、新しい西橋も運動場も完成された。夕日浴びて母と散歩に出かけた。

 僕の小学校は昔、「西橋小学校」だった。十年前は石油希望小学校に改名された。中国陸上第一の油井の遺跡が校庭に保存されたからであった。その油井を言えば、日本にすこし関わるそうである。



 小学校三年の時、日本の訪問団が我が校を訪ねてきた。日本の文具やノートなどを学生に送ってくれた。一部の学生だけがもらえたから、残念なことには、僕はその一部にはならなかった。その後、遺跡の石碑を読んだ。清末民初、地元の政府が佐藤弥九郎という日本の石油技師を招いて、油井を開発しようという。その技師のもとで、中国陸上で最初に石油が湧き上がった。

 同窓なら、誰もこの遺跡をしばしば小学生時代の作文に書いたではなかろうか。

 昔の西川(川より渓谷のほうがもっと的確であろう)も県域の開発の潮に埋められ、何階建ての朝市の売場になった。われわれの少年時代なら、その西川が楽園である。オタマジャクシを掬ったり、ガマを捉ったり、蛍を見たりしたことがある。今はもうこんな風景がまれに見られない。小学校は静かに川の畔にあるが、小学生らはみんなコンピューターゲームに夢中して、ガマには興味を持たなかろう。

観光開発意識

2011年08月25日 08時58分32秒 | 心境写生
 2009年杭州へ学会に参加した時のことであった。会場のホテルのホールの隅っこに杭州観光案内のパンフレットが多国言語に翻訳され、置かれる。それに、自由に取って行くこともできる。

 
 
 杭州市内だけでなく、都市周辺の観光名所や自然風光などもその一冊に詳しく紹介された。さらに、レジャーマップ一枚で杭州の名所旧跡を手書き様式して紹介した。それに「杭」という文字を東屋や楼閣の形にたくみにデザインされた。
 この意識がいいと思う。西安のホテルでは同じようなものはないようである。

 

 西安は国内海外有名な古都として、杭州のこれを学んだほうがいいと思う。

夏休みの終わり

2011年08月24日 09時04分36秒 | 心境写生
 なんといっても、夏休みは子供たちの特権のようである。もちろん、教師として夏休みを過ごすことができるが、子供のようなわくわく気分じゃない。

 僕は小学校の頃、たいてい夏休みの終わりに宿題(新出漢字を一字十回写す、日記など)を一夜漬けに終えたものだ。夏休みの最初の日々に、ちゃんとプランのようなものを作っても、なかなか最後まで遂行することができなかった。いわゆる「三日坊主」だった。しかし、今から思えば、たいていの子供は僕と同じだ。夏休みプランを作っても、紙上のプランにすぎない。

 今週は夏休みの終わりだ。来週から新学期である。

 大学教員になってから一年。楽もあれば苦もある。

 夏休みの終わりに、新学期のプランを作らなければならない。

 去年は五十音図順で教師教養の基準を作ったが、今からみれば、自分がどれほど成長しているのであろうか。

あ:愛
い:色々な知識
う:美しい言葉使い
え:笑顔
お:親のようになる
か:活発
き:危機意識
く:苦情を言わないこと
け:慧眼
こ:声
さ:差別しないこと
し:躾
す:素直
せ:精一杯
そ:想像力
た;態度
ち:忠実
つ:強さ
て:手振り
と:遠く見える
な:内的要求
に:日記をつける
ぬ:ぬくぬく
ね:熱情
の:能動的
は:把握
ひ:必死に
ふ:不偏の立場
へ:平和
ほ:方法に注意すること
ま:真面目
み:魅力
む:無理しないこと
め:目つき
も:持てる
や:優しさ
ゆ:ユーモリスト
よ:世を知る
ら:ランプのようになる
り:理性
る:累進
れ:礼儀正しい
ろ:露出しないこと
わ:話術

立秋から

2011年08月23日 11時25分36秒 | 心境写生
 立秋した。

 残暑も先週の雨で終わりを告げた。


 延安の夏は短い。



先週の残暑にはこれは不可欠であろう。清涼油である。あの緑色のちいちゃい瓶はいかにも夏の風物である。


 
白星のこがねむしがわが窓に飛んできた。


 
立秋の雲一抹の天の原

 
 
古都の書院門で作られた判子。玉製に赤き提げ糸。



この夏休みは俳句がテーマだった。

今夏の俳句

2011年08月14日 11時02分49秒 | 俳句和歌
福を呼ぶ白象の坐や夏に入る

草刈女挟み合ひけり茎の音

採点を終へ日曜日花えんじゅ

空青き子犬に追わる夏の蝶

緑陰や石碑に刻む草書体

片陰の奥に飛び込む胡蝶かな

七夕や御粥をうまく作りけり

延安の夜にまぎれて蝉鳴けり

蛾の音や『菜根譚』を読みかけて

宝塔山仲間と飲みし檸檬水

夏期講習の点呼の声の響きけり

夏期手当支給の後の無表情

黄金虫

2011年07月01日 19時47分13秒 | 俳句和歌
        
    
黄金虫つまめば六肢もて拒む  立岩利夫

    裏富士の月夜の空を黄金虫   飯田龍太

    朝の星黄金虫標本室は彼方に  金子兜太

    絵の売れて星美しや黄金虫   大木あまり

    黄金虫の羽根美しき孤独かな  細見綾子

寝釈迦

2011年06月20日 12時06分33秒 | 俳句和歌
舎利塔を三周するや蟻の列

芍薬の花に埋もれる寝釈迦かな

千代の井戸水煙立ちて竹落ち葉

三蔵の墓参りして白き蝶

緑立つ寝釈迦の寝息小さなり

ゲッキの花

2011年06月08日 07時32分38秒 | 心境写生
 快適な好天気。昼寝してから採点を済ませ、たいへん疲れた。

 晩御飯を済ませ、キャンパスをぶらぶらしたり、写真を撮ったりした。青空に雲、草に花。シャングリラアパートの畔にゲッキやバラの花が咲き誇っている。おばさん一人が花壇の手入れをしながら、近所の方と世間話をしている。息子さんのこと、孫さんのこと。それに草花の茂りぶり。

 撮影する僕を見てから、花の盛りを楽しみながら、「ほら、そちらのゲッキは見事に咲いてあるじゃん、そっちに撮って行かない。」と、ちょっと離れたところの16号アパートの下に咲いているゲッキを指してくれた。指したほうを見かけてみたら、百輪も咲いてあるかと思う。

 「そのゲッキを植える青年ね、三十歳過ぎたばかりの若さで逝ったんだ。その株の盛りはね、校内最高だ。」と、おばさんは呟いていた。

       

 誰某のために咲き誇るのだろう。
 

牡丹亭・羅袍【日訳】

2011年03月20日 10時39分23秒 | 俳句和歌
【羅袍】原來姹紫嫣紅開遍,似這般都付與斷井頽垣。良辰美景奈何天,便賞心樂事誰家院?朝飛暮卷,雲霞翠軒,雨絲風片,煙波畫船。錦屏人忒看的這韶光賤!

【好姐姐】遍青山啼紅了杜鵑,那荼蘼外煙絲醉軟,那牡丹雖好,他春歸怎占的先?閑凝眄兀生生燕語明如剪,聽嚦嚦鶯聲溜的圓。



艶やかな百花(はな)咲き誇る
壊れし井戸にたおれ垣
良き時の美しき光景(こと)
ただ空しく心浮き立つ楽しむは
誰が家のことならん
朝飛びて夕さかまくや
翠軒に霞む雲
雨の糸風そよぐ
煙る漣の画舫
深窓の人知るまいに
この春の韶光(こと)!

不如帰
つつじを紅く染めるんや
青野踏みけり
バラのかなたに
ゆらめく柳
過ぎ去る春の先駆けに
牡丹よけれどまだ早し
燕の子 囀りぞ響き良き 
鶯の  歌ぞ滑らか円き


俳句記念

2011年03月08日 13時42分26秒 | 時事雑感
薄氷も恋の悩みも解けにけり

雀の子遊び疲れて日暮れかな
 
長距離のバスの窓より野焼き見る



新春シリーズ御墓参編

2011年02月01日 21時43分18秒 | 俳句和歌
 
青煙ののぼる墓傍寒鴉


 注:祖母の御墓参り。餃子やお肉、パンなどを供えてから線香を焚いた。大きな土饅頭の右側の桃の木の枝に鴉がいた。

新春シリーズの竈神編

2011年01月26日 15時45分45秒 | 俳句和歌
竈神今年の飴も値上がりき


注:中国では、旧暦の十二月二十三日は竈神の天上がりを送る日である。旧風俗によって、竈のところに飴を供えなければならぬ(詳細はこちら)。でも、物価が暴騰する今、竈神を祭る家が少なくなる。今年が新年の季語でありながら、今回のこの一句が俳句だというよりも川柳の趣が溢れている。

新春の日の下

2011年01月24日 13時23分27秒 | 民風民俗
 
卯年がやってくるぞ!

 

 昨日、祖父と一緒に買い物に行った。

 実家の県の発達に恵まれて、近くにスーパーが開かれ、大きな市場もできた。人出がすごかった。旧正月がせまるので、飴、飲料、果物、ナットなどを売る露天商人はもちろん、新鮮な豚肉、鶏肉、卵などを売る田舎の担ぎ屋もある。にぎやかな正月雰囲気。

 気温がずっと零下10度ぐらいだが、快晴の好天気のおかげで、寒くない。
 
 様々な年賀絵が露天に敷かれてよく売れるようである。老皇暦や大黒などを売る商人もある。三元で竈の神、大黒と老皇暦を購入した。それに、祖母のお墓参用の線香、冥幣、焚き紙、爆竹などをも。
 
 明後日は竈の神を送る日、楽しみ!