あなたの夢は何ですか
何かの空想か想像で、
親戚の集まりに自分が出席していて、
どこかの子なんかに、８歳くらいかなんかの女の子に、
「あなたの夢はなんですか？」
っていう質問をされるところを空想して、
いや、空想したんだったか、それとも、
それら全体が寝ているときの夢だったのかは判然としないんだけど。
あれっと思った。
え、思いつかないんですけど。
まじで思いつかない。
僕は、夢がない大人になってしまったのか？
とかいって…。
悲しくもない。
自分が、落ちぶれて、どうしようもないオッサンになったとも思わない。
夢がないって…、悪いことなのかな。
夢…かぁ。
難しいよね。夢。
まじで思い浮かばないんだけども。困った。
売れっ子漫画家になりたい、とかはない。
魔法か何かで、売れっ子漫画家にしてあげます、と言われたら、
あ、それは結構ですって言う。絶対。
それよりも、歯をぜんぶ健康な歯にしてくださいってお願いする。
お金持ち…なのかな。
それも違うな。
毎日、外でお酒を飲めるだろうけど、
そういう生活をしたい訳でもない。
ていうか、それやったら確実に体壊して病気になる。
人は、お金を持つと、不健康になるんだよ。
高いものばかり食って舌が肥えるから、
食べるものがほとんどまずく感じるようになって地獄だ。
いろんなことが見えてきて、夢がない状態なんだよな。
人は、50歳も生きると、夢を持たなくなるのかも知れないね。
でも、それは悪いことじゃなくて、
若いころ持っていた「夢を持たないオジサン」というものへの
悪いイメージとは全然ちがうくて。
いうなれば、全部が「夢」になったとでも言おうか。
なんと説明していいかわからないが。
若いころは、ずっと上のほうにあった「夢」が、
いまは、降りてきて、頭上にふわっと下りてきて、
僕の生活ぜんたいを優しくつつんでいるイメージだろうか。
金持ちでもないし、売れっ子漫画家でもない。
無名の漫画アシスタントで、しかも漫画を描く技術はあるから、
自分の好きな漫画を好きに描いて、たくさんの人に読んでもらえる場所に
お金をかけずに発表できる。
そんな状態が、夢でなくてなんだろう。
お金がなくて、有名でもないから、
おごってくれとたかりにくる者もいないし、
道を歩いていて、じろじろ見られる心配もない。
夢、だね。
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