元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

ラーメンのアイデア

2007年05月23日 | ラーメン総合研究所
今まで、中華料理の乾物食材を殆ど使用せずにラーメンを
作ってきましたが、取り寄せれば面白そうな乾物がたくさん
あるので試さないのは勿体無いです。

今までの経験上、何十パターンの実験をしても、1つ2つ
役に立つかどうかですが、常に実験、研究をし続ける
習慣づけが後々役にたつと信じています。

いつも、頭で完璧なレシピ状態を考え抜いて、実験、創作を
始めますが、事前に考えたレシピで変更せず正式採用した
前例はありません。事前に計算上は完璧でも、作ってみたら
最悪な事もありますし、レシピは作りながら変更し、その時の
ノリで元々のアイデアから変化していくのがいつもの流れです。

アイデアが0の状態で、考えてアイデアを生み出さそうと
している時は、はたから見るとノイローゼ状態に見えると
思います。部屋に座り込んで雑念が一切ない100%ラーメ
ンの頭で「ブツ・ブツ」言いながら考えています。

でも、そうやって無いアイデアを無理に搾り出すより、
突如インスピレーションが浮かび、一気にアイデアが構築され
た時は興奮します。常にネタ帳としメモ帳を携帯して
いますが、頭に浮かんだ食材、製法、完成形を思いつく
まま殴り書きする瞬間は、作詞・作曲で自分が興奮する
作品が誕生している瞬間と同じような感動があります。
何を作りたいのか自分でも分からぬまま、頭が急速回転
しダダダダダダダ・・・・・っとアイデアが生まれてき
た時はインプロヴァイズのアイデアの流れのまま
試作してみます。

当店の様式美麺(創作麺)は、出来れば瞬間的ひらめきの
アイデアで作っていきたいのですが、そうそう閃きません。


なので、日頃から他店で食べたりしながら、少しづつ自分に
吸収しています。ラーメンに限らず、パスタでも、和食でも
何処にアイデアが転がっているか分かりません。

僕流ですが、CDや映画DVDなどもたくさん
鑑賞するようにしています。それらが好きなのは勿論ですが、
そいった物にもラーメン作りのアイデアはあります。
例えば、ダークネスのCDから個性的な香味油が思い浮か
び、ドリーム・シアターやメロウ・キャンドルから
ラーメン作りの方向性が見つかりました。

僕にとっては食べ歩いたラーメン屋、働いたラーメン屋、
ラーメン番組、ラーメン本よりも、ラーメンとは無縁な
映画や音楽の方がラーメンの先生でした。
その件に関しては連載中の「RAINBOW ROAD」
のカテゴリーで近日書いてみます。

ラーメンに関する本は、グルメ、エッセイ、経営、レシピ、
漫画、雑学など読みますが、あまりラーメン作りの役には立たない
投資です。ラーメンに関する知識の蓄えにより、幅は広がり
ますが、ただ本を読んだという満足で完了しているのが現状
です。

よく、「道楽ラーメン屋でしょ?」「趣味でラーメンやってる?」
とか軽く言われますが、趣味と実益を兼ねてやっている公私混同
のつもりはありません。正直、ラーメンを作るのは辛いし、苦し
いです。悩みや、不安も年がら年中ついて回ります。では、何故
ラーメンを進化させようとし、新作も考えているかと言うと、
現在の自分を乗り越え未来へと繋げたいからです。
好きでやっていますが、趣味や道楽と言われたら心外です。

僕に限らず、画家でも、バンドマンでも一緒ですが、真剣に本格
的にやっている人達は、利益と結びつかなくても趣味・娯楽とは
言われたくないはずです。画家もバンドマンも制作段階では誰
でも苦しいはずです。苦しんで、悩み、葛藤するからこそ、自分
の作品に自信も持てますし、作品に愛情も魂もこもります。

僕も自分のラーメンに最大の愛情を注ぎ、育てています。
自分のラーメンに対し客観視は難しく、僕が目指している物と
お客様が求めるものが一致する日がくるのか分かりません。

新作を作る時は、いつもボロボロになります。日常業務の時間
外に制作をはじめ、やりだしたら途中で止めきれない性格ゆえ
睡眠不足になりがちです。また、思い通りに行く事の方が
少なく、いつもラーメンに打ちのめされます。失敗、失敗と
続いても追求すべきか、アイデアを白紙にし、次のアイデア
に取り掛かるか常に決断に迫られます。

僕しかいないから、自分の選択には自信を持ち、全てに
責任を持ってラーメン作りに励んでいます。

話がずれっぱなしですいません。
食材からインスパイアを受ける事もあります。中華料理
で使用される「干しあわび」「乾燥ホタテ貝柱」「干し海老」
などは、生のままより、天日干しにより、何倍もの濃い出汁
が取れる食材へと変わります。

ただ、ラーメン作りの材料としては、かなり高価ゆえ、
どう使うかをじっくり考えないといけないです。

レシピを考えている段階なので、早ければ一ヵ月後には
「様式美麺」として販売できます。