元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

グリーストラップの水抜き(飲食屋の地味な作業)

2008年03月18日 | ラーメン総合研究所
全ての飲食業に「廃棄物処理法」で、グリーストラップ
設置が義務づけられています。

もちろん、店から出るゴミは全てゴミ収集業者と契約する
か、店側が直接ゴミ処理場に持って行かないといけません。
一般家庭ゴミで捨てると不当投棄とみなされ処罰されます。

そして、今回話したいのは下水です。

グリーストラップで油分等を取り除いた下水は流せますが、
油分は産業廃棄物とみなされます。もし、事業者の流した
油分のせいで下水道が詰まったり、汚れたり、害虫がわい
たりすれば、修復費用を全額負担しなければいけません。

また、罰則の対象にもなり、5年以下の懲役、1000万円
以下の罰金、また、産業廃棄物処理法、水質汚濁防止法、
食品衛生法などの法律に違反すると監督行政庁の立ち入り
や業務停止などの措置を受ける可能性もあります。

だから、日々のグリーストラップ清掃が必要です。

飲食業に携わる者として、絶対的な義務業務です。
店側でするか、清掃委託業者がするかしないと重い罪に
問われます。

①グリーストラップのゴミをキャッチする網は毎日捨てないと
いけません。

②グリーストラップの油分は週に2、3回はすくって捨てます。

この①②の業務を怠ると、店内に下水の悪臭がしたり、虫がわいたり、
グリーストラップが詰まり、厨房に逆流したりします。

そして、店の休日にしかできないのが「水抜き」です。

本来は、バキューム処理業者が委託し、グリーストラップの水を
全て抜き、タワシ等でグリーストラップの層を磨きます。
でも、僕はそんな経費はかけたくないので、年に1回自分でやっています。

小さな柄杓で下水を汲み上げ、ホーキの枝にタワシを結びつけ、バケツの水と
洗剤で磨きました。一人でこの作業をしていると、腰はいたくなるは、疲れる
は、汚れるは・・と、散々です。でも、自分でやればお金はかからないから
いいです。

ラーメンの元祖

2007年10月05日 | ラーメン総合研究所

以前、当ブログで「ラーメンは完全な日本食です」 と書きましたが
http://blog.goo.ne.jp/hideyuki5150/e/103b1188aa60a2d425e57b32b396d04a
(以前の記事参照)
ラーメンの原型を考案し、日本に普及させたのは紛れも無く中国人
です。

明治時代開国後、西洋人、中国人の多くは横浜から入国しました。
そして、中国人の横浜居留置として、南京町が栄えました。
中華料理人は、中華広東系の食堂や、中華家庭料理の屋台を
南京町移住の中国人用に開店しました。

魅惑の異国文化に触れたい日本人も南京町に集まるようになり、
中国の麺料理を食すようになりました。しかし、塩味の動物系スー
プは日本人に合いませんでした。まだ、肉食文化に馴染が薄かっ
た日本人は臭いと、初体験の味が分からず不評でした。

南京町の料理人たちは本格的な中華では日本人には受け付け
られないと自覚し、日本人好みにアレンジしたのが後の
「南京ソバ」へと成りました。


ラーメンの国際化

2007年10月05日 | ラーメン総合研究所
ここ10年で多くのラーメン屋が海外進出をし、
成果をあげています。

日本の有名店がハワイ、ニューヨークに出店しまくっ
ていますが、海外で1号店を開業するケースも珍しく
なくなってきました。日本人が世界に通用する味と
挑戦するケースや、日本滞在経験者の外国人が本国に
ラーメン文化を普及させるよう開業しようとしたり
様々です。

以前、日本人夫婦がドイツでラーメン屋を営むドキュ
メント番組をやっていましたが、食材の入手の困難さ
や、水が硬水など、日本では困らない問題がたくさん
あったようでした。また、お客さんの殆どが、ドイツ
や北欧系の人々なので、ラーメンという異文化料理が
受け入れられるまで長い期間がかかったようです。

アジアにもラーメン屋は多く進出していますが、日本
人の好むコクは、中国などでは「しつこい味」になり、
重層型な味わいは「うるさい味」になり、コシのある
麺は「固い麺」となります。だから、郷に従うと
日本人には受け入れられない味になってしまうよう
です。九州からも中国に何軒かラーメン屋が進出し
ていますが、異文化での営業は大変でしょうね。

地方一番店が東京進出する時代から、いまや成功店
は海外進出する時代のようですね。東京あたりの若きラー
メン職人のインタビューを読むと、フランチャイズ
チェーン展開や、海外進出や、多店舗展開など
野心家が多いです。

お隣り韓国は、冷麺が有名ですが、ラーメン文化は
ありません。韓国の食堂などにラーメンはメニューに
あるものの、どの店もインスタントラーメンを出す
らしいです。韓国にはスープからラーメンを作ると
いう食文化は根付いてないものの、国民1人あたり
のインスタントラーメン消費量は年間90食らしい。
韓国では、インスタントラーメンに、自家製キムチ、
コチュジャン、唐辛子を入れ、麺を食べ終えたら
ご飯を入れて食べるのが一般的らしいです。


ラーメン業界の窮地

2007年09月29日 | ラーメン総合研究所
今はラーメン業界も激化し、相当厳しい情勢に
なっています。

一種のブームなのか、脱サララーメン屋開業者が
後をたたず、ラーメン学校も乱立しました。
また、ラーメン専門のコンサルタントも大勢いて、
修行経験なし、ノウハウなしでも比較的簡単に
参入出来る業界となりました。

また、ラーメンチェーン店の大規模化や、異業種
企業のラーメン業界への参入などで、大企業経営
のラーメン屋も多くなりました。ラーメンで一発
当てたいって人で、特にラーメンで自己表現を
したいなんて思わない人はフランチャイズ・
チェーン店に加盟したりします。

しかし、流行っている人気ラーメン店というの
は極一部の店というのが現状です。大志を抱き
参入しても1年以内に半数近くの店は撤退しま
す。また、新規店は諦めも早く、不渡りや、
借金を抱えてまで存続させようとせず、3年
以内に廃業する店が80%です。

個人経営のラーメン屋が一番良かった時期は
1950年代~70年代だと思います。まだ、
ラーメン屋が個人経営店で成り立っていた業界
で新規参入も少なかっただけに、各店潤っていた
時期です。

外食産業も盛んでは無く、庶民が行く日常的な外食
は、大衆食堂、ラーメン屋、飲み屋しかなかった
時代だけに、個人店でも充分にやっていけていました。

しかし、1970年代に「セブンイレブン」「ケンタッ
キー・フライドチキン」「ミスタードーナツ」
「小僧寿しチェーン」「ほっかほっか亭」が短期間で
全国進出し、ファミリー・レストラン・チェーンの
「ロイヤルホスト」「すかいらーく」「デニーズ」など
が次々と多店舗展開をしだしました。

50年代、60年代に高度経済成長期に日本は豊かに
なった。経済的な豊かさの代償とし多くの物も失った。
でも、その話は今回は関係ないので省き、経済的な
豊かさと共に、食も多様化していきました。

そして、ラーメン屋は飽和状態を迎えてしまったのです。

年間500とも600種類とも言われるインスタントラー
メンの新作戦争が勃発し、価格競争ではラーメン屋は
インスタントラーメン・メーカーには絶対に勝てません。

手軽さ、低価格、おいしさで、インスタントラーメンは
勢力を伸ばしまくり、今は日本で年間24億食消費する
日常食となりました。

近年は、ご当地ラーメンブームの影響で、ラーメンテーマ
パークが全国に乱立し(佐賀県にも「ラーメン開花」とい
う施設が出来ました)、もっと手軽に家庭でご当地ラーメン
という事で、箱入り生めんご当地ラーメンも無数に出ました。
インスタントラーメンメーカーがご当地ラーメンブームを
見逃すはずがありません。有名ラーメン店監修でインスタント
を出すのが流行り、有名ラーメン店はこぞって参加しました。

ご当地ラーメン、ご当人ラーメンは1995年の爆発的な
ラーメンブームにより生まれたブームです。インターネットが
一気に普及した1995年にラーメン関連サイトが乱立し、
マスコミもこぞって煽り立てました。テレビ製作会社にとって
ラーメン食べ歩き系番組は、比較的低予算で作れて、ラーメン
屋も宣伝になるのでテレビ出演を歓迎し、ラーメン愛好者は多い
し、一般視聴者も知らないラーメン屋情報に興味があるので高
視聴率がとれるラーメン番組は今も頻繁にあります。

この95年からのラーメンブームで、ラーメン業界は一気に
加熱し、個性的な店舗展開、独創的なラーメンなどで、新規
参入者が数倍に膨れ上がりました。

テレビの影響で、癖のあるラーメン屋の店主は一気に人気を
高め、タレント並の人気を持つラーメン屋の店主まで現れました。

それが、ご当人ラーメン・ブームです。

インターネットを中心にラーメン屋店主の事を語られるケース
も多くなり、店主の修行先、店主の性格、店主の趣味など、
タレントのように語られるようになりました。

そして、ブログが一般的になった昨今は、ラーメン屋店主自ら
が日記や店の情報を発信するケースも増えました。ラーメン屋
と客との距離が縮まり、店のPRが手軽に出来、これからも
ラーメン屋ブロガーは増殖し続ける事でしょう。

僕のブログはラーメン屋の店主という要素が非常に低いし、
ご当人ラーメンのように特徴ある店主でも無いので、誰も話題
にもしてくれないとは思いますが、自由気ままにブログを
続けていきます。

何だか、話が変な方向に流れていって、今日の本題は何なの
自分でも見失ってしまいましたが、こんな風任せ的な
変なブログですが、これからもお願いします。

最後にラーメン業界に限った話では無く、社会問題に
なっている食品の高騰について書いてみます。

当店の取引業者はこぞって一斉に値上げをしました。

取引業者は、エタノール燃料の影響と口々に言って
いますが、便乗値上げ的なケースも多い気がします。

エタノール燃料の原材料としトウモロコシ、砂糖が
急騰し、今まで麦、大豆、米、野菜などを作っていた
生産者がこぞってトウモロコシ生産をした為に、野菜、
大豆なども高騰しました。

トウモロコシを飼料にしていた豚肉、豚骨、背脂、ラード
の値段も上がりました。

醤油、みりんも値上げされ、黒砂糖も高くなりました。
ゴマ油も相当高くなりました。

当店は野菜も沢山使いますが、高騰しました。

でも、全く納得いかない便乗値上げが、キクラゲが2倍の
価格になり、昆布が1.5倍値上げ、鰹節1.3倍値上げ、
割り箸2倍と、エタノール燃料と全く無縁な物まで業者は
値上げします。卸業者に詳しく聞いても
「いや、私ではわかりません。バイオ燃料がって生産者が
つり上げてますから・・。うちも泣く泣く値上げで・・」
とかです。
食材は、時期により値段の変動はあります。しかし、今回
の食材高騰は、今後値段が戻る見込みは低く、今の値上がり
価格が正規の価格になってしまう可能性が高いです。

ラーメン屋は食材が高騰したから即値上げなんて出来ません。
当店も非常に厳しい状況に追い込まれましたが、しばらくは
周囲の状況を見ながら判断したいです。

ニュースで飲食店に取材していたケースでは、料理の量を
減らし販売価格を継続する店や、食材の質を落とし販売価格を
継続する店や、値上げする店など様々でしたが、僕はいずれの
手段も取りたくないです。でも、ラーメン一杯450円では難しい
時代に突入したのは間違いないです。

所変われば品変わる(中華そば編)

2007年09月28日 | ラーメン総合研究所

ラーメンと、中華そばは、同意語という話を以前しましたが
http://blog.goo.ne.jp/hideyuki5150/e/3ba665b4187c38e0c386031f7bb83921
参照)「蕎麦」と言うと「中華そば」を意味する県があるので
その事について書いてみます。

日本は狭い国土でありながら、方言も、各地の文化、風習など
多彩です。47都道府県のおかしな習慣などを紹介する
バラエティ番組を見てみると、他県からは信じられないよう
な地域の常識が地方ごとにあり驚かされます。

ラーメンも地域ごとに全く違う食べ物と化していて、それが
ラーメンの魅力でもあります。

日本の殆どの地域で「蕎麦」というと、誰しも「日本蕎麦」を
連想しますが、岡山県は違います。「蕎麦」というと「中華そば」
の事をさします。

徳島県で「カツ」と言うと「トンカツ」では無く、魚のすり身のカレー
風味(唐津で言う魚ロッケ)の事を言うのと一緒です。

新潟で最もポピュラーな食べ物「イタリアン」が、新潟の人は
全国的の何処にでもある食べ物と思っているぐらいの、ローカル
常識です。

岡山県は、津山ラーメンで全国的にPRし、ご当地ラーメン
村興しに成功した県です。でも、ご当地ラーメンと言われる
以前から県内のラーメン消費量も多い県です。

だから、岡山県では年越し蕎麦にも中華そば(ラーメン)を
食べます。

ちなみに沖縄でも、「蕎麦」と言うと、シーナースーバー
(支那そば)や、ウチナン・ソバ(沖縄そば)をさします。


「豚骨」だから白濁スープになるのではないです

2007年09月19日 | ラーメン総合研究所
一般的に「白濁スープ」=「豚骨ラーメン」と
思われています。

まだ、九州では鶏がらのみで作った白濁スープ
鶏白湯(トリパイタン)系のラーメンは珍しい
ので、豚骨を煮たら白いスープに成ると誤解さ
れても仕方が無いです。

でも、材料が豚骨、鶏がらは関係なく、スープ
を炊き出す製法で違いが生じます。

僕が大好きだったラーメンスタジアムに出店し
ていた福島県の喜多方ラーメン「坂内食堂」
は、豚骨のみのスープで、あんなに綺麗に澄み
切った透明度が高いスープを作っています。

炊き出す方法の話の前に、ラーメンに詳しい人には
常識的な事ですが、豚骨はラーメンを作る上で
最重要食材です。醤油ラーメン、塩ラーメン、
味噌ラーメン何を作るにしても、豚骨は使われ
ます。近年は鶏がら100%、魚介だし100%
なんて店も出てきましたが、基本的には豚骨は
ラーメン全体の90%以上で使用されていると
言っても過言じゃないです。(本格中華料理の
店は除く)豚骨を使うから濃厚スープや、
豚骨を使うとスープが白濁するというのは
多くの人が思っている誤解です。

「天下一品」などは鶏がらが主原料ですが、
ポタージュのように濃厚なコッテリラーメンです。
「天下一品」の成功により鶏白湯系のラーメンが
普及しました。

要は、コッテリか、あっさりかは、材料の分量、
煮込み時間、そして今回のテーマである火力です。

弱火で沸騰させずコトコト煮込めば、白濁しません。

当店が醤油ラーメン専門店だった頃は、他店よりも
濃厚な醤油ラーメンを出す為に3日かけて36時間
ぐらい煮込み営業用スープを作っていました。豚骨
も山ほど使っていたのに白濁していませんでした。

要するに、豚骨を割り隋が水に溶け出しやすい
ようにし強烈な火力で煮込むと、コラーゲンが
ゼラチン化し水と結合し乳化します。要は強火で
煮れば白濁するのです。

同じ作用で、鶏がらも強火で長時間煮込めば
白濁します。しかし、鶏がらは短時間でダシが出る
反面、短時間でダシガラになってしまいます。だか
ら、豚骨の呼び戻しより頻繁に、ダシガラをすくい
捨て、新たな鶏がらを加えなければいけません。


オマケ
「豚骨醤油ラーメンと、豚骨ラーメン」
もちろんスープは豚骨主原料の白濁スープをさします。
じゃ、タレの違いか?と言えば、さして大差無いのが
現状です。豚骨ラーメンが塩ダレと言っていたのは
昔の話です。薄口醤油に酒と塩を入れ昆布でダシをとり
そのタレでチャーシュー肉を煮た物を「豚骨ラーメン」
の元ダレの主導になった頃から、豚骨ラーメンは
醤油豚骨ラーメンに成りました。
ただ、「醤油豚骨ラーメン」と商品名にしている店は、
濃口醤油を使っている店が多く、「豚骨ラーメン」と
商品名にしている店は薄口醤油、白醤油を使っている
店が多いです。

いずれにしても、今の時代、本当の塩ラーメン、
本当の豚骨ラーメンは少なくなり、いかなるラーメン
にも醤油が使われるようになっています。味噌ラーメ
ン、塩ラーメンが醤油を使わなかった時代は終わった
のかもしれません。だから、本当の意味での「塩ラー
メンは難しい」という通説は、今は無くなりつつあり
ます。「塩ラーメン」は、ダシ汁に、塩水や、酒に
塩を溶いただけの塩ダレと、塩とダシの味だけで旨み
を出すから難しかったのです。だから、以前までは
醤油は「塩ラーメン」に使ってはいけない調味料
でしたが、今は「でもそんなの関係ねぇ。オパピー
チンドンシャンテンドン」と多くの店で使っていま
す。

「中華そば」は「ラーメン」です

2007年09月19日 | ラーメン総合研究所
一般的に「ラーメン」と「中華そば」は違う食べ物と
思っている人が非常に多いです。しかも、頻繁に「ラーメン」
「中華そば」が違う食べ物と常識的に話されている
場面に出くわします。

例えば「ラーメンは好きだけど中華そばは嫌い」

とか、意味が分かりません。

「ミュージックは好きだけど音楽は嫌い」って
言っているようなものです。


当店が醤油ラーメン専門店だった頃は
「ここのラーメンは、ラーメンていうより中華そば
に近いね」

「????」

これは、
「この歌い方は、ジュリーと言うより、沢田研二に
近いね」と言ってるようなものです。

もはや、ラーメンの作り手側には理解が出来ないカテゴ
リー化で一般に浸透しています。

また、ラーメンフリークやラーメン屋ですら、誤解して
います。以前働いていたラーメン屋で専務との会話で
好きなラーメン屋の話になった時
「あの店はラーメンじゃないよ。中華そばだろ」
とか言われました。

また、「ラーメン」「中華そば」は一緒の事と理解してい
る人の中にも誤解している人が多いです。「醤油ラーメン
が別名中華そば」という誤解です。

ここまで読んで「何を言ってるんだ、れいんぼ~の店主は
気でも狂ったのか?ラーメンはラーメン。中華そばは中華
そば。違う食べ物じゃないか。常識はずれだな」と思った
人の常識をこれから覆していきます。

僕が考えた事でも、仮説でも、何でもなく「中華そば」は
「ラーメン」であるという真実を書くだけです。

元々「ラーメン」は「十銭そば」「南京そば」と呼ばれていました。
後に「支那そば」「中華そば」という呼び名が一般的に成り
戦後「ラーメン」という呼び名が一般化しました。

もちろん、地方、店によって味は様々ですが「ラーメン」
と「中華そば」を区別している訳ではありません。

ただ、昔ながらの醤油ベースのラーメンを作っている店が
商品名も懐かしいよう「中華そば」としている場合が多い
ので「中華そば」=昔ながらの醤油味中華麺と誤解している
人が多いにすぎません。

じゃ、「醤油ラーメン」が「中華そば」かというと、全く
違います。地方によっては味噌ラーメンを「中華そば」と
表記したり、塩ラーメンを「中華そば」と表記したりしてい
ます。有名なのは和歌山の醤油豚骨ラーメン、通称「井出系」
です。濃厚豚骨スープで、白濁しドロリとトロミがあります
が「中華そば」という商品名です。和歌山では「ラーメン」
という呼び名はメジャーではなく、殆どの醤油豚骨ラーメン
店で「中華そば」と明記されています。


新タイプラーメンブームは、僕のボツネタと偶然の一致

2007年09月09日 | ラーメン総合研究所
ギタリストの「寺内タケシ」がエッセイで、

「エレキギターを発明したのは俺だ。
ギターピックも俺が発明した。
エレキギターでクラシックを演奏した
のも俺が世界初だ。」

と、書いていて滑稽極まりなかったものの
(「寺内タケシ」が生まれる前からエレキギ
ターはあった。80年前には1号ギターが
開発され商品化する為に研究をされていま
した。)「寺内タケシ」自身は自分が元祖と信じ
て疑わないのでしょう。

まだエレキギターが一般化していなかった時
代に「寺内タケシ」は電話のコイルをアコース
ティックギターに取り付け弾いていたらしい。

ピックは三味線のバチからヒントを得てセルロ
イドの下敷きをくり貫き使っていたらしい。

クラシックをエレキギターで弾いたのも
「寺内タケシ」が元祖じゃないはずですが、他に
やっている人を知らずに「寺内タケシ」はやったの
でしょう。

要するに一般的に普及する以前から「寺内タケシ」
は独自のアイデアでエレキギターに関するあらゆる
事を開発していた事を主張しています。


今回は、僕も同じような事を主張しようとしているの
で「後からなら何とでも言える」「嘘つき」などと
言われそうですが、偶然の一致というのはありうる
事なのです。

ラーメン界は、ここ数年「黒マー油」ブームで、新店、
チェーンのみならず、老舗ラーメン屋まで黒マー油を
導入している店が急増しました。

そして、新たなブームが「魚粉系ラーメン」です。

多分、日本中で何処も魚粉系ラーメンを出していなかっ
たであろう(推測ですが)7年前に僕は魚粉ラーメンを
作りました。しかも、1度試しボツにしたアイデアでし
た。

当時から魚介風味と動物系スープの融合を考えていました。
「青葉」や「麺屋武蔵」の影響で「Wスープ」という
製法も一般的になっていた頃です。

ダブルスープは魚介スープの扱いが難しいです。魚介スー
プは劣化が早いので、ずっと保温し続けたら、すぐに酸化
してしまいます。だから、多くの店では、魚介スープを
冷やし、注文の度に小鍋で温めるという手間がいります。

当店の開業時は、動物スープと魚介スープを1つの鍋に
合わせて営業用スープとしていましたが、夕方時には味が
すっかり変わっていました。後にその解決策を見つけま
したが、それはまた今度書きます。

別々に取ったスープを1つの鍋に合わせる製法まで行き着
くまでに、色々と考えました。その中に「魚粉」製法があり
ました。

昔、フードプロセッサーのCMで「煮干もそのまま粉末
にしてダシをとれます。ダシガラも出ず、カリシウムを
多く含んだ味噌汁が出来ます」といったCMからヒント
を得て、ラーメンに魚粉を入れる製法を思いつきました。

早速、鰯の煮干し、昆布、鰹節を粉末化し、鶏がらだけ
でとった清湯スープのラーメンに溶いてみました。

正直言って失敗作でした。魚介の風味がプンプンですが、
風味が強烈すぎて、雑味もたっぷりでした。そして何よ
り、ザラザラの舌触りが悪かったです。魚粉の量を減ら
しても、何か嫌な風味で、魚介でダシをとったような効
果は得られずボツにした製法でした。

そして、動物系のみのスープを、ラーメン調理時に小鍋に
とり、花鰹を入れ、沸騰したら火を止め、アミで漉しなが
ら丼に注ぐ製法を思いつきましたが、結局、その製法は
未だに店ではやっていません。

また、自家製ダシパック(ティーバック・サイズ)を
丼に注いだスープ内で上下させるアイデアも試作してみる
と中々良かったので、いつか期間限定メニューとかで出し
てみたいです。

魚粉ラーメンに話を戻しますが、数年ボツにしていました
が、時は流れ僕が「様式美麺れいんぼ~」を開業し1年ぐ
らい経った頃「野性味溢れるラーメンが作りたい。動物ス
ープと喧嘩するような、動物連合軍VS魚介連合軍の
大決戦みたいなラーメンを作れないか?」と思い作ったのが
期間限定ラーメン「セルバッジョ・ラーメン」です。
魚粉をふんだんに使用しました。雑味が多い、舌触りが
悪い、風味がキツイなどの欠点もありましたが、当時は
「濃厚魚介ダシでは動物系スープのコクと対等にはなれ
ない」と思っていたので、全体のバランスよりも、魚介と
動物系が「俺」「俺」「俺」と、それぞれ主張しまくって
いるラーメンにユニークさを感じていました。

でも、あれは数ヶ月の期間限定メニューで「こんなラーメン
表現もありますよ」的なモノでしたが、まさかラーメン界
のスタンダードスタイルに成る程に魚粉がブームになるな
んて、あの当時は考えていませんでした。

僕は魚粉の欠点を多く知っているだけに、あんまり魚粉
ラーメンに魅力を感じませんが、ラーメンフリークにとっ
ては、新たなラーメンスタイルに興味深々なのでしょう。

自己満足の為に「ラーメン」を作っていません

2007年09月04日 | ラーメン総合研究所
あるラーメンフリークの常連のお客様と話を
しましたが、僕のブログで誤解を与えてしまっ
たようなおで、その事について書きます。

同様の誤解を受けているお客様
もいらっしゃると思い、今回は僕の本心を洗い
ざらい書いてみたいと思います。

そのラーメンフリークの常連のお客様には、
ブログにてきちんとした釈明文を書く際に、お
客様の言葉を引用させて頂く了承を頂いており
ます。

僕のいつの文面からの誤解なのかは不確かですが
お客様が「あなたは自己満足の味の追求だけで
お客の事なんてどうでもいいんでしょ。店は
道楽の道具でしょ」と言われました。

正直言ってショックです。そんな風に思われて
いたという事に驚きと共に、誤解を与えた自分
の言動に反省いたしました。

確かに僕はお客様の意見やアドバイスは参考程
度で、お客様の意見を導入する事は極わずかです。

でも、それが悪いとは全然思っていません。お店
を運営する上で、それは大切だとすら思っています。

1人1人のお客様には常々感謝していますが、お客
様の意見を店の運営に取り入れていたら滅茶苦茶に
なります。例えば、僕がいい意見と思わなくても
ニーズに答えようと意見を導入し上手くいかなかっ
た場合は「あのお客様のせいで失敗した」と言い訳
をし、人を恨まないといけません。

お客様は思いつきの気軽なアドバイスでも、店の
運営者としては営業生命を左右する事態になりかね
ません。

だから、僕は自分の納得できる営業方式で営業し、
失敗しても全て自分の判断上起こった事と、何の
言い訳も出来ない状態で日々営業したいだけです。

店主が満足出来る形で営業している事を自己満足の
商売と受け取られたら、そうかもしれません。でも、
風見鶏のように、あっち向いたり、こっち向いたり
して営業不振になれば、悔やんでも悔やみきれませ
ん。

例えば味についても、好みは人それぞれです。
濃い味、薄味、こってり、あっさり、香り立つスープ、
無臭スープ、後味スッキリ、余韻を楽しめる味、
麺の固さ、麺の太さ、具材の種類など、千差万別の
好みで八方美人の味付けは不可能です。万人ウケを
目指していたら、結局は特徴も、個性も削ぎ落とし
た、平凡、単調で面白みの無いラーメンしか作れま
せん。

自分が一生懸命にもがき、苦しんで、現時点で作れる
最良の物を出している自信があるからこそ、安易な
意見に心揺れる事はありません。

こう書いてしまうと「釈迦に説法」と、僕がお客様の
事を書いているかのような新たな誤解を与えかねませ
んが、そうではありません。

お客様には、店の運営、調理方法などには気を使わず
に、ただ僕の作ったラーメンを食べて頂きたいだけ
です。

僕がラーメンを作る上で一番考えている事はお客様で
す。僕の満足感はお客様の反応から生まれる物です。
「おいしい」と思って頂けて、初めて「ラーメン」
「様式美麺れいんぼ~」「僕自身」の存在価値が
生まれます。

現時点で「正しい」と思っている事が、半年後、
1年後も「正しい」と思っているかは分かりません。
でも、今は「やるべきことをやり続けている」だけ
です。

当店のイメージについても書きます。

当店を「味を変え続け、新作を出し続ける店」と思っ
ている人が多いと思います。でも、僕は「味を
変えないかん」「新作をつくらないかん」なんて
プレッシャーは全然ありません。

当店は、もっとピュアなスタイルです。
「こうやった方が、もっと美味しくなる」
「新作のアイデアが浮かんだ」と、思った時に
味の改良や、新作の開発をしているだけです。

変える必要が無い時に変えたり、変える事で
味が劣化するような事はしません。

僕は「味を変化させ続けている」のではありま
せん。味を磨き上げているつもりです。でも、
正直言って、この言葉には何の説得力もありま
せん。この3年間で何度と無く「もうこのスー
プの味はいいや。やーめた」と、白紙に戻し
1から構築し直した事もあります。元ダレや
香味油、具に関しても、ギョーザ、チャーハン
も同様にやってきました。でも、1つだけ曲げ
ていない事があります。作り手としての基本
姿勢です。「今、当店に来て頂いているお客様
に納得していただける方向性」です。

当店が「しょっちゅう味が違う店」というイ
メージだと、お客様は安心して来店して頂け
ません。開店から2年ぐらいは大きな改正を
し過ぎた感もあり僕も反省すべきですが、今の
当店は、意味のある味の改良(向上性を高める
調整)をしています。常に課題は山積みですが
何とか1つ1つの課題をこなしています。恐ら
く研究は一生続くと思いますが、常に「今」が
一番の状態で提供し続けていきたいです。

僕にとって作曲と、絵を描く事と、ラーメンを
作る事は同じスタンスです。作曲、絵を描くの
は仕事でも何でもない趣味だから、ラーメンを
作る事と並べたら冒頭の「自己満足のラーメン」
という意見を認めたと思われるかもしれませ
ん。意味合いはだいぶ違うけど、無理をしない
ナチュラスな表現という意味では類似していま
す。作曲も絵を描く事も、心の趣くままなフリ
ースタイルです。理論がどうこう、テクニック的
にはどうこうなんて関係ありません。気まぐれな
風任せ的な物です。ラーメン作りも、無理をして
考えるのでは無く、一度感性の大海に出たら
後は感性の趣くままに流されます。何百万、何千
万通りのラーメンの作り方から、今の自分に合っ
た製法、味へと到達する感じです。でも、作曲、
絵と決定的に違う点は、僕のラーメンの向こう
にはお客様がいる事です。お客様が受け入れて
くださる味作りという芯さえ守っていたら、他
は僕流に任せて頂いています。



ついでに、味を一切変えない店について書いてみ
ます。味ムラが少なく、年間通してブレない味
作りの店が単純に毎日毎日一緒の作り方をしてい
ると誤解している人が多いけど、全く違います。

味がいつも変わらない店は、凄く高度な事をやっ
ている店です。大きく分けて、夏と冬は、煮込み
時間、塩分濃度、食材の分量、調味料の分量を
変えないといけません。夏も冬も同じ分量、製法
で同じ味には絶対になりません。

気温、湿度、天気の違いで製法はもちろん、保温、
保存などの方法も大きく変わります。僕ですら
毎日、1週間先の天気、湿度、気温をチェックして
います。だから、唐津市地区で「お天気チャンネル」
が打ち切りになり困っています。インターネットで
チェックする日々です。

夏と冬は食材質も大きく異なります。ラーメン業界
では夏場を「魔の季節」と言い「夏枯れ」(客が激減)
「電気代が数倍」(クーラー代で冬場の4,5倍)
そして一番の問題が「食材の質低下」です。
醤油ラーメンや塩ラーメンの店も当然ながら使う、豚骨
などは冬場とは比べ物になりません。夏場は豚の体力が
落ちる為、豚肉の皮下脂肪(脂身)は落ち、豚が水を
ガブ飲みする為、骨の旨みも弱いです。貧弱な豚骨で充
分な旨みを出すのは至難の業です。鶏も痩せています。

そんな条件下でも年中同じ味を提供できる店は、調理
技術、センスはもちろん、五味(酸、苦、甘、辛、鹹)
をバランス良く調整できる天才です。経験、技術力、
職人の勘も然ることながら、天性のラーメン魂を感じ
ます。



ここで終われば非難も受けずに、きちんと釈明した事に
なるかもしれませんが、立川談志のCDを毎日聴いている
せいか、最後に毒舌を吐いて終わります。

「今売れている物を真似しろ」なんて事を言う、ブーム
後追い店が僕は大嫌いです。

ある店を成功に導き、今もそこの責任者になっている
知人が「商売はブームに敏感になれ。アンテナを張り巡ら
せて最新のブーム、次来るブームをしっかり見逃さず、
ブームの波を乗りこなせ。ブームに乗り遅れて成功など
無い。」と、言っていました。彼は、実績もあり、経営
コンサルタント的な事もやっているようですが、僕から
すると「何言ってんだか。下らない」としか思いません
でした。参考程度に聞き入れる気にすらならない。

自分自身のポリシーも、プライドも、確固たる方向性も
無く、金銭的な損得勘定だけで刹那的な一過性ブーム
を追い続けるなんて馬鹿げています。利益一辺倒の
生き方の先に何があるんんだか・・・。

支那竹(シナチク)を竹の子と言うなかれ

2007年08月26日 | ラーメン総合研究所
日本ではラーメンの原型「中華ソバ」「南京ソバ」
「支那ソバ」「十銭ソバ」の時代から具の定番と
してシナチクを使用している店が多かったです。

シナチクは、台湾や中国福建省の家庭料理として
よく食べられていたものです。

原材料は「中国産竹の子」と紹介している場合が
多いけど、日本人が想像する竹の子とは異なりま
す。

日本の竹の子は、アク・エグミが少なく、軟ら
かい高級品は土からほんの少し芽が出た物を
収穫しています。

でも、中国竹の麻竹は、土から2メートルも
成長した物を240時間(10日間)煮て
軟らかくしたものです。

シナチクに詳しい人や、味付けメンマや、水煮
メンマじゃない、乾燥メンマ、塩漬けメンマを
使った事がある人はご存知でしょうが、使える
ようになるまで凄く時間がかかります。

塩漬けメンマの塩抜きで水につけるのは、水を
一日何度も代え、10日間かかります。

乾燥メンマも水で戻すのに10日間かかります。

でも、最近のラーメン屋は、ちょっと割高な、
水煮メンマが定番です。

ネーミングですがシナチクは、支那(中国)の
竹という事で日本の商社がつけました。

メンマも日本の商品名ですが、らー麺にのせる
麻竹という由来で「麺麻」(メンマ)と名づけ
られました。


「ラーメン」という名前のルーツ

2007年08月25日 | ラーメン総合研究所
「ラーメン」という名前のルーツ説は様々です。

多分、ラーメンフリークの殆どの人がが中国の麺料理
「拉麺」(ラーミェン)から名前を取ったと思っています。
確かに、ラーメンを漢字で書く際は「拉麺」と書き
ます。拉麺(ラーミェン)とは、手で伸ばしながら
麺を作っていく手延べ麺の事です。

漫画「キンニクマン」のラーメンマンも「拉麺男」
と書きます。ラーメン屋で、屋号やメニューに
「拉麺」と書いている店も多いです。

でも、今回はあえて違う説を紹介します。

老麺説です。中国では拉麺(ラーミェン)より
老麺(ラオミエン)の方がメジャーです。
老麺(ラオミエン)を日本人が聞き間違え、ラー
メンになった説があります。

また、日本で初めてラーメンを商品として販売し
た時の商品名が柳麺(リュウメン)です。作った
男の名前が柳(リュウ)と言います。その、
柳麺(リュウメン)が訛って、ラーメンになった
説もあります。

明治43年にオープンした日本最古のラーメン屋
「来々軒」は「支那ソバ」という商品名でしたが、
自然発生的な常連用語で「支那ソバ」が「ラーメン」
に変わりました。常連用語とは例えば
「ラーメン二郎」で「コブタノマシマシカラカラ油
マシニンニクチョ」とか言う、店と常連しか分から
ない言葉です。ハリガネ、粉落とし、バリカタ、
ズンダレなども同じです。
九州人にも分かりやすく言うと「元祖長浜屋」の
「ベタ生」「固い玉と肉」みたいなもんです。

最後のもう1つラーメンのネーミング由来を書きま
す。戦時中から戦後混乱期は「南京ソバ」「支那ソバ」
「中華ソバ」という名前が禁止され「ラーメン」とい
う名前が生まれた説があります。

ラーメンは完全な日本料理です。

2007年07月25日 | ラーメン総合研究所
麺料理の発祥は中国です。イタリアの「パスタ」も
アジアの各麺料理も全て中国に起源があります。

もちろん、日本の麺料理も起源は中国です。最も
古くは奈良時代に中国から伝わった「素麺(そうめん)」
です。鎌倉時代には中国から「うどん」が伝わりました。
ちなみに中国語で「ウォンドン」と言っていたのが
「ウンドン」に聞こえ、略され「うどん」になりました。

中国北部は米作に適さない地域で、小麦粉を使ったパン
風のタンピンが主食であり、小麦粉の利用法で色々工夫
された結果、麺へと発展して食されるようになりました。

中国北部の主食は麺で、日本の「うどん」そっくりです。
小麦粉、水、塩だけで作るという製法も同じです。しかし、
中国では麺料理でスープのこだわりは低いです。あくまで、
ボリュームある具こそが主役で、麺のコシも少ないです。

日本で「うどん」は魚介ダシ、コシのある麺で、完全な和食
へと変わり、「うどん」を中華料理だと言う人はいません。
(博多うどんは、コシ砕けと言い、麺にコシがありません)

でも、こと「ラーメン」と言うと「中華料理」と言う人が
多いです。日本の「ラーメン」のような麺料理は中国には
ありません。(日本が出店したラーメン屋チェーン店や、
日式ラーメンはありますが、中国の麺料理にラーメンと
似かよった物はありません)
現に中華料理人が来日した時ラーメンを食べ
「これは何て料理ですか?」と言った程です。

モンゴル生まれの相撲(広大な草原で相手の肩が地面に付くまで
戦う長時間戦です。倒れてもいいし、土俵もありません)が、
完全にルールを変え日本の国技になったのと一緒です。
ラーメンは中国がルーツで、日本におけるラーメンの元祖は
中国料理人が日本で作り出した物ですが、その後の発展で
ラーメンは完全な日本料理になりました。

中国北部の麺料理が、中国北部に伝わった時、天然炭酸水
(かんすい)を練りこんだらコシが強くなり、滑らかになり、
防腐効果がある事を発見しました。そのコシがある麺があって
こそのラーメンですが、日本で麺も様々アレンジされました。
また、スープやタレなどは日本で格段に進化し、ご当地色が
濃いのも日本のラーメンの特徴になりました。

味噌ラーメン、醤油ラーメン、豚骨ラーメンなどは完全に
日本生まれのラーメンです。中国でも白濁スープの、
白湯というのがありますが、あれはあくまで炒め物の調味料
の一種でしかありませんで、あのように1杯の麺料理の
スープなんて信じられないはずです。

かつて僕の友人でもあった中国人のヨウ君は反日派で、毎日のように
日本人、日本文化、日本政治、日本芸能界何でも日本批判
ばかりしていました。料理にしても「中国が1番、日本は
最低」というような事ばかり言っていました。そんなヨウ君
はトンコツラーメンを「食べ物とは思えない」とまで酷評し
ていました。彼の偏見を無くす為に僕のイチオシの店に
連れて行っても「日本は低い」と1口しか箸をつけません
でした。

要するに、中国人には理解出来ないほどにまで、ラーメンは
変化し、発展したのに、いまだにラーメンは中華料理と思わ
れているのが悲しいです。ラーメンは日本料理だと多くの
人に認知して頂き「うどん」「そうめん」同様に、日本の
食文化だと誇りに思って欲しいです。

まだラーメンは歴史としては浅いし、ラーメンの元祖は
「南京ソバ」「中華ソバ」「支那ソバ」などと言っていた
から仕方ないのかもしれません。

ラーメンは「お洒落か?」「下品か?」

2007年07月21日 | ラーメン総合研究所
一昔前までは、ラーメンとは、お洒落とは相反する
食べ物でした。

ボロい店で、油が店中にこびりつき、店内に漂う臭い
匂い、ズルズルと下品に食べ、店主は無愛想で恐い、
商品サンプルは汚く、店内にはボロボロのサイン色紙
や新聞記事なんてのが昔のラーメン屋のイメージです。

とても、女の子1人で立ち寄れる雰囲気じゃなかった
と思います。

多分、最初にラーメンがお洒落と言われるようになっ
たのは昭和46年です。当時、歩行者天国で「ファッ
ション・フード」というキャッチコピーで売り出され
た日清食品の「カップヌードル」です。昭和33年に
世界初のインスタントラーメンを日清食品が発売し
大ブームになり、次なる快進撃が世界初のカップラー
メン「カップヌードル」でした。

若者を中心にカップヌードルが大ブームになり、歩き
ながらプラスチックフォークでカップヌードルを食べ
る事が最もファッショナブルでした。

昭和40年代後半マクドナルドのハンバーガーを食べ
ながら歩いたり、ケンタッキーフライドチキンを食べ
ながら町を練り歩くのがブームになりました。(僕が
生まれる前なので知りませんが、文献によると)

昭和末期にはクレープを食べながら歩くのがお洒落で、
最近では焼き芋を食べながら歩くのがお洒落です。
(2年前ぐらい焼き芋ソムリエまで登場し、女性を
中心に高級焼き芋が流行りました)

大人からは「はしたない」「下品」と非難されまし
たが、いつの時代もジェネーションギャップはあり、
若者は大人が嫌がる事を好むものです。

僕だって、親からヘヴィメタルを散々非難され、
軽蔑されたからこそ、ヘヴィメタルにどんどんのめ
り込んで行きました。

話をラーメンに戻しますが、ラーメン屋というのは
相変わらずお洒落と逆行した飲食店であり、15年
前までは店側もそれでいいと思っていたはずです。

しかし、ラーメン界の94年組登場を前後したぐらい
からラーメンブームが起こり、様々な形態のラーメン
屋が出てきました。

特にアパレル出身や、フレンチ・イタリアンシェフ出身
などの異業種からの参入者が、ラーメンのイメージを
大きく変えました。

店内は清潔で、内装、外装、調度品、食器などにも
カフェやお洒落なバーをイメージしたような物を導入し、
BGMもジャズやオールデイズなどで品格を出した。
ユニフォームも洋食屋風だったり、和食風だったり、
高級店的なものから、ピシッと長袖のボタンシャツを
着たり、ファッショナブルなユニホームなど凝った店
が増えました。また、接客も、落ち着いたトーンで
笑顔で接するマニュアルを作り研修で練習したり
するようになりました。

肝心のラーメンも、各店が、オリジナリティーを
全面に打ち出すような独創的メニューが目立ち出し
ました。

そして、近年のラーメン界では、ヘルシーさを売り
にしたラーメンや、デザートや、サラダなど、女性客
を大幅に獲得しようとする動きがあります。

また、ラーメン界の革命児とも言える店主達は
タレント並みにテレビに出て「店に行けば店主に
会える」「店主が作るラーメンが食べたい」と
アイドルの追っかけ的なお客さんも増殖しているよ
うです。

そして、極めつけは高級ラーメンです。1杯1万円
以上もするラーメン屋も次々と出現し、懐石風だっ
たり、高級中華風だったり、大衆食やB級グルメと
は明らかに異なる、絢爛豪華なラーメンが珍しく
ない時代に成りつつあります。

ラーメンのコース料理という新スタイルも東京など
では人気があり、前菜からデザートまで全てラーメン
をベースにした物で作られているようです。

これから10年後、20年後はラーメンがどのよう
な食べ物になるか分かりませんが、もうすでにラーメン
業界は2極化の流れにあるので、この差は広がると
思います。

蕎麦屋は、高級懐石蕎麦で10万円前後とる店もあれば、
立ち食い蕎麦を250円で売っている所もある。と、そ
んな方向にラーメンも向かっているのかもしれません。

創作ラーメンの炎

2007年05月25日 | ラーメン総合研究所
「料理の鉄人」のように、調理寸前に
時間制限、材料指定され、きちんと最高の
料理を完成出来るのが本物の名人です。

フレンチ、イタリアン、和食、中華の
最高峰は瞬時に頭の中で調理工程や
完成形が浮かぶのでしょう。

ラーメン界のぶっつけ本番調理と
言うと「一条流がんこラーメン」です。
今でこそ限定ラーメンなど、新作創作
ラーメンを次々導入するスタイルの
ラーメン屋が氾濫していますが、
元祖は「一条流がんこラーメン」
です。

普通、創作ラーメンには、レシピ作り、
試作、改良などで時間をかけ限定メニュー
として発売します。「麺屋 武蔵」の系列
店では新作開発に3か月準備しています。

当店はレギュラーのラーメンのアレンジタイ
プが多いですが、それでも1か月はかかりま
す。

しかし「一条流がんこラーメン」は試作を
しません。今までの経験で蓄えた知識と
技術でぶっつけ本番です。新作を出す日に
ようやくアイデアを形にします。無駄な経費
を出さない為と、どうゆう味になるか予想
出来るから、試作をしないようです。

僕には「一条がんこラーメン」のように、自分を
信じて、安心してぶっつけ本番での商品作りなん
てできません。

まだ僕は、想像の調理と実際の調理では大差が
ありますし、頭の中で試食するほどまで
想像力豊かではありません。

試作、試食は大変な労力ですし、経費もかかり
ますが、自分が納得しないとお客様には出せな
いです。

僕の創作ラーメン「様式美麺」は一律500円
です。創作の限定ラーメンは、普通割高で
2000円~3000円の値段がついている
事も珍しくありません。高級厳選素材を高等
技術で作ったようなラーメンには数万円する
場合もあります。

値段の規制なく作れば、僕も試してみたい
素材や製法が山ほどありますが僕はしません。
あくまで、庶民的価格で、学生さんでも毎日
食べられる範囲に抑えています。そもそも、
当店で数千円や数万円のラーメンが売れる
はずもありません。だから、レギュラーラー
メンのアレンジ系が多いです。
時には利益が全く出ない「様式美麺」もあり
ますが、何とか500円で頑張って作ります。

当店は約3年前の開店時から創作限定ラーメ
ンを出していますが、その当時は、まだ少数
派で、地方で創作限定ラーメンは珍しかった
です。

毎日毎日、同じ作業を繰り返す仕事は、僕には
出来そうもありませんでしたし、変化がない
仕事には魅力を感じませんでした。開店時まで
でも数十種類のレシピを考えていましたし、
ラーメンは無限に進化すると思っていました。

また、1パターンの調理の型にはまてしまうと
技術の向上もしませんし、情熱も徐々に低下
してしまいます。

通常のラーメンも年に何回も進化させ、調理法
も材料も大幅に変えながら、限定メニューの
開発もしています。

普通はラーメンに使用しない食材や調味料を
知り、試す事で、ラーメン開発の引き出しが
どんどん増えていきます。ほとんどは即座に
は役に立たない事が多いけど、いずれ役に
たつかも知れないです。

近年はラーメンと他のジャンルの料理を融合
したのが一種の業界内ブームですが、僕は他の
料理と50:50や、他の料理スタイルに
傾いたラーメンは作らないように心がけて
います。あくまで、ラーメン屋だからラーメン
に、何かのエッセンスを加える程度にして
います。和食やフレンチを多少勉強しました
が、素人でしかないです。ラーメンと同様の
情熱を注いで熱心に勉強した訳じゃないので
軽く和食の手法を真似るぐらいしか出来ま
せん。

僕は創作メニューでも、通常メニューでも
「こんな事も出来るぜ」と技術自慢、腕自慢
に走らないようにしています。テクニックは
必要な時に使うものであり、さりげないもの
であるべきだと思います。テクニック至上
主義ほど愚かな調理人はいません。

僕が目指しているのは、自己表現であり、
○○系、○○派、○○流、○○風、○○類な
どのカテゴリー分類をされないラーメンです。

今はお客様から「ここは何ラーメン?」と
聞かれれば
「魚介系醤油豚骨ラーメン」と言っていますが
もっと自信を持てれば
「様式美麺れいんぼ~味」と言いたいです。


ラーメンのアイデア

2007年05月23日 | ラーメン総合研究所
今まで、中華料理の乾物食材を殆ど使用せずにラーメンを
作ってきましたが、取り寄せれば面白そうな乾物がたくさん
あるので試さないのは勿体無いです。

今までの経験上、何十パターンの実験をしても、1つ2つ
役に立つかどうかですが、常に実験、研究をし続ける
習慣づけが後々役にたつと信じています。

いつも、頭で完璧なレシピ状態を考え抜いて、実験、創作を
始めますが、事前に考えたレシピで変更せず正式採用した
前例はありません。事前に計算上は完璧でも、作ってみたら
最悪な事もありますし、レシピは作りながら変更し、その時の
ノリで元々のアイデアから変化していくのがいつもの流れです。

アイデアが0の状態で、考えてアイデアを生み出さそうと
している時は、はたから見るとノイローゼ状態に見えると
思います。部屋に座り込んで雑念が一切ない100%ラーメ
ンの頭で「ブツ・ブツ」言いながら考えています。

でも、そうやって無いアイデアを無理に搾り出すより、
突如インスピレーションが浮かび、一気にアイデアが構築され
た時は興奮します。常にネタ帳としメモ帳を携帯して
いますが、頭に浮かんだ食材、製法、完成形を思いつく
まま殴り書きする瞬間は、作詞・作曲で自分が興奮する
作品が誕生している瞬間と同じような感動があります。
何を作りたいのか自分でも分からぬまま、頭が急速回転
しダダダダダダダ・・・・・っとアイデアが生まれてき
た時はインプロヴァイズのアイデアの流れのまま
試作してみます。

当店の様式美麺(創作麺)は、出来れば瞬間的ひらめきの
アイデアで作っていきたいのですが、そうそう閃きません。


なので、日頃から他店で食べたりしながら、少しづつ自分に
吸収しています。ラーメンに限らず、パスタでも、和食でも
何処にアイデアが転がっているか分かりません。

僕流ですが、CDや映画DVDなどもたくさん
鑑賞するようにしています。それらが好きなのは勿論ですが、
そいった物にもラーメン作りのアイデアはあります。
例えば、ダークネスのCDから個性的な香味油が思い浮か
び、ドリーム・シアターやメロウ・キャンドルから
ラーメン作りの方向性が見つかりました。

僕にとっては食べ歩いたラーメン屋、働いたラーメン屋、
ラーメン番組、ラーメン本よりも、ラーメンとは無縁な
映画や音楽の方がラーメンの先生でした。
その件に関しては連載中の「RAINBOW ROAD」
のカテゴリーで近日書いてみます。

ラーメンに関する本は、グルメ、エッセイ、経営、レシピ、
漫画、雑学など読みますが、あまりラーメン作りの役には立たない
投資です。ラーメンに関する知識の蓄えにより、幅は広がり
ますが、ただ本を読んだという満足で完了しているのが現状
です。

よく、「道楽ラーメン屋でしょ?」「趣味でラーメンやってる?」
とか軽く言われますが、趣味と実益を兼ねてやっている公私混同
のつもりはありません。正直、ラーメンを作るのは辛いし、苦し
いです。悩みや、不安も年がら年中ついて回ります。では、何故
ラーメンを進化させようとし、新作も考えているかと言うと、
現在の自分を乗り越え未来へと繋げたいからです。
好きでやっていますが、趣味や道楽と言われたら心外です。

僕に限らず、画家でも、バンドマンでも一緒ですが、真剣に本格
的にやっている人達は、利益と結びつかなくても趣味・娯楽とは
言われたくないはずです。画家もバンドマンも制作段階では誰
でも苦しいはずです。苦しんで、悩み、葛藤するからこそ、自分
の作品に自信も持てますし、作品に愛情も魂もこもります。

僕も自分のラーメンに最大の愛情を注ぎ、育てています。
自分のラーメンに対し客観視は難しく、僕が目指している物と
お客様が求めるものが一致する日がくるのか分かりません。

新作を作る時は、いつもボロボロになります。日常業務の時間
外に制作をはじめ、やりだしたら途中で止めきれない性格ゆえ
睡眠不足になりがちです。また、思い通りに行く事の方が
少なく、いつもラーメンに打ちのめされます。失敗、失敗と
続いても追求すべきか、アイデアを白紙にし、次のアイデア
に取り掛かるか常に決断に迫られます。

僕しかいないから、自分の選択には自信を持ち、全てに
責任を持ってラーメン作りに励んでいます。

話がずれっぱなしですいません。
食材からインスパイアを受ける事もあります。中華料理
で使用される「干しあわび」「乾燥ホタテ貝柱」「干し海老」
などは、生のままより、天日干しにより、何倍もの濃い出汁
が取れる食材へと変わります。

ただ、ラーメン作りの材料としては、かなり高価ゆえ、
どう使うかをじっくり考えないといけないです。

レシピを考えている段階なので、早ければ一ヵ月後には
「様式美麺」として販売できます。