野菜に関する怪情報を探る

テレビや書籍、ホームページなどから、野菜に関する記載について疑問に感じたことを綴るつもりです。

ナスのルチン

2008-04-06 12:10:34 | Weblog
 以前、ナスの蔕のルチンがしもやけに効くか書きました。今回は、「**食べもの事典」の続きです。
 ナスについても紹介されていますが、特にルチンについて言及されていません。ところが、「有効成分」についてまとめたページに、ルチンを多く含む食材のひとつとしてナスが上げられています。
 ナスにルチンが多く含まれるという報告は見たことがありません。2006年に県立新潟女子大の立山らが、ナスのアントシアニンとクロロゲン酸を測定しています(日本食品科学工学会誌、53、218-224)。目的は抗酸化性の評価にあるので、もし、ナスに抗酸化成分であるルチンが含まれるのなら、測定しないまでも、論文の中で言及するはずですが、全く触れられていません。ナスのルチンも都市伝説でしょうか。
 論文を読んでいておもしろいことに気づきました。ナスの紫色はアントシアニン色素によるものですが、その成分名としてdelphinidine 3-O-rutinosideなどが上げられています。デルフィニジンというポリフェノールにルチノースという糖がくっついたものです。一方、ルチン(rutin)はケルセチン(ポリフェノールの一種です。)にルチノースがくっついたもの。delphinidine 3-O-rutinoside にも確かに「rutin」の文字は入っています。ルチノースという名前の糖が含まれるだけで、ケルセチン-3-ルチノシド(ルチン)そのものとはポリフェノール部分が異なるのですが、・・・。なぞなぞの世界ではないので、ナスにrutinが多く含まれるというのは「間違い」のはずです。 

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