大好き!藁科川

静岡市の西部を流れる清流・藁科川の自然・文化の魅力やイベント等の情報をお届けっ♪

今年の締めは頼朝石で決まり!

2010年12月31日 | 祠・石碑
一度探しに行ったのに見つからず、懸案となっていた頼朝石。
今年の締めにふさわしく、念願かなって遂にその場所を訪ねることができました!

ご案内いただいたのは、地元の友人とその親御さん。
このお父さんが、間伐の手伝いに山に入った時にありかを知り、祠&石碑好きの私にわざわざご連絡くださり、この大晦日のお忙しい中、お二人に連れて行って頂きました。
感謝・感謝です<(__)>

場所は、藁科川上流の諸子沢の奥地。

県道60号線を諸子沢方面に右折し、中村を過ぎてずっとそのまままっすぐ大道島方面に登りつめたところの砂防堰堤に車を止めた、まだその先。
堰堤前の川を左岸側に渡渉し、そのまま山道を7~8分ほど登ると、道の左側に、こんな山奥に田んぼの跡があること自体に驚く1、8段の水田跡が現れます。

頼朝石は、この水田跡の丁度中段ぐらいに位置し、石組みの一部として、ひっそりと残っていました。
木製の立て札はありますが、膝下ぐらいの古びたもので、案内していただかなければ、きっとわからなかったことでしょう。

言い伝えによると、平治の乱に敗れ、捕らわれの身となった頼朝公が、伊豆に流される途中に運試しに切りつけたとされる石だそうで、そう言われてみると確かに刀の跡のような傷が石に2~3条入っています。

失意の若き日の頼朝は、この刃跡に吉凶何を読み込んだのでしょうか?

「あの石の脇の沢沿いには、2~3の大きな石があって、その下にと武田信玄の埋めた財宝が眠っていると聞いたことがあるよ」

帰りがけに声をかけた諸子沢の方が、そんな話も聞かせてくれました。

頼朝と信玄。

山の奥深くに残る大きな伝承を地元の方に伺うことができ、今年の藁科川流域の探訪も最高のクライマックスとなりました。

大川の方言 こ之部

2010年12月30日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「こ」からはじまる言葉です。

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ごうがわく   腹が立つ 頭に来る いまいましい
        「ゆんびゃあ ごうがわいてごうがわいてねれねーだっきゃあや」
        (昨夜は腹が立って腹が立って眠れなかったよ)
こうしゃくな  生意気
こぎたない   非常に汚い
こく      言う 罵る言葉
こけた     倒れた 転んだ
こさえる    作る こしらえる
こじっかり   しっかりしているさま  「こじっかりしてくりょー」
                    (しっかりしてよ)
こじくらかす  こじらせる
ごせっぽい   清々した 安心した
こそくる    修繕する
ごた      冗談 出放題  「こたあ こくなよ」(冗談云うなよ)
ごたつく    ごたごたしたさま
こつい     細かい 小さい 「こりゃーこついな」(これは細かいな)
こっちい    こちらへ    「にいこうら こっちいこいやあ」
                (あなたたち、こちらに来なよ)
ごっつおー   ごちそう  「すごいごっつおーだなー」
              (大変な御馳走だね)
こっぱ     木の切れ端
ごとー     石のごろごろした所
こば      側 かたわら 縁
こびつく    こげつく
このーずらか  来ないだろうか「きんのうくるちゅうだっけが このーずらか」
            (昨日来ると云っていたんだけど、来ないのだろうか)
こます     壊す(くます とも云う)
こゆ      浴槽の湯の少ないさま
ころける    ころげる
これっさら   これごと これと一緒に  「これっさらもっていかっずよ」
                     (これごともって行こうよ)
これっぱか   これだけ  「これっぱかじゃしょうがあらすか」
              (これだけでは仕方がないよ)
ころかす    ころがす
こわい     固い 堅い 硬い 「こりゃーこわい飯だなー」
                 (これは固い飯だね)
こんごり    土のかたまり
こんじき    乞食
ごんのう    ガマ蛙
ごんぼう    ゴボウ
こんやしま   今日の夕方

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 け之部

2010年12月29日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「け」からはじまる言葉です。

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げじ    ごきぶり
けっかーる いる ある   「寝てけっかーるよ」(寝ているよ)
けっこう  すっかり よいよい
けーる   消える
けさっぱら 早朝
けっからかす 蹴ってちらかす
けっさらう 足を強く蹴り払う
けったくる 蹴飛ばす 蹴返す
けば    羽毛
けぶい   煙たい
けぶったい 煙たい  「やたらけぶったいなあ」(かなり煙たいねえ)
げんのう  金槌

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 く之部

2010年12月28日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「く」からはじまる言葉です。

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ぐうたら   怠け者
くぐし    竹ぐし
くさんぼこ  草むら
ぐしゃつく  ぬかるんでいるさま
くすぐ(くすがる) 刺す  「とげがくすがった」(とげが刺さった)
くすべる   くすねる ちょろまかす
くすびる   すすける くすむ
ぐずる    ねだる ぐずぐず言う
くちべろ   舌(したべろとも云う)
くっかあ   女房
くっつく   密通すること
くぼ     蜘蛛
くべる    火元へ薪などを入れ込むこと 燃やすの意
くぼったまり 窪地 水の溜まりやすい処
くまる    壊す ばらばらにする 
              「そんなにくましたっじゃあ あとが大変だぞ」
              (そんなに壊したのでは、後が大変だね)
くらあ    来るでしょう  「すぐくらあ」(直ぐに来るでしょう)
ぐりぐり   リンパ腺が腫れているところ 脂肪の固まり
くりょー   ください  「またきてくりょーやー」(又来て下さいよ)
ぐるんと   周り ぐるりと
くれすか   ①あげない やらない ②あげる やろうか(やらすかとも云う)
        「こりょーくれすか」(これあげようか)
        「こりゃーくれすか」(これはあげない)
くろ     端 隅  「くろーやあくな」(端っこ歩くな)
くろっちょ  縁 へり 隅
くめんよい  資産家 金満家
くわざー   食べよう

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

峯林道を上がる

2010年12月27日 | 地名の由来
藁科川上流の諸子沢は、天空の茶園と称せられるほど、空に近い山里です。

その諸子沢からは、地内の平ノ尾を経て更に高度を上げ、雨降松から藁科川の分水界を川根にのっこす南アルプス線に至る峯林道が通っています。

赤カブ栽培で有名な、雨降松というところまでは行ったことがあったのですが、その先はどうなっているんだろうという単純な動機から、更に林道を奥へ奥へとはいって行きました。

地元の友人からは、オフロードバイクで面白いコースと聞いていて、山の中のぐねぐね道を予想しておりましたが、意外や意外、ススキが茂るぽっかりとひらけた平原に出ました。昔の茅場のだったのでしょうか、周囲の山並みも見渡せ、星空もここだったらかなり美しく見られることでしょう。

もっと先にと車を走らせましたが、凍りついた車道や、木を切り出す作業現場でロープが張られているような場所にも出くわし、今日のところはここまでと、大間と湯ノ島の間に抜ける川久保林道を降りて帰りました。

また良いシーズンに奥にトライしてみたいです。


福養の滝は半分氷結

2010年12月26日 | 自然&生き物
もの好きにも、バリバリと凍った福養の滝を見てみたいものだと、年末に藁科川最上流の大間まで足を伸ばしてみました。
結果は、この時期では全体の3分の1といったところ。
けれども、近づいた滝は冷気に満ちて、水しぶきであがった飛沫が怪物の手のように凍りついていて、全体が氷結するという極寒気の自然の芸術が楽しみです。

大川の方言 き之部

2010年12月25日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「か」からはじまる言葉です。
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きーらい   大嫌い   「わっちゃー あのこきーらいさ」
              (私は、あの子が大嫌い)
きいない   黄色い
きしゃご   おはじき
きただっけ  来たけれど
きてみょう  来てみなさい
きばる    頑張る
きのっかあ  木の皮
きびっつら  面罵する様  「ばちがあたっただよ いいきびっつらさ」
              (罰があたったのさ、いい気味だよ)
きもいらせる やきもきさせる 「あんまり きもいらさせるなよ」
               (あんまりやきもきさせるなよ)
きもん    着物
きゃーろ   蛙
ぎょうさん  たくさん
きょうび   近頃 この頃(きょうらとも云う)
きょうら   近頃 この頃
きょろつく  きょろきょろして迷うさま
きりばん   まな板
きんのー   昨日     「きんのーきて あしたあはいかえるだっちょう」
              (昨日来て、明日はもう帰るそうだよ)

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 か之部

2010年12月24日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「か」からはじまる言葉です。

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かあぶり   蝶の一種の蛾で、夜燈火を求め家に飛び入る
かーながれ  川で流れて死ぬこと
かーばりつく くっついて離れないさま
がーばる   ごわごわしたさま
かいだるい  だるい つかれる  「かいだるいで ちょっくらいっぷくしざあや」
                 (疲れたから 少し休もうよ)
かいと    畑
かいろ    蛙
かこーくさい 衣類の焦げる匂い
がさっぽい  大きな割に軽いさま
かさんどう  かたつむり
かじくる   引っかく    「猫にかじくられてちまったよ」
               (猫に引っかかれてしまったよ)
がしゃがしゃ くつわむし
がしゃぶり  大降りの雨   「がしゃんぶりんなかあ とんできたっだよ」
               (大雨の中を走ってきたよ)
かしょー   貸してください
かたく(ん)ま 肩車
かたす    片づける
かたっきし  まるっきり   「かたっきし駄目だな」(まるっきり駄目だ)
かたる    仲間に入る   「かたらしてくりょー」(仲間に入れてよ)
かっくら(か)す 殴る    「あんまり頭にきたで かっくらかしてきたよ」
               (あまりに頭に来たから殴ってきたよ)
かっぽじる  ほじる ほじくる
かてる    加える 仲間に入れる
かなあのー  敵わない 「あいつにゃあ かなわのやあ」
            (彼にはかなわないなあ)
がなる    怒鳴る  「そんなにがなるなやー」
            (そんなに怒鳴るなよ)
がぶらどう  大ミミズ
かみざ    囲炉裏で主人が坐る座・・・上座
かめのこ   袖のない背負い半纏
かよい    かゆい
がらいか   うっかり
かーらかす  ひっくり返す 交代させる  「かーらしてみょう」
                     (ひっくり返してみてよ)
かわっさあ  裏返し  「かわっさあにきていらあや)
            (裏返しに着ているよ)
かんこーり  つらら
かんじくなる かじかむ 手足が凍える
かんじる   寒くなる
かんだい   目方  「その体じゃあ ええかん かんだいあるずらなあ」
           (その身体では、かなり体重があるんでしょうね)
かんなご   こおろぎ

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 お之部

2010年12月23日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「お」からはじまる言葉です。

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おいど     お尻
おえそうもない 終わりそうもない こわれそうもない
        「この分じゃあ ばんかたまでにゃあ おえそもないなあ」
        (この分では 夕方までにはおわりそうもないな)
おおっきに   ありがとう
おおなと    わざとした
おごっつおー  ごちそう
おかあ     お母さん
おさ      田地一枚のこと
おじゃみ    お手玉
おっしい    みそ汁  「今朝のおっしいはうまいっけなー」
             (今朝のみそ汁はおいしかったね)
おぞい     悪い 粗末な 出来が悪い
おだあくう   おだてにのる
おだあこく   ほらをふく
おだっくい   おだてに乗る人 調子の良い人
おだっこく   ほらをふく
おちゃにする  一休みする
おちゃらかす  からかう
おっかない   恐ろしい 恐い
おてんたら   おべっか おべんちゃら
おとう     お父さん
おとがい    下あご
おどける    驚く
おきっぱなし  放置する
おきり     炭火 薪炭の残り火
おきゃあがる  起き上がる
おっさん    和尚さん
おとましい   気の毒な かわいそうな 悲惨なこと(うとましいとも云う)
おどろ     竹の枝
おべーた    驚いた
おまえっち   おまえたち お前の家
おまえっちゃあ おもえたちは お前の家は
おまっち    お前(たち) 「おまっちゃあ どこへいくやあ」
               (あなたがたは どこへ行くの)
おみ(ら)   おまえ(たち)
おもる     友人に酒肴を振る舞う
おやいた    しくじった
おやす     ~を壊す 傷つける 悪口を言う しくじり失敗など
おらんだ    馬鈴薯
おりくずれる  急いで下りる
おんがめ    かまきり
おんぞくたい  おぞい 粗末だ
おんなしゅう  妻 女房
 
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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 え之部

2010年12月22日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「え」からはじまる言葉です。

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えらい   辛い
えらいこと 大変なこと  「えらいことーしたよ どうしっすか」
             (大変なことをしてしまった、どうしよう)
えーかん  たくさん かなり 「えーかんいいもんがあったずら」
               (たくさん良い物があったでしょう)
えーずらか いいでしょうか
えみり   ひび割れ
えれいえれい やれやれ
えんのき   家の裏の畑や山

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 う之部

2010年12月21日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「う」からはじまる言葉です。

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うーんと  非常に たくさん  「わらびが裏山で うーんtぽとれたっけよ」
                (ワラビが裏山でたくさん採れたんだよ)
うげ    川でウナギなどを捕るための、竹で編んだ捕獲器(篭)
うざましい ものすごい大勢  「大道芸にうざましく人がたかっていたよ」
               (大道芸にたくさんの人が集まっていたよ)
うしゃあがれ ついてこい
うすっぺら  薄いこと
うそっこき  うそつき   「うそっこきゃあ どろぼうの始まりだっちょう」
              (うそつきは泥棒の始まりだってさ)
うだく    抱く
うっちょーちる 落ちる   「そこのいしかけっからうちょーちただっちょう」
              (あそこの石垣から落ちだそうだよ)
うっちぬ(うっちんだ) 死んだ 「あそこんちのばんばあも うっちんだだっちょう」
                (あそこの家のばあさんも亡くなったそうだ)
うっちゃっておけ そのままにしておけ 知らぬ顔をしていること
うと(おと)ましい 残念な 気の毒な 可哀想な
          (お通夜の席で)「こんたびゃあ うとましいっけなあ」
                  (この度はお気の毒なことでしたね)
うなう    耕す   「そこんとこ うなっておけや」
            (その辺を耕しておけ)
うぬ(ら)  おまえ(ら)・・・相手を侮って言うことば
うます    蒸す ふかす
うむ     熟する 化膿する 「あのかきぁ だいぶ うんできたなあ」
                (あの柿は だいぶ 熟してきたな)
うむし    屋根の棟
うらあ    わたし(たち) おれ(たち)
うらっぽ   先 先端
うらあえー  私の家  「うらあえーよってくりょうやー」
            (私の家に寄って下さい)
うらがえー  私の家  「うらがえーは、こっからすぐっだよ」
            (私の家はここから直ぐ近くですよ)
うらんち   私の家
うらんほう  私の家
うわっかわ  外側 上側
うんと    沢山
うんぶう   おぶう 背負う 「二宮金次郎は薪をうんぶって勉強したっずら」
               (二宮金次郎は薪を背負ってべんきょうしたんでしょう)
うんぶさる  おんぶさる

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 い之部

2010年12月20日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「い」からはじまる言葉です。

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いいかん   かなり
いいかげん  適当に
いかん    大きい   「いかいさかなだっけなあ」(大きな魚だったなあ)
いかざあ   行こう
いかっすか  ①行こうか ②行かない
いかっずよ  行こうよ
いかっずに  行こうよ
いかまいか  行こうか
いきがっつら 行きながら 行く途中
いきりっぽい 蒸し暑い
いくかあ   行こう いってしまうのか(語尾が上がる)
いくっずら  行くんでしょ
いける    埋める
いしかけ   石垣
いしゃしぶり 久し振り
いぜくる   いじくる さわる 「あんまりいぜくるな」
                (あんまり さわるな)
いだい    田の取水施設
いたびっこ  板切れ
いたんどり  いたどり
いちら    そのときだけ
いっしょくたー 一緒にする  「いっしょくたーにあらってりょー」
               (一緒にして洗ってください)
いったかやー 行きましたか  「あんねーははいいったかやー」
               (姉さんはもう行きましたか)
いってみょう 行ってみなさい
いっつか   いない   「ここにゃあ いつっか」
             (ここにはいない)
いっつらー  行ったでしょう 「遠足で突先山へいっつらー」
               (遠足で突先山に行ったでしょう)
いってこすか 行って来ようか  「ひとっぱしりいってこすか」
                (一走り行って来ようか)
いっぱしる  立ち去る 帰る 「先生はいついっぱしるやあ」
               (先生はいつ帰ってしまうの)
いのーよ   いないよ  「あんにいはいのーよ」(兄はいないよ)
いと     間 暇   「そのいとに帰ってくるらよ」
             (その内に帰ってくるよ)
いのく    動く  「あの車あ、ちょっくらいのかしてくりょうやー」
           (あの車を少しだけ動かしてくれないか)
いらすか   いらない  「ほんなもん いらすかやあ」
             (そんなものは要らないよ)

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)

大川の方言 あ之部

2010年12月19日 | 方言・言い回し
藁科川上流・大川地区の方言を再録してみました。
「あ」からはじまる言葉です。

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『あ之部』

あーしょう   あのようにしよう  「あれーならってあーしょうやあ」
                  (あれに倣ってあのようにしようよ)
あーせ     衿もと
あーせる    合わせる
あーむけ    仰向け       「あーむいてみょうやあ」
                  (仰向いてみようよ)
あいさ     間のこと
あ、ほうかあ  ああ、そうですか
あぃ      鮎
あいく・あいぶ 歩く
あいきぞめる  歩き始める
あいつら    彼等 あの人たち
あいまこま   仕事の合間に
あいまち    怪我のこと・・・あやまち
あいらー    あいつら あの衆  「あいらーどこーいくずら」
                  (あの衆はどこへいくのかしら)
あおたげる   仰向く
あおどんぶち  水が深く青々とした淵
あかす     教える       「あかしてくりょやぁ」
                  (おしえてくれよ)
あがりっぱな  家の上り口
あくたれる   大声で怒る
あくと     踵(きびす)かかと 「あくとが痛いだあや」
                  (かかとが痛い)
あげらあや   与える くれる   「こりょーあげらあや」
                  (これをあげます)
あっけらかー  ありましたか    「そこへおいといたタバコあっけらかー」
                  (そこにおいといたタバコありましたか)
あさのいと   朝方 朝の間    「あさのいとにでかけちまったよ」
                  (朝方出掛けてしまったよ)
あさもと    朝方
あさっぱら   朝早く   「にいらあ こんなあさっぱらからどこーいくやー」
              (あななたちはこんな朝早くからどこへ行くの)
あしのひら   足の裏
あしらう    あやす       「赤ん坊をあしらうのがうまいなー」
                  (赤ちゃんをあやすのが上手だね)
あすこいら   あの辺り  「むかしゃあ、あすこいら川が流れていただっちょうよ」
              (昔は、あの辺りを川が流れていたらしいよ)
あすぶ     遊ぶ
あそこんち   あそこの家
あたける    暴れる
あたりぼう   すりこぎ
あたんな    さわるな 温まりな
あつべる    集める
あつらーさる  頼まれる
あっこ     あそこ
あっつらあ   (モノが)あったでしょう 「おいといた伝票あっつらあ」
                     (おいといた伝票あったでしょう)
あっつらかあ  (モノが)あったっけかなあ
あっつかあ   厚いこと 「あの店のとうふぁあ こんなにあつっかあなだよ」
             (あそこの店の豆腐は こんなに厚いよ)
あて      高いところ
あのほれ    あのそれ
あぶんない   危険だ あぶない 「まずあぶんないでやめといてくりょー」
                 (ともかく危険だから止めといてください)
あぶなっかしい あぶなそうだ
あぶれる    はずれる
あほう     大層に大きい
あまい     (味が)うすい
あま      天井の上
あまんだれ   雨だれ
あらすか    ない 見当たらない 「ほんなところにゃ あらすか」
                  (そんなところには ないよ)
あらっつか   ない 見当たらない
ありんどう   アリ・蟻   「ありんどうがさとうにたかっていらあや」
               (アリが砂糖に群がっているよ)
あるかやー   ありますか  「ここにゃあ せっけんはあるかやー」
               (こちらでは石鹸はありますか)
あれじゃーないっだか あれではないだろうか
              「にいがいってたあ あれじゃーないっだか」
              (あなたが云っていたのは、あれではないですか)
あれっきし   あれ限り あれだけ
              「こっちにゃあ あれっきし このうなあ」
              (こちらにはあの時以来来ていない)
あれっぱか   あの位 あれだけ 「あれっぱっかじゃあ たりないさあ」
                 (あの位では足りないよ)
あわい     子どもの背負い絆纏(ばんてん)
あんにい    兄     「ちょっくらあんにいに聞いてくりょ」
              (ちょっと兄さんにきいてくれよ)
あんねえ    姉     「あんねえはどこへいっぱしったやあ」
              (姉さんはどこへ行っているの)
あんばざあ   遊ぼう  「かわーいってあんばざあ」(川に行って遊ぼう)
あんびいいく  遊びに行く
あんびいきたよ 遊びに来た 「おーい あんびいきたよ」(おーい遊びに来たよ)
あんぼう    遊ぼう
あんもう    餅 あんこの入った餅
あんとき    あの時
あんとこ    あそこ
あんまし    余り
あんにゃもんにゃ あやふやな者

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「ふるさと大川の方言」(大川クラブ創立80周年記念事業実行委員会.平成17年)
 

ころころーん・ころころーん

2010年12月18日 | 地名の由来
先日、地元の友人と飲みながら話をしていたら、どういう経緯か火葬場の話になりました。

今は市街地に移りましたが、まだ友人達が小学校の頃は、藁科川上流の日向と栃沢という集落の間にある日向林道を降りていって橋を渡る手前の右手のところに火葬場があったそうです。
そこで荼毘にふされたお骨は、会葬者が列となって日向にある陽明寺まで送り届けられていたとのこと。その後は参列者にお礼が振舞われ「それは楽しみだった」とは幼い頃の友人たちの思い出話でした。

藁科川と支流の能又川がちょうど合流する地点なので、地元の人はその辺り一帯のことを“よきまた”と呼んでいるようですが、今は茶畑になっているその周辺には「松ノ平」や「石樽(いしだる)」といった字名が残っています。この地には、1469~1486年の文明年間の頃に、日向・諸子沢・湯ノ島・崩野・楢尾・八草・道光・藁山の八か村の氏神さんを一緒に祀っていた藁科八社というお社があったとのこと。歴史にお詳しい地元の小学校の校長先生にうかがったところ橋の名前につけられた“丸山”は、かつての古墳の所在地に多くつけられるているネーミングだそうで、「火葬場」「お社」「古墳」と歴史的に見てこの大川地区・北部の大事な来歴を物語っているように思えます。

交通の難所にもなっていたこの「石樽」という地名の由来にはこんな言伝えが残っています。
白キツネが渡来系の神社の由来を物語っているようです。

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『地名 石樽について』

 静岡市を中心にして、藁科川があり、川に沿って昔から山新田、羽鳥、大原株田、富沢、八幡というがあって、静岡市から大川村迄は、昔は七里という道のりでした。大川村から静岡市に着くと晩の六時過ぎにもなる大変な長い道のり、随分苦労を重ねて静岡市に行く時のこと。大川に入って坂ノ上、日向の坂をのぼって諸子沢と湯ノ島の別れ道とありなり、左にそって二町入っていった所が「石樽」という地名のところです。この地名について詳しく調べてみたいと思います。

 昔は藁科道路を通じて一番悪いところともなっていた。高さ百二十間、幅五十間ともあるところ、山道の巾は一尺くらいの道。歩いて夜通ると、誰しもが不思議なことがある。それは山の高いところから“ころころーん・ころころーん”という様な音を立てては、小石がたくさんに落ちてくる。夜になると石樽を通るには、誰しもが寂しいと、うわさが流れていたという。夜になると明かりをつけて、つまり提灯をぶらさげては通っていた時のことで、高い山の方から、ころころーん・ころころーんという様な音を立てては小石が落ちてくる。なんとおかしい変な音。誰しもが不思議に思って通っていた。その音はいかにも小さい。樽でも転がすかの様に思われる音にしか聞こえません。

 ある時、大きい嵐が起こり、大きい水が出て、村の人が川に巻き込まれて水死体となり、村の人たちが大そう心配して探しもとめて、ある晩に死体をかついでくると、一匹の大きい白いキツネが後を追ってついてきて、この寂しい石樽にて消え去ったとの噂が流れました。これまでの高いところから小石の音を立ててころころーん・ころころーんという様な音は、樽でも転がすようにも思われる音。みんなこの白キツネの仕業と村人は思うようになり、キツネのいたずらもバレて、この石樽を通る人々も、それからは安心が出来て、怖かったことも忘れてしまった、とのことです。時のことは安政元(1854)年の少し前のことだそうです。 おわり
湯ノ島 佐藤竜作

「ふる里わら科八社第二集」(大川寿大学講座受講生一同.静岡市立中央公民館大川分館.昭和55年)

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湯ノ島温泉休館のお知らせ

2010年12月17日 | お知らせ
藁科川上流・大川地区の癒し処「湯ノ島温泉」が、修繕工事のため、この年末年始がお休みになります。今年の垢を温泉で流したい方は、20日(月)までお急ぎを。プチリニューアル後の温泉も楽しみですよね。

■湯ノ島温泉休館日 平成22年12月21日(火)~平成23年1月2日(日)

湯ノ島温泉に入ったら、少し周囲を散歩してみては如何でしょうか?温泉がある上湯ノ島の高台に、きっと飯綱神社の鳥居を見つけることでしょう。このお社にはこんな言伝えが残されています。

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『湯島飯綱神社』

昔、大飢饉があって作物が実らず、餓死する者がよくあった。ある時、村人たちは相談して産土神の社地に集合して祈念を凝らした。すると、その後は作物が豊熟して飢饉を免れたので、これは神徳であると敬い、三年の後、宮殿を造営し、年々祭祀を怠らなかった。その後、故あって一時は日向の字松の平に合祀したが、天文年間(一五三二~五五)に再び今の地に移して祀った。

(美和村誌/「駿河の伝説」小山枯柴編著・宮本勉校訂、羽衣出版、平成6年)

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