大好き!藁科川

静岡市の西部を流れる清流・藁科川の自然・文化の魅力やイベント等の情報をお届けっ♪

『安倍川 ーその風土と文化ー 』

2012年10月20日 | 図書文献
また素晴らしい本を見つけてしまいました。

『安倍川 -その風土と文化ー 』(富山昭・中村羊一郎共著.静岡新聞社.昭和55年)です。

安倍川・藁科川流域の文化が、テーマごとにまとめられていて、いろいろな角度から安倍川の風土の豊かさが洗いだされています。

特に、地元の方へのインタビューが掲載されていて、説得力があります。

今から30年前の著作になりますが、その間もいろいろと流域の文化が変化していることが感じとれる貴重な書物です。

『大川の屋号と屋印』

2011年03月15日 | 図書文献
地元の方とお話をしていて、「スケダイ」「ゴンシチ」「ロクザ」など、古めかしい名前のようなものが出て来て「???」と首をかしげることがありました。

「屋号」です。

藁科川上流・大川地区では、今でも普通の日常会話に、それも比較的若い世代でも、家や場所を言い現わす時に屋号が使われています。集落に同じ名字の方が多く、住所表記もない昔のこと、屋号で呼んだ方が、名前も場所も、場合によってはその家の格式やルーツなども瞬時に伝わり便利なものだったのでしょう。

その屋号が一冊にまとまった本を藁科図書館に見つけて、びっくりしました。
こんなご時世で、個人情報がまるだしの部分がありますが、地域の歴史を知る上でとても貴重な資料です。この本を読んでいると、自分のルーツも知りたくなります。

あれ~なんで藁科でてないの?

2010年11月28日 | 図書文献
なんて…(^^;)ゞ

今月の「ソトコト」という雑誌では、移住特集。日本全国の素敵な移住場所が紹介されていて、我らが藁科川流域も、掲載されても良いのになぁ、だなんて勝手に自画自賛。

いろんな経緯の人が、いろんな場所に移住して、地域を元気にしている様子が伺えて、読んでいてわくわくする内容です。

という感想を今日は東京・高尾にあるわくわくビレッジという施設からつぶやいています。二月に開催する森づくりに関する全国ミーティングの下見に来ています。

高尾も、この施設もとても素敵ですね。またまた良いところを発見してしまいました。

『聖一国師』

2010年11月01日 | 図書文献
静岡市では、11月1日を「お茶の日」と定めていますが、今回ご紹介する作品は、この静岡の地にお茶をもたらしたと言われる藁科川上流・栃沢出身の聖一国師の生涯をたどった絵本です。

作成したのは、2002年を中心に開催された聖一国師生誕八百年記念事業を実施した実行委員会が呼びかけ人となり、地元大川小学校の子ども達が飯作俊岩さんの版画指導のもと絵を作成して、その絵にお母さん達が書いた文がそえられて完成した、まさに手作りの絵本です。

発行にあたっては、事前に地域の方々自らが聖一国師の足跡を辿る入念な歴史考証が行われ、絵本発行を記念して朗読会も行われたとのことで、記念事業に花をそえました。

地域の皆さんが、この歴史的偉人をとても大切にしている真心が伝わってくるとても温かな作品です。

『南藁科とその周辺』

2010年10月09日 | 図書文献
この書物は不思議な本です。

最初から読むと、創作民話の本なのかなと思います。
途中から広げると、詳しく調べ上げられた歴史の専門書かなと思います。
最後の方を見れば、地域の言い伝えなどが丹念に掘り起こされた民俗誌です。

この本には、豊かなイマジネーションと歴史の真実に迫ろうとする粘り強い実証精神と地域誌を記録していこうとするフォークロアの気持ちにあふれています。

だから、みずみずしく、時代に色あせず、どこから読んでも面白い。

こんな素敵な本をまとめた小野田護氏のお心には、一匹の好奇心いっぱいで、時にいたずら好きなゴロザエモンという狐がぴんぴんと飛び回っているのを私は感じます。

ゴロザエモンに誘われると、野原を走り回って、また地域のことが知りたくなります。

このいざないを、巻頭で戸塚孝一郎氏はこのように表現されています。

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「南藁科とその周辺」に寄せて 戸塚孝一郎

(前略)
南藁科の地の石一つにしても、この地の生成を知ることができますし、山城の土を見ても昔の姿が偲ばれますし、地名や沢の名から人と動物との楽しいかかわりあいが、想像されるのです。
この書は、この地に生を得て暮らした人々への感謝のしるしですし、忘れられた郷愁への道しるべでもあるのです。
(中略)
この書には、その幸運がいたるところにかくされているのです。目を開き耳をすまし、探してみようではありませんか。

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『南藁科とその周辺』(小野田護編集・発行.昭和52年)




『歴史から見た川づくり』

2010年09月13日 | 図書文献
当時の建設省(現・国土交通省)の静岡河川工事事務所が連続して地域の識者を招き開催していた「静岡河川セミナー」の講演録を収めた一冊。

講演者の黒澤脩(くろさわおさむ)さんは、ご存知のように藁科図書館館長や静岡市社会教育課主幹等を歴任され、静岡の歴史を語る第一人者として、現在も活発にご活躍されていらっしゃいます。私も何度かその講演を拝聴させていただきましたが、その都度、新たな視点や情熱に引き込まれ、黒澤さんのお話しを聞いて歴史に関心をもたれた方も非常に多いと思います。藁科川を「民話・歴史の宝庫」として再評価した功績は、今なお色あせません。私の活動も黒澤さんをはじめ、大間で地域おこしに奔走されている小櫻先生、そして地域の皆さんがご尽力され敷いたレールの上を、ただ走っているだけに過ぎません。

本書は、全体で47ページという小冊子ながら、冒頭では、エコミュージアムという考え方が分かりやすく紹介されていて、その事例として取り上げられた藁科川流域の歴史的魅力が概観できる、まさに入門者の方には是非お薦めしたい内容の本です。

在庫があるかどうかは分かりませんが、藁科図書館で貸し出していますので、興味のある方はどうぞご覧ください。

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書 名:静岡河川セミナー『歴史から見た川づくり~エコ・ミュージアムの事例紹介~』
著 者:黒澤脩
発 行:建設省中部地方建設局 静岡工事事務所(現・国土交通省中部地方整備局 静岡河川事務所)
発行年:平成10年3月

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『野山の仏』

2010年08月18日 | 図書文献
今回は一冊の本を紹介したいと思います。
今から約50年ほど前に書かれた『野山の仏』という本です。
藁科図書館の地域資料のコーナーで見つけた本書は、大きな本と本の間に埋もれていた小さな体裁ですが、まさに私にとっては長年探していた宝物と出会ったような感動でした。

筆者の戸塚さんは市街地に開業するお医者さんで、戦後間もない藁科川流域をはじめ、隣の安倍川筋に分け入り、野山のお地蔵さんたちを訪ね、その由来や地域の人々の言葉を断章風に紹介しています。

科学者(医者)としての客観的な視点と、野仏に対する限りない主観的な愛情が融合し、その文章は凛として格調高く、そしてみずみずしく、筆者が追い求めた野仏たちの魅力が、今なお色あせず読み手に迫ってくるすばらしい本です。
読み物としての面白さと、歴史的資料文献としての価値ある一冊。

“この地蔵は生きているかも知れない。
人々の限りない無理な願いを、慈悲の心で受け止めて
幾世紀の間、日だまりの野辺に、風雨の辻に、土を踏みしめて、
村人の心を救ってきた。
石に刻まれた像ではあるが、大地の精が宿っているかのように、
石造であって人間をいのままに動かす力を持っているものであってみれば、
確かにこの地蔵尊は生きている。
菩薩はその目で歴史の変転を見守ってきた・・・”

このような文章に出会うと、大きく頷き、時間を越えて、心が震えます。
本著に背中を押されて、またいろいろな藁科川の魅力を見つけてみたくなるのです。


『野山の仏』戸塚孝一郎著.金剛社.1963年