河野外相「資産売却なら対抗措置も」 元徴用工訴訟巡り
2019/7/16 12:56
河野太郎外相は16日の記者会見で、元徴用工訴訟をめぐり原告弁護団が三菱重工業の韓国資産の売却手続きに入ると表明したことについて「万が一日本企業に実害が及ぶようなことがあれば必要な措置を講じなければならない」と述べた。「そうならないように韓国政府には対応を強く求めたい」とも語った。
別記事
政府、資産売却なら損害賠償請求も 元徴用工訴訟
2019/7/17 2:00
外務省の幹部は「不利益が生じた企業が救済されないなら、韓国政府に賠償請求する」と語る
日本政府は韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟をめぐり、差し押さえられている日本企業の資産が売却された場合、韓国政府への損害賠償請求を視野に対抗措置を検討する。日本企業が実害を受ける前に韓国政府に対応を促す。日韓請求権協定に基づく第三国による仲裁委員会の設置にも韓国政府は応じない構えで、打開策はみえない。
【関連記事】河野外相「資産売却なら対抗措置も」 元徴用工訴訟巡り
三菱重工業を相手取った訴訟の原告弁護団は16日の記者会見で、同社の商標権と特許権の売却手続きに入ると表明した。売却手続きが取られるのは日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越に続き3社目となる。
河野太郎外相は16日の記者会見で「日本企業に実害が及ぶようなことがあれば必要な措置を講じなければならなくなる」と対抗措置に言及し資産売却をけん制した。
日本政府にとり資産売却は一線を越えることを意味する。請求権問題の完全かつ最終的な解決をうたった1965年の日韓請求権協定を根本的に覆すためだ。同協定で日本は韓国への経済協力として無償3億ドル、有償2億ドルの供与を決めた。日本企業の資産が売却で現金化され原告に支払われれば、協定を逸脱する。
日本外務省幹部は「不利益が生じた企業が救済されないなら、韓国政府に賠償請求する」と語る。国際法上、国家には外交的保護権として自国の個人や法人が損害を受けた場合、相手国に適切な救済を求める権利が認められている。
韓国裁判所は当初、今夏にも日本製鉄が持つ韓国合弁会社の株式売却命令を出すとみられていた。裁判所が同社への尋問手続きを踏むため、原告側によると早くても年末以降になる見通しだ。三菱重工の資産も「知的財産権の査定に時間がかかり年内の現金化は難しい」(弁護士)との見方がある。
元徴用工訴訟を巡る仲裁委の設置に関する韓国側の回答期限は18日に迫る。韓国大統領府高官は16日、「特別な回答はないと理解している」と述べ、日本側の設置要求に応じない考えを明らかにした。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日に大統領府で開いた会議で、日韓の企業が出資し合い原告と和解する韓国政府案をもとにした日本との協議に期待を示した。「唯一の解決方法だと主張したことはない。両国民と被害者の共感を得られる合理的な方法を共に議論するつもりだ」と語った。
2019/7/16 12:56
河野太郎外相は16日の記者会見で、元徴用工訴訟をめぐり原告弁護団が三菱重工業の韓国資産の売却手続きに入ると表明したことについて「万が一日本企業に実害が及ぶようなことがあれば必要な措置を講じなければならない」と述べた。「そうならないように韓国政府には対応を強く求めたい」とも語った。
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2019/7/17 2:00
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日本政府は韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟をめぐり、差し押さえられている日本企業の資産が売却された場合、韓国政府への損害賠償請求を視野に対抗措置を検討する。日本企業が実害を受ける前に韓国政府に対応を促す。日韓請求権協定に基づく第三国による仲裁委員会の設置にも韓国政府は応じない構えで、打開策はみえない。
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三菱重工業を相手取った訴訟の原告弁護団は16日の記者会見で、同社の商標権と特許権の売却手続きに入ると表明した。売却手続きが取られるのは日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越に続き3社目となる。
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日本政府にとり資産売却は一線を越えることを意味する。請求権問題の完全かつ最終的な解決をうたった1965年の日韓請求権協定を根本的に覆すためだ。同協定で日本は韓国への経済協力として無償3億ドル、有償2億ドルの供与を決めた。日本企業の資産が売却で現金化され原告に支払われれば、協定を逸脱する。
日本外務省幹部は「不利益が生じた企業が救済されないなら、韓国政府に賠償請求する」と語る。国際法上、国家には外交的保護権として自国の個人や法人が損害を受けた場合、相手国に適切な救済を求める権利が認められている。
韓国裁判所は当初、今夏にも日本製鉄が持つ韓国合弁会社の株式売却命令を出すとみられていた。裁判所が同社への尋問手続きを踏むため、原告側によると早くても年末以降になる見通しだ。三菱重工の資産も「知的財産権の査定に時間がかかり年内の現金化は難しい」(弁護士)との見方がある。
元徴用工訴訟を巡る仲裁委の設置に関する韓国側の回答期限は18日に迫る。韓国大統領府高官は16日、「特別な回答はないと理解している」と述べ、日本側の設置要求に応じない考えを明らかにした。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日に大統領府で開いた会議で、日韓の企業が出資し合い原告と和解する韓国政府案をもとにした日本との協議に期待を示した。「唯一の解決方法だと主張したことはない。両国民と被害者の共感を得られる合理的な方法を共に議論するつもりだ」と語った。