北大路機関

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MV-22オスプレイ17機、日本へ3600億円での有償軍事供与を米政府が決定

2015-05-07 23:41:00 | 防衛・安全保障
■MV-22可動翼機自衛隊導入
 報道によれば米政府は自衛隊が導入を計画するMV-22可動翼機17機の有償軍事供与を米政府が決定し議会へ通知したとの事。

 MV-22可動翼機は、米海兵隊がCH-46中型ヘリコプターの後継機として配備を完了した航空機で、従来の回転翼航空機に対し巡航速度は二倍、行動半径は三倍以上となる航空機です。ただ、輸送ヘリコプターと比較すれば人員輸送能力は半分以下、取得費用は倍程度という航空機でもあります。

 防衛省は、九州目達原駐屯地に程近い佐賀空港を駐屯地としてMV-22を17機集中配備すると共に陸上自衛隊のヘリコプター50機を佐賀空港へ集中配備し、南西諸島防衛と南海トラフ地震などへの対処拠点と位置付ける方針で、併せて佐世保の相浦駐屯地に駐屯する西部砲煙普通科連隊を拡大改編し創設される水陸機動団の機動運用にも大きな能力を発揮する事となるでしょう。

 MV-22は機体17機に加えエンジン40基と前方赤外線監視装置40基を加えて3600億円にて有償軍事供与を受ける方向であり、2018年度までに自衛隊へ納入されることとなります。この2018年までに納入という部分ですが、MV-22の米国内での生産は遠からず終了するため、最も量産効果が高い時期にいち早く導入されるかたちで、現在の良好な日米関係と西太平洋情勢の緊迫化を反映しているといえるやもしれません。

 護衛はどうするのかという疑問がありますし、更に3600億円はかなり大きな支出で、仮にUH-60JA多用途ヘリコプターとCH-47JA輸送ヘリコプターの調達費に充てた場合、各8機からなる16機のヘリコプター隊を西部方面隊と中部方面隊の全ての師団と旅団に配置することが出来る費用ではあります。ただ、MV-22は迅速に展開できる能力と九州から南西諸島南部へ即座に展開できるため、沖縄県への自衛隊駐留の負担を回避する、という要望に応える為の難しい選択ともいえるところ。

 また、海上自衛隊が将来建造する大型輸送艦、強襲揚陸艦型の大型輸送艦から運用する事で国際平和維持活動や邦人救出などの際に従来のヘリコプターよりもはるかに遠い地域への緊急展開が可能となりますので、南西諸島防衛や災害対処任務等に加えて自衛隊の作戦能力を大きく引き上げる事となります。

 併せて既にヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが甲板後部にはMV-22用着陸スポットが配置されています、全幅の限界から飛行甲板中央部や全通飛行甲板を短距離滑走し運用する事は、ひゅうが型では行えませんので、能力を最大限発揮する事は出来ませんが、護衛艦からの運用が可能です。費用面では大きな負担であり、他の航空機整備への影響は財政的問題を政治的努力により対応する事が望まれます。

北大路機関:はるな
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7 コメント

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Unknown (ASGA)
2015-05-08 15:40:03
マスコミの異様なまでのネガティブキャンペーンの理由はただひとつ「オスプレイを導入されると自分達が目指している日本間接侵略の障害になる。」というだけの話です。早い話、日本の内なる敵である彼らが「反対」するという事は日本国にとって「良い事」だという事です。逆に彼らが賛成したら薦める事業には注意が必要です。彼らが「賛成」する事は日本にとって「悪い事」と単純に覚えておけば間違いないでしょう。
V-22については以前アメリカの試験機による「空中にホバリングしながら、前方へ小型ロケット弾発車試験成功」という個機自衛能力向上に関する試験も成功していますので、将来発展性(前方への武装兵科搭載による地上火力支援機化)などを考えた場合、現用の回転翼機に比べて比べものにならない程の可能性を秘めた機体です。現在でいうF-15のように陸自に導入後長らく改造・兵装増築などを経てどんどん多任務対応可能となるでしょう。
まずは最低限の自衛能力としてミニガンの装備と錬度の向上・専任パイロットの育成(今回の契約に含まれていますので米国でのトレーニングとなるでしょう。)に専念すべきです。いずれにしても非常に大きな決定であり、日本の国防を弱める為に根拠のないネガティブキャンペーンを続けていた反日勢力に対する勝利です。彼らの異様な過剰報道に違和感を持てる程、国民の軍事的無知は解消されており、これからの彼ら(大手マスコミ)は国民の厳しい監視の目に晒される事でしょう。辺野古などの運動でも中共の間接支援を報道しない彼らは外患誘致罪に相当すると思われます。マスコミはただ淡々と起きた事象を伝えればいいのであって、ワイドショーなどで素人コメンテーターに発言させる必要はないし、彼らこそ日本の国益を損ねてきた元凶であります。軍事素人である人物に国防関連の話題で発言する権利はありませんし、彼らは敵と内通している可能性も大いにありますので、国民が彼らの戯言に耳を貸さないというのが大原則です。民主党政権のような悪夢を繰り返してはなりません。唯一幸いだったのは中国が間接侵略に利用とした彼らがあまりにも無知であった為に利用のしようが無かったという点。中途半端に確信犯的な行動をとられるよりも、彼らが底抜けに無知だった事が逆に幸いしました。日本を売ってくれると期待して民主党に近づいたものの、鳩山政権中枢などは話が通じないレベルのお花畑思想で中共の幹部が逆に呆れるような有様だったようです。出雲級は彼らの軍事的無知により予算が通過したのであり、結果的に日本は大きな宝を手にいれました。「馬鹿とハサミは使いよう」です。
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MV-22の対地攻撃力は非正規戦のみを想定 (はるな)
2015-05-10 13:34:26
ASGA 様 こんにちは

MV-22,実は当方も導入に積極的な賛成は出来ません、3600億円といえば単純計算で10式戦車に換算し戦車大隊13個分の費用でして・・・、変な話、九州本州全ての師団と旅団に10式戦車の戦車大隊を配置しても充分なほどです

ヘリに換算すればUH-60JA×8機、CH-47JA×8機のヘリコプター隊5個分に当たります、この予算で既にヘリコプター隊を有している那覇の15旅団に加え、南九州8師団・北九州4師団・山陽山陰13旅団・京阪神紀州3師団・東海北陸10師団にヘリコプター隊を配置して機動力を高める事も可能です

旧式化が進み全国で定数割れが続いているAH-1S対戦車ヘリコプターの後継機、AH-64Dもこれだけの予算があれば52機取得可能で、現行配備数に加え全国の5個対戦車ヘリコプター隊を戦闘ヘリコプター隊に改編し、航空学校所要もみなすことが出来る機数です

MV-22はミニガンRWS増備やハイドラ70ロケット運用能力が付与されつつありますが、その射程は個人用携帯地対空誘導弾を有さない非正規戦闘を対象としたもの程度でしかなく、正規軍相手にはどうしてもAH-64D戦闘ヘリコプターやF/A-18E等、防空制圧等を行う航空機が無ければ、脅威状況下での運用は著しく制限されるでしょう

更にMV-22に代表される可動翼機は超低空飛行能力を有していますが、回転翼機のように匍匐飛行を行う能力は、ティルトし回転翼態勢を採らなければ実施できず、これは飛行性能を大幅に制限する事を意味します

もちろん、邦人保護など、あって困るものではありませんが、3600億円の予算は喫緊の課題、機甲戦力の旧式化と回転翼航空機体系の後継機不足を依拠に解決できるだけに、こちらの解決の方が先ではないか、と

島嶼部防衛は重要ですが、沖縄本島を含めた本土防衛に優先するかと問われたならば、異なる回答が出てくるでしょう、ヘリコプター隊と戦闘ヘリコプター隊に戦車大隊は本土防衛に絶対必要な装備です
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Unknown (馬鹿が戦車で立ち往生)
2015-05-10 21:51:27
戦車大隊は本土防衛に「絶対」必要とは思わないですが。まあ在れば良い程度の装備品でしょう。国産である必要も最新最強である必要も無い。

何せ本土決戦自体が前大戦すら避けた破滅的行いです。
しかしそれでも抑止力を理由に戦車に拘るなら最大限コスパに拘る必要がある。

現状なら10式なんぞ止めて。レオ2の中古でも数合わせで買えば良い。でも抑止力としては74式を遥かに超える。下手したら90式以上。何せブランド品ですから。
怪しい国産ガラパゴス戦車よりは抑止力となり安い。これ以上のモノは無いでしょう。

機動戦闘車も辞めて。レオ2買いましょう。
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何故レオ2 (専ら読む側)
2015-05-10 23:04:47
何を根拠に草臥れ切った独逸製品を斡旋したがるのでしょうな
(恐らくは)倍率にしてMV-22を超えるボッタクリ価格のオンボロ買いなど其れこそ愚行、当て擦りは見苦しいと実感
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Unknown (ぬるねこ)
2015-05-12 00:17:04
中古のレオ2なんぞ買ってどうすんだよ
導入費用は幾らかかるのか分からない(レオパルド2の輸出型は新品なら10数億円以上は確実。中古だと考えて半額だとしても、6億円以上は確実。6億以上の値段でレオ2を導入するぐらいなら、10億払って10式購入した方が、基本性能も上だし、運用も維持も楽な上、寿命も長いから、ずっといい)上、それを維持する予算は、確実に10式よりずっと高くつくぞ
喜ぶのは、中古品の処分ができる上、あれこれ付属品だの、消耗品だのを売りつける事ができるドイツだけで、日本は誰も得をしないぞ


それともあれか
数を揃える為に、安全や品質を無視して、中古品ばっか導入した結果、老朽化に悩まされている韓国軍の二の舞になれとでもいうのか?


中古中古いってる輩って、兵器の維持の事とか老朽化の事とかまるで考えてないだろ?
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Unknown (ドナルド)
2015-05-12 21:58:00
私も今更レオ2の本格導入には反対です。理由は皆さんおっしゃる通り、維持費が大変なことになるだろうからです。しかも90式も10式も、一定数配備してしまった以上、これを捨てることもできないため、戦車の種類が、しかも部品の互換性の少ないもの(MHI製vsドイツ製)が新たに増えると、兵站に大いに負担になるでしょう。


一方で、オ2A5 or 6 を 4-5両導入して試験し、最後は砲撃を加えて防御力を確認したい、とは思います。そのためのコストで、10式戦車を10両くらい失うでしょうが、間違いなく得るものは遥かに大きいと思います。

10式の方が優れている点はどこか、劣っている点はどこか。

火力、防御力、FCS、C4Iといった比較的分かりやす話しもそうですが、むしろ、光学機器の視野サイズ、メカのメンテナンス性、故障頻度とその対応ジグなど、学べるところは沢山あるはずです。なにしろ、戦車王国ドイツで開発され、2000両以上生産され、徹底的に改良された戦車ですから、製品としての洗練度は、桁違いのはずです。

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Unknown (x_x)
2015-05-23 15:24:53
日本が侵略国家へと変貌してますね。
強襲作戦とか考えてのオスプレイ大量導入でしょうかね、独裁者の個人的我侭でここまでできるんだ。
まず減らされる戦車ですが、「有ればいい程度」ではなく本土に於ける必須装備です、上陸部隊にとっては戦車撃破の為の重装備が必須となり兵站に負担が掛かります、戦争大好きクンの好きな「抑止力」ってやつです。
次に要らない子扱いの火砲ですが、戦場の神と言われるほど敵を撃破しますし、水際阻止の要です。
そして安くて輸送力の大きいCH47は火砲や車両を空輸出来ます、機外での牽引はオスプレイには出来ません。
陸を削りに削って「機動運用」とか恰好付けてますが、日本の道路事情はあれだけ無駄金を垂れ流しながら結構悪い状態です、機動戦闘車は戦車の代わりになり得ません。水陸両用車も島嶼防衛にどの程度使えるか微妙であり、車載式の対戦車対舟艇誘導弾の方が早く展開出来ます。
なんというか自衛隊を「国防軍」と改称しておだてておいてから規模を半減させ、海兵隊機能を持った首相直下の武装親衛隊でも作りたいとしか思えないんですけど。
アメリカにしたら当面装備を売りつけられるからとりあえず文句は無いだろうけど本音はどうなんだろ。

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