北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

立撮師列伝! 東北方面隊創設46周年

2006-10-02 23:37:39 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■仙台へ!

 「ちょいとすまねぇ、生姜を摘む間も惜しんで卵で掻き込んだ牛丼が胃の腑に落ちる暇もねぇ」『それがいけない』「何が、だ?」『卵だ』「卵の何処が?」『かき混ぜがいけない』「生姜は?」『それもいけないが卵は最悪だ』(牛五郎凶状旅より)

Img_7788_1  十月一日、吉野屋(予知野屋)牛丼限定復活に全国が沸く中、小生は陸上自衛隊東北方面隊創設46周年記念行事を撮影するべく、長躯、東北は仙台、霞目駐屯地へ展開した。霞目飛行場を会場としての記念行事は、その会場の広さや方面隊の規模もあり、観閲行進などの規模が大きい事で知られる。夜行バスにて払暁に仙台へ到達した小生はそのまま連絡バス乗り場に向かうも到達が早すぎたことを知り、良い機会と鉄道を介して仙台駐屯地へ向かった。

Img_7820 部隊巡閲を行う井上総監。

 仙台駐屯地より霞目飛行場までのシャトルバスを利用した。情報によれば仙台駐屯地から霞目飛行場までは15分、仙台駅から霞目飛行場までは20分、始発は0830時。フッ勝ったな、駐屯地祭では野戦特科と同じく一分一秒の陣地確保が結果を左右するって、真後ろに仙台駅発バス、アッ追い抜かれた!返せ戻せぇ~とおもいつつ、駐屯地からのバスは入り口が異なり、結果遠回りに。負けた・・・。

Img_7834  観閲台において指揮官訓示を行う井上総監。

 総監は訓示において、北朝鮮による弾道ミサイル発射事案や、一向に打開の展望を見せない邦人拉致事案に触れ、部隊の更なる精強化と、団結の強化を求めた。一方で、イラク復興人道支援任務における任務完遂と、東北方面隊からの派遣隊員の無事帰還を祝した。この他、自衛官出身の宮城県知事による祝辞、自衛隊協力会幹部の演説が行われ観閲行進へ進んだ。

Img_7781_1   式典に整列する隷下部隊の隊員たち。霞目飛行場(駐屯地は隣にあり、当日は非公開)は思いのほか広く、滑走路上での行事は東千歳を思い出させる広大なものであった。会場の奥には点々と車輌が並び、式典に整列した隊員の背後には広大な飛行場の芝生が広がり、ここが仙台市内であるということをしばし忘れさせるほどの広さであった。式典における観閲行進は主に第六師団の隷下部隊が実施したが、方面隊直轄の各種装備が式典を更に盛り上げた。

Img_7837_1  観閲行進へ向かう車輌部隊。車輌群が続々と移動する様はあたかも防衛出動に際しての、若しくは共同転地演習の戦略機動一場面のようである。何より驚くのは、ここが駐屯地であるということのみならず、林の並木のすぐ裏は住宅地であるということである。おそらく防音林であろうが、こうして写真で見ると、それを感じさせない。前から70式自走浮橋、92式浮橋装置、大型トレーラに載せられた施設器材が整然と前進している。

Img_7913  観閲行進に臨む軽装甲機動車。今年三月に第六師団が即応近代化師団へ改編され、装備を近代化している。青函地区を警備地区に有する東北方面隊は、特に北方脅威の低下に伴い、装備近代化の優先度が下げられた事により、こうした装備の配備は後回しとされ、青森の第九師団では普通科部隊も64式小銃を用いるなど相対的に旧式化が進んでおり、来年度、北部方面隊の第11師団が改編された後には、師団改編が行われると思われる。

Img_7946  第九高射特科大隊所属のL-90高射機関砲。スイスのエリコン社製高射機関砲で、目視照準のM-15/M-16高射機関砲の後継として配備が進められたが、航空機の高速化に伴い旧式化が進み、この他第11高射特科大隊を除き新型の93式近SAMへ更新が進んでいる。射撃準備に時間を要する点は欠点であるが、高射機関砲にも利点があり、ガン&ミサイルによる有機的な戦域防空網を構築する事が望ましいように思える。

Img_8031  方面隊ならではの装備として、第二施設団が保有する架橋装備。70式は車体そのものが浮揚力を有しており、河川に自走進入し車体を以て架橋する。92式は河川に後部の浮体を投入し、自動展開させたものを連結し橋梁とする。架橋装備は総数に余裕が無いため、各種架橋装備の混合運用を行うのが実情といわれる。ちなみに、92式は80㍍の架橋に120分程しか要しない(密着報告自衛隊:加藤健二郎著より)という、災害派遣の際には理想的な装備である。

Img_8038_1  66式メーザー殺獣光線車。巨大生物災害に際して、表皮細胞に対して大きな破壊力を有するメーザーを用いた対巨大生物用装備で、現在は新型の03式メーザー・・・、というのは大嘘で、坑道掘削車。太平洋戦争における島嶼部防衛線に際して、地下に埋設した指揮所や火力拠点の損耗が軽微であった戦訓から導入された装備品で、特に、応急資材により設置される掩砲所構築や指揮施設の地下への構築に大きな威力を発揮する。航空攻撃能力の近代化とともに、特にその秘匿の重要性が戦訓として挙げられるが、自己鍛造弾など砲弾の近代化には、その防護力付与が重要となろう。

Img_8076  方面特科火力の柱、多連装ロケットシステム(MLRS)。一両あたり12発のロケット弾により瞬時に広域を制圧する火力投射装置で、特に海洋を隔てての着上陸侵攻に対処するうえで、対空挺、対ヘリボーン、対上陸用舟艇、若しくは露出した人員や資材に対してに大きな制圧力を発揮する。一個MLRS大隊は日本では18輌からなり、米軍の27輌編成よりやや小ぶりである。高価であるのが難点であるが方面特科部隊への配備されている。

Img_8087  観閲行進の最後を第六戦車大隊の74式戦車が締める。第二世代戦車として陸上自衛隊の実質上の主力戦車の地位を有している。新防衛大綱により、冷戦時代1100輌を有していた戦車数は900輌、そして現在の600輌へと削減され、その代替として装輪式の機動砲の開発が進められているが、装軌式の戦車を代替しうるポテンシャルを有せるかには疑問が無いでも無い。戦車の行進が始まると、観客席から堰を切ったように拍手が沸き、乗員が敬礼で応えている。

Img_8133  陸上自衛隊のヘリが霞ヶ浦での事故により祝賀飛行を見合わせたが、航空自衛隊が松島基地よりF-2B、U-125、海上自衛隊が八戸基地よりP-3Cを祝賀飛行に参加させた。当初見合わせが囁かれたF-2の編隊飛行に集まった観客は機影に気づくが早いか大空を指差し歓声を上げた。この他、ブルーインパルスジュニアの飛行(走行?)展示などが実施され、会場を盛り上げた。霞ヶ浦での事故は霞目にて聞いたのだが、全国的に影響が出ているようである。

Img_8245  プログラムの最後に設定された訓練展示は、野外音楽演奏のチャイコフスキー“1812年”にあわせ105㍉榴弾砲が空包を発射する方式で実施された。ティンパニーに代え榴弾砲を用いる演奏は東北方面隊では初めてということであった。立撮に疲れたが、素早い陣地転換を繰り返し、これら一連の撮影を終え、土産物調達や装備品展示会場へと向かった、次の撮影に備えて。

HARUNA

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1 コメント

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失礼、よくみたら渡河装備、写真は70式浮橋でな... (榛名@携帯)
2006-10-03 21:46:51
失礼、よくみたら渡河装備、写真は70式浮橋でなくて94式水際地雷敷設車だった、指摘される前に訂正します。
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