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トルコ空軍がロシア空軍機を撃墜!Su-24戦闘爆撃機ISIL空爆作戦中にトルコ領空侵犯、F-16緊急発進

2015-11-24 23:36:47 | 国際・政治
■緊迫のトルコシリア国境
トルコ空軍がシリア上空でロシア空軍機を撃墜しました。繰り返されるシリアトルコ国境での国籍不明機領空侵犯へトルコ空軍が強い姿勢で臨んだ結果で、一挙に緊張度合が突沸しました。

トルコ空軍は現地時間24日0920時頃、トルコ領空を侵犯したとするロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機を撃墜、Su-24戦闘爆撃機はシリア北西部ラタキア近郊に墜落したとのことで、トルコ側は領空侵犯から10回以上の警告を続けその後撃墜したとし、ロシア空軍側はトルコへ脅威を与えておらず、後方から攻撃されたと非難しています。

トルコ空軍はF-16により緊急発進し対応したとされ、ロシア空軍はSu-24戦闘爆撃機が撃墜されています、このSu-24戦闘爆撃機は手元に使える写真がありませんが、アメリカ空軍が冷戦期に開発したF-111戦闘爆撃機を意識し開発したもので、そのF-111はアメリカではF-15E戦闘爆撃機により置き換えられています、Su-24は旧式化しましたが電子装備を置き換え近代化改修が為されており、大型で滞空時間と戦闘行動半径が大きく多くの武装を搭載出来、重宝されています。

Su-24,冷戦期には我が国へ日ソ間の武力紛争が発生した場合に最大の脅威となる戦闘爆撃機とみなされており、千歳基地や三沢基地をソ連本土から戦闘行動半径に収めていました、航空自衛隊がF-4戦闘機に続く戦闘機に戦闘行動半径が大きなF-15を採用したのは、Su-24の戦闘行動半径からやや離隔を採った松島基地や百里基地より北海道へ展開する戦闘行動半径を有していた、という一要素がありました。

トルコ空軍は2011年のシリア内戦勃発以来、恒常的にシリア空軍機の領空侵犯に悩まされてきまして、過去にはトルコ領空を飛行中のトルコ空軍RF-4戦術偵察機がシリア領域内を監視中に地対空ミサイルで撃墜された事例や、シリア空軍機へ緊急発進したトルコ空軍機が攻撃を受けた事例等が発生しています。

我が国周辺でも、例えば朝鮮半島などにおいて大規模な演習を実施している機関にロシア空軍機などが偵察飛行を行い、その際に我が国防空識別圏内に入る事で航空自衛隊が緊急発進する事例があります、しかし、トルコの現状はもう少し深刻です、それはロシア空軍がシリアへ介入した後、ロシア本土からシリア領空へ飛行する際、爆装のままトルコ領空を侵犯する事例が多発してきました。

シリア空爆が本格化し、ロシア空軍機と欧米中東有志連合の空軍機がシリアイラク上空を多数飛行する現状では、この種の事態は遠からず発生すると危惧されていました、指揮系統が異なるほか、武装した戦闘機が航空管制の圏外にて戦闘を展開するのですから、偶発事故の危惧、飛行妨害やその誤解に基づく航空戦闘の発生など。

今回のトルコ空軍機によるロシア空軍機撃墜に対し、ロシアのプーチン大統領は“テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った爆撃機はトルコに脅威を与えていなかった。ロシアとトルコの2国間関係に深刻な影響を与えるだろう”と激しく非難しており、トルコのダウトオール首相は“たび重なる警告にもかかわらず領空を侵犯されれば、トルコにはそれに応じる権利がある”、と対立しています。

ISILへの攻撃は、フランスでのパリ同時多発テロ発生を契機に欧州とロシアの、シリアへの介入姿勢へ、アサド政権を支持するロシアとアサド政権打倒を掲げる欧米との従来の対立を超え、喫緊の課題であるISILによるテロ拡散の回避という共通課題を以て歩み寄りの姿勢が観られた情勢変化の兆しが見えた中、今後、トルコ側とロシア側の対立が継続すればロシア空軍機がSu-27戦闘機等を護衛に投入し、更なる緊張増大の危険があるといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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