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東北方面隊創設50周年記念行事詳報③ 東北方面総監君塚栄治陸将と50周年記念式典

2013-12-03 23:55:55 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆半年後、初の統合任務部隊司令官へ

 中部方面総監部では凄く気配りの利く尊敬できる方、と知られる君塚総監の入場です。

Simg_8410 東北方面隊創設50周年記念行事の観閲台より敬礼、東北方面総監君塚栄治陸将です。総監はこの僅か半年後、我が国を襲った東日本大震災へ東北方面総監として仙台駐屯地にて臨み、10万名という大部隊を統括指揮する初の統合任務部隊司令官として全力を以て当たりました。

Simg_8411 東北方面隊管区は、冷戦時代こそ戦略上の要衝である青函地区防衛という重責を担い、青森第9師団は北部方面隊並の火力と打撃力を備えた編成を採っていましたが、冷戦後には北方は兎も角として東北にはそこまで重大な脅威は、と思われていたところへの震災でした。

Simg_8413 更にこの50周年記念行事が行われた2010年は政権与党が民主党で、防衛費5000億円削減を公約に与党の座に就いたこともあり、師団充足率への深刻な問題があったほか、中々部隊HPの行事予定が更新されず、聞けば広報班が人員削減で機能不随に陥った部隊もあったため、ということも。

Simg_8422 報道などでも人員不足が大きく報道され、東北方面隊管区では小隊長を陸曹があたっている戦闘職種、空席の目立つ部隊本部等が報じられ、文字通り消耗状態の中で震災の瞬間を迎えたことに、この点を踏まえれば初動9時間で20000名を動員した能力は特筆できるものでしょう。

Simg_8436 部隊巡閲、連隊旗がずらりと並ぶ。君塚総監は、防大20期、職種は野戦特科ですが空挺徽章を持つ猛者で、第10特科連隊長や陸幕防衛課長、西部方面隊幕僚副長に第1混成団長を務め、陸幕人事部長を経て2006年には伊丹駐屯地の中部方面隊幕僚長も務められています。

Simg_8437 中部方面隊幕僚長時代、当時陸将補の君塚総監は、当時の中部方面総監が折木良一陸将で、実はこの時点と東日本大震災発災時の統合幕僚長を務めておられた方でした。2006年の痛み駐屯地祭の写真を見ますと、折木総監の訓示の後ろにカナダ総領事を案内する君塚幕僚長が映っていました。

Simg_8438 君塚陸将が中部方面総監部幕僚長から東北方面総監に着任した際に、折木陸将は中部方面総監から統合幕僚長へ、こうしたつながりが阿吽の呼吸で迅速に部隊指揮を構築出来たのか、と2011年当時思ったものです。なお、中部方面総監部幕僚長の後第8師団長を歴任し、第34代東北方面総監に着任しています。

Simg_8443 東北方面総監としてこの写真を撮影した僅か半年後に東日本大震災への対処を担った総監は、その功績を認められ第32代陸上幕僚長に着任、今年八月末日まで北朝鮮情勢に緊張度を増す南西諸島や南海トラフ地震等の脅威への自衛隊の強化を務められています。実任務の功績を認められ陸上幕僚長へ、という昇進は初めてのことではないでしょうか。

Simg_8447 訓示と祝辞、見ての通り物凄い人数の来場者でしたので、カメラを高く掲げて充て勘定の照準を定め、こうした写真を撮影するのが精いっぱいでした。東北方面隊創設50周年を記念し、ブルーインパルスが飛行展示を実施することとなっていましたので、そのため来場者が増加したのでしょう。

Simg_8450 訓示は来場者が多すぎ、一番端に展開した当方の撮影位置からは残念ながらほとんど聞き取れませんでした。記念行事が行われた霞目飛行場は陸上自衛隊行事の会場としては非常に広い方なのですが、ブルーインパルスの注目度には勝てません。

Simg_8462 指揮官訓示、来賓祝辞、祝電披露、以上が終了し、観閲行進準備の号令がかかりました。整列した隊員2000名以上が一斉に観閲行進の車両待機位置へと駆け足で転進してゆく、そして第一回に掲載したように観閲行進の待機車両はかなりの規模のもの、これは楽しみだ。

Simg_8469 観閲行進準備と共にUH-1多用途ヘリコプターの離陸が始まりました。UH-1、宮城県知事もこのUH-1多用途ヘリコプターの操縦要員であったことで知られますが、霞目飛行場の他、東北方面総監部のおかれている仙台駐屯地にも式典前に一部が展開しています。

Simg_8472 仙台駐屯地と霞目飛行場を、この写真では一機二機の離陸ですが同時に一斉離陸し、その後に仙台市上空で合流、観閲飛行と共に行われる祝賀飛行へ大編隊の合流が行われるのだ、とこの時点で考えていましたが、更にその前に一つUH-1が意外な展示で活躍します。

Simg_8475 観閲行進準備の最中、何分広大な霞目飛行場ですので準備に時間を要します、そこで音楽演奏と太鼓演奏の準備が開始されました。トラック上の太鼓準備は陸上自衛隊太鼓演奏の風物詩、さあ、迫力の演奏が展示され、行事が動き出す。

Simg_8477 観閲行進準備と共に航空機の離陸はどんどんと続き、UH-1J多用途ヘリコプターに続いてOH-6D観測ヘリコプターの離陸も始まりました、二機ならんで一斉に飛び立ってゆくところが分かるでしょうか。対して記念式典に参加していた隊員の観閲行進車両への展開はそろそろひと段落つきそうに見えてきました。

Simg_84810 記念式典へ参加している米陸軍のUH-60A汎用ヘリコプターも離陸を開始しました。陸上自衛隊行事で米軍機が参加するというのは珍しいかもしれません。こののち音楽演奏を経て観閲行進へ、行事は進んでゆきます。このあたりは次回お伝えしましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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1 コメント

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はるなさま (ドナルド)
2013-12-05 23:50:20
はるなさま

些細なことですが、、、

> 防衛費5000億円削減を公約に与党の座に就いたこともあり、師団充足率への深刻な問題があったほか、中々部隊HPの行事予定が更新されず、聞けば広報班が人員削減で機能不随に陥った部隊もあったため、ということも。

これはおっしゃるように深刻な問題と思います。

> 東北方面隊管区では小隊長を陸曹があたっている戦闘職種、空席の目立つ部隊本部等...

ここに疑問があります。この時代でも、減らされたのは陸士だけで、幹部の充足率は95%以上、曹の充足率は100%を超えていましたので、「小隊長が陸曹」、「空席の目立つ部隊本部」も、人員削減とは直接は関係ないかと思います。となると、これらの事象の原因は何だったのでしょうか?通常の配置?

個人的には平均充足率が下げられた場合(例えば今はざっと91%なわけですが)、あるべき姿は、幹部も曹も士も全て91%にすべきだと思います。しかもこの場合には、現役の部隊を「やむを得ず」即応予備部隊に明示的に格下げして、1割の部隊は20%充足、残る9割の部隊は98%充足として、運用すべきと思います。(予算削減の影響の「見える化」をする)

こうすれば「まともな数の部下を持ったことがない小隊長」が大量生産されている現状を回避できるかと思います。部下が30人の場合と、20人の場合では、ずいぶんと人心掌握テクニックのあり方が変わると思うのですが。。。
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