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【京都幕間旅情】光明院,禅寺の伽藍面と称される慧日山東福寺二十五の塔頭寺院にあってここは静かなのです

2022-06-22 20:00:01 | 写真
■京に夏がやってくる
 光明院に久しぶりの拝観へ歩み進めましたならば面持ちが変っていて驚きました。庭園の美しさはそのままなのですが中は前衛的に。

 東福寺、京都駅を一駅のところに東福寺駅がありまして、まあ京都駅といえば東本願寺が目の前に、新幹線ホームからは東寺、こう京都を代表する寺院に囲まれているところなのですけれども、一駅隣に、その御山の名を冠した寺院がしずかな広がりを見せています。

 慧日山東福寺、その創建は嘉禎2年こと西暦1236年に造営をはじめまして実に19年、建長7年こと西暦1255年に落成を成し遂げました寺院です。もともとここには藤原氏の氏寺が広まっていましたが、その氏寺はいまは小さく、しかし確固と東福寺駅前に佇んでいる。

 摂政九條道家、東福寺の山号は時の摂政九條道家が命名したもので、南都奈良にあって最大の規模を誇る寺院である東大寺と、最大の優美さを誇る興福寺、この二つの寺院から文字を用いまして、禅宗の寺院が京都最大の寺院となる事を願い冠せられた、といいます。

 夏がやってくる、いや京都に夏がやってきた、というべきでしょうか。蒸し暑い、熱さというものには色々とあるのですが、特に京都は気温もさることながら蒸し暑く、そして京都を探訪される方は寺社仏閣巡りをされる方多く、こうした場所は基本冷房がありません。

 光明院、東福寺の塔頭にあって少し南の方にありまして、紅葉の季節などに東福寺の通天橋が京都駅のコンコース並に混雑する頃合いにあっても、ふと拝観へ探訪しますと不思議と静寂さが保たれていまして、静けさを欲するときには歩み進める寺院の一つなのです。

 庵主さんに拝観料を納めて、とまあ日常の作法で拝観に臨もうとしますとなにかこう静かだ、いや静かということは求めているところなのですが、拝観の受付が静かというのは不思議なものでして、見れば竹筒が、大きな竹筒が三本立てられており、ここに収めるもの。

 東福寺も感染対策なのだ、こう痛感させられたところです。ポストコロナなんて言葉が曖昧にも時折耳に目にするところですが、しかしコロナ対策で2019年までは通年拝観していた寺院が門扉を固く閉ざし、2020年2021年を経て2022年を迎えてしまった御山も多い。

 JR東海の東海道新幹線ポスターにも選ばれたという庭園の情景、御本尊に手を合せて拝みました後に、涼しさをはこんでくれます庭園の、その広い縁に、ちょっとお行儀のわるい、それでも楽な座り方にてゆったりを眺める事としました、人も少ないので自由に過ごそう。

 庭園の静けさは、しかしそのまま保たされています。先日法隆寺がクラウドファンディングによりその維持費用の捻出を広く募った事に驚くとともに、しかしその報道では初日にほぼ費用を集める事が出来たという朗報が伝えられていたところですが、実際これは響く。

 光明院の庭園は躑躅がところどころに植えられた、波心の庭というものなのですが、こうしたものの維持費はやはりもととなるのは拝観料、つまりこの庭園を撮影する際に収めました竹筒へのお金がもととなっています、そして繰り返しますが、ここは静かなのです。

 禅宗庭園故に雑踏というものは相反するものですので静けさというものは勿論個人的には歓迎なのですが、庭師さんはじめこの庭園の維持には相応の費用が掛かっている事は間違いありません、すると大丈夫なのかなあ、この情景はどのようにして維持されるのか、と。

 なんとかなるさ、という楽観論で眺めるには現状はそう甘いものではないようですし、しかしもう駄目だ京都は滅亡だあ、というほどに悲観するほどでもない、ただただ、これは太平洋戦争以降としては初めての、厳しい状況になっていることは確かなのかもしれない。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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